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これから新築マンション、値下げするの?~数字で見ていく不動産分析~
「新築マンションってこんなに高いんだ…」
って思ったことある人、正直に手を挙げてください。
はい、私です。
ここ数年、高額不動産の話題をよく聞くようになりました。
例えば、JR原宿駅近くのマーク表参道ワン。
最も高い住戸は専有面積が約190坪で価格は67億6000万円台。ろ、67億円!?これまで最高額とされてきた2017年竣工の港区の物件の約55億円をあっさり抜いた。
おっと、、そんな高額のレベルの話じゃなくて。
平均的な話をしたいですよね。
◆過去最高に高い新築マンションン
では、ここで質問です。
2020年1月の首都圏新築マンションの平均価格、ご存知ですか?
なんと1戸あたりの平均価格、8360万円!念のために確認ですが、平均ですよ、これ。
東京の23区に限ると、新築マンション平均価格はなんと1億511万円。
もはや一般家庭には手が出せない価格帯。
しかもしかも。1年前と比べて、どのぐらい高いか、ご存知ですか?
1年前と比べて48%も高いのです!値段で言うと、2707万円。1年で2707万円も値上がりするなんて、さすがに上がりすぎじゃない?
ちなみに、平均価格が8360万円という、この数字。
1990年11月の7497万円を抜いて、過去最高なのです。(不動産研究所より)
ちなみに、平米単価も126.2万円。平米じゃなくて坪で言うと、坪単価416万円が平均ですよ。わぉ。1年前は坪単価268万円が平均だったので、148万円も値上がりしています。上がりすぎ。
ソースはこちら。不動産経済研究所より。
なんでそんなに値上がりしているのでしょうか?理由は3つ。
◆新築マンションが値上がりしている理由
1.共働きの増加
結論から言うと、都心のマンション、需要があるんですよね。誰にかって?共働き世帯にです。需要があるから、価格が上がるのです。当たり前ですよね。
我が家も、もれなくこれにあたります。共働き家庭。
仕事と家事と育児をすべてこなすには、何を省くのか?
そう、通勤時間。
子持ち共働きの家庭では、通勤時間を減らさないと、仕事と育児の両立は不可能と言っても過言ではない。だって通勤に時間がかかったら保育園のお迎えに間に合わないもの。
通勤時間を減らしたい。
そのためには多少コストを払っても構わない。
時間をお金で買います。
これが、今の子持ち共働き世帯のニーズ。
だから都心の駅近物件に人気が殺到。
分かるよ、分かります。
我が家ももれなく都心の駅近物件を見てましたから。そして、その価格の高さにひえーってなっていましたから。
でも、マンションの価格が高いのは、需要があるからだけではなくて、他の理由もあるのです。
2.人件費や建設資材価格の高騰
新築マンションの価格の決め方ってご存知ですか?
コストに利益を足す。そりゃそうですよね。
では、新築マンションにかかる主なコストは?主に以下の3つです。
・土地代
・建設費用
・人件費
で、土地代も建設費用も人件費も、高くなっているのですよ。コストが高くなっていて利益を出すためには、マンションの販売価格を値上げするしかないのです。1つめの理由に挙げた通り、値上げしても需要がありますからね。
別に、売れ行きがイマイチでもいいんです。すぐに売れなくても、慌てて安売りする必要はないですから。成約までの期間が延びても、大手デベロッパーは資金力があるので、値下がりしにくいのです。
さらに、3つめの理由がこれ。
3.外国人投資家の購入
例えば最近の例をご紹介。
<賃貸マンション>
ブラックストーン・グループが、東京や大阪の賃貸マンション群を過去最大の約3000億円で購入。
<オフィスビル>
世界最大級の政府系ファンドである、
ノルウェー年金基金が、三菱地所から大手町パークビルディングの一部を
約800億円弱で取得すると発表。
日本の不動産はまだ割安だ、との認識が海外富裕層にはあるんですよね。
以上3つの理由で、1月までは不動産会社が強気な価格を設定してきた新築マンション。
◆コロナ後は?
でも、先日の日経新聞で、こんな見出しを見つけました。
「新築マンション3万戸割れ 27年ぶり」
2019年度の首都圏の発売戸数は2万8563戸。3万戸割れました。前年度比で22%減!そして3万戸割れというこの数字、いつぶりの数字が知っていますか?
発売戸数2万8563戸って、1992年度以来の、27年ぶりの数字!27年って、今27歳の人が生まれた時です(そりゃそうや)。
ちなみに2020年3月に限って言えば、前年同月比36%減の2142戸。
36%減って聞いても、驚く人は少ないのでは?だってそもそも外出自粛の影響で、モデルルームは休止。不動産は動いていないですもんね。
さらに追い打ちをかけるように、今まで積極的に購入していた海外投資家の購入件数も約30%減です。そりゃそうですよね。都心の高額物件を買い支えていた中国などの投資家も、入国制限が続く状態で買えないんです。
これからの新築マンションの販売は減るとの見方が強いです。2020年度も3万戸割れとなる見込み。では、販売戸数が減ったら、価格はどうなるのか?上がるのでしょうか?下がるのでしょうか?
◆新築マンション価格はこれからどうなるの?
一般的には、発売戸数が減れば価格が下がります。
ただ、最近はそうでもないのです。
例えば、2020年3月の平均価格は6156万円。
なぜかって?
上記「2.人件費や建設資材価格の高騰」が理由。
不動産会社からすれば、人件費・土地・建設資材の高い時期に建設した物件は、高値で売りたい。
でも需要側は先送り。「急いで買うよりも少し状況を見ようと思って買うのをやめた」という声も多いんです。
では、先送りしたら価格は下がるのか。ここ、気になるところですよね。
ここで、リーマンショックの後に不動産市場はどうなったのか、見てみましょう。
◆リーマンショック後の不動産市場の動きを復習
2008年9月のリーマンショックの後に、市場は値崩れしました。
2009年度の首都圏の
発売戸数:4万戸割れ
平均価格:2008年度比4%減の4573万円
なんていうか…今回の3万戸割れという数字が、どれほど大きいかが分かりますね。リーマンショックの後でさえ、3万戸以上の販売個数でした。
で、この時になぜ値崩れしたか。
・資金繰りが厳しくなった中小不動産会社が値引き販売で現金化を急いだ
→それでも、2005年に328社あった社数は、2009年に半減。
・大手も価格競争に巻き込まれた
という図式です。
では、リーマンショックと今回コロナショックの、不動産市場における違いは?
<リーマンショック時>
首都圏の新築の販売個数の大手7社の比率は3割程度。
<今>
同、大手7社の比率は5割近く。
大手は強いです。
市場の支配力を強めていて、経営体力があるので。
→つまり、中小と違って、現金化を急ぐ必要なし。
→むしろ値崩れを避けるため、3年程度ゆっくり販売すればいい
→売れなくてもすぐ値下げはしない
という図式が成り立つのです。
ちなみに、まだ販売していない「潜在在庫」は2019年末時点で2万1908戸あると言われています。実体経済が悪化すれば、「高額物件を支えていた資産家が減り、実需層の所得も下落する可能性が高い。体力のある不動産会社でも売り切りを優先させるケースが生じる」という声も。(三井住友トラスト基礎研究所の菅田修主任研究員)
数字で見ていくと、販売戸数は減るのは確実。でも価格については強気と弱気が交錯している新築マンション市場。不動産市場にマイナス要因は多いので、中小の不動産会社は値崩れしてくるけれど、大手は値崩れしにくいでしょう。
個人的には、アフターコロナ(or withコロナ)で都心の人気がどこまで維持されるのか、というところも気になるところです。
「通勤時間を減らしたい、そのためには多少コストを払っても構わない、時間をお金で買います」という共働き家庭。首都圏の新築マンション市場のメインターゲット。アフターコロナでリモートワークや在宅勤務になれば、通勤時間いらなくなる。そうなると都心の駅近物件の需要は…?
ここはまだ数字という事実では測れないところなのですが。
最後に、首都圏新築マンションの発売戸数は減少しているのに、価格は高値だよというグラフを貼っておきましょう。
(日経新聞4月17日(金)朝刊11面より)
この記事は、日経ヴェリタス2020.3.15の63ページと、日経新聞2020.4.17の朝刊11面、不動産経済研究所のレポートを参考に書きました。
今日も気が付いたら3600字を超えていました。ここまで読んでくださった方はいるのでしょうか。分かりやすかったよ!とか、次の記事も見たいな!という方は、ぜひスキをお願いします。次の記事を書く励みになります!
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