なんでアメリカとイランの関係は悪化したの?Part3~ロシアの動きとホルムズ海峡と今後の見通し~

アメリカとイランの情勢についての記事Part3、今回が最終回です!いい見出しが思いつかなくて、見出しが長くなっちゃった。

今回の記事は、中東をめぐるロシアと主要国の関係、そして、アメリカとイランの今後の見通しについてです。

◆前回の記事のまとめ

アメリカとイランの関係が悪化した歴史がありまして。


1月3日 アメリカからの攻撃
米軍がイランの革命防衛隊ソレイマニ司令官を殺害
1月3日 イランの報復
イランの最高指導者ハメネイ師が米軍への報復攻撃をツイッターで警告
1月4日 アメリカのけん制
トランプさん「イラン関連52ヶ所を迅速かつ激しく攻撃する」とけん制
1月5日 イランの報復
イラン、ウラン濃縮「無制限」
1月8日 イランの報復
イラクにある米軍基地をミサイル攻撃
イランとしては、「司令官殺害に報復したよ!」と国内向けには説明する一方で、対外的には、正面衝突は避けて対話の余地を残そうとした、と見られています。殺害されたソレイマーニーさんは、カリスマ的存在でしたからね。
イランやアメリカの要人発言は、現状冷静であり、正面衝突して全面戦争は避けたいとの意図が見られます。トランプさんは今年大統領選挙がありますからね。経済に打撃を与えるようなことや戦争などには慎重です。

◆ロシアの動き

アメリカとイランの関係が悪化している中、ロシアも動き出しています。
ロシアにとって、中東は大切な地域ですからね。

ここで、地図の確認!!

ロシアと中東の位置関係は?
意外と(?)近いです。

画像3

(google mapより)

そしてロシアの動きはと言うと。

1月8日
トルコのエルドアン大統領の会談し、対立する米国とイランに共同で自制を求めた。ロシアは、トルコに天然ガスを供給するパイプラインを稼働させたばかり。ロシアから見れば、中東での活動範囲を広めるうえで、トルコとの関係改善が欠かせない。リビア内戦の全当事者に、12日午前0時の停戦を呼びかけることでも一致。

ロシア、動いてきております。

◆今後の見通しは?

前回の記事で話した通り、アメリカもイランも現状では全面戦争を望んではいないという姿勢を見せております。
ただ、一旦は落ち着いたように見えますが、まだ分かりません。全面戦争に至ってしまうレッドラインとして、「アメリカ軍施設への、国軍、革命防衛隊による攻撃」「核装備」「ホルムズ海峡の封鎖」などがあるのですが、その中でも「ホルムズ海峡の封鎖」っていう言葉、よく聞きませんか?

「ホルムズ海峡」ってどこ?もう一度、地図の確認!

画像2


イランとサウジアラビアの間がペルシャ湾で、その出入り口がホルムズ海峡なのです。めっちゃ狭いとこ。そして重要なとこ。

ここが封鎖されると困ります。
だって、原油輸送にとっても大切な出入り口ですから。

日本の年間原油輸入量の90%前後が中東からであり、
日本の輸入量の85~90%はホルムズ海峡を通過しています。なのでここが封鎖されれば、日本経済は大打撃を受けることになります。

では、アメリカにとっては?

実はアメリカって、原油の生産量が多いのです。
こんな感じ。

画像3

(外務省HPより)


◆これからの原油価格はどうなるの?

アメリカのシェール革命やOPECの増産余力を考えると、1バレル=80ドルあたりが上値の目途かと。トランプさん、「中東の石油は必要でない」と言っていますからね。
そう発言した1月8日のトランプさんの大統領演説の一部を紹介します。


私が米大統領である限り、イランの核兵器保有は決して許さない。
イラン政権の昨晩の攻撃で米国民の犠牲はなかった。米軍基地の被害も最小限だった。イランは身を引いているようだ。
~中略~
この3年間、私の指導の下、米国の経済はかつてなく強くなり、エネルギーの面で自立を達成した。こうした歴史的成果は米国の戦略的優先順位を変えた。中東での選択肢ができた。中東の石油は必要でない
~中略~
米軍はわが政権下で完全に再建された。だが、軍事力を使いたくはない。軍事、経済での米国の力は最善の抑止力だ。

(2020年1月10日(金)日経新聞朝刊9面より)

◆直近のリスク要因

今後の直近イベントは、以下の通り。
・2/10~12 死後40日の喪明け
・2/11   イラン革命記念日
・2/21  イラン総選挙

リスク要因としては、喪明けとイラン革命記念日が重なる2/11前後は要注意です。カリスマを殺されて、イラン国内で反米感情が一段と高まっている可能性があるからです。まぁでも、イランやアメリカの要人発言は、現状冷静であり、正面衝突して全面戦争は避けたいという意図が見られます。

ふう、これで全3回続いたイランとアメリカの記事は終わりです。
経済についてはいくらでも書けるのですが、中東問題は宗教や歴史もがっつり絡んでくるので、どこまで説明すべきか悩みましたが、なるべく分かりやすいように、経済の視点から書きました。正直、書くの大変だった…!1月のスキマ時間、この記事を書くことにほぼ使いました(笑)

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