実録!モラハラサバイバー8

ダブルバインド

 ダブルバインドとは、日本語訳で「二重拘束」の意味。二つの違う矛盾したメッセージを相手に命令することで、相手を混乱させ強いストレスを与える。
我が家の日常は、このダブルバインドに満ちていた。
 
 実際にあった例をひとつ。
冬休みに、小学校で凧作り教室が開催された。こうゆうイベント大好きなこども達は、もちろん申し込んで楽しみにしていた。時間は朝9時からお昼まで。例年、終わった後に校庭で凧を揚げたりするので、帰宅はお昼過ぎになる。
夫は、自分はもちろん、父母揃って参加する気満々。でも、お昼過ぎまで付き合って、帰宅してから昼ご飯を作るんじゃ、お腹が減って絶対に不機嫌になる。夫だけに行ってもらおうと思ったが、その日は朝から虫の居所が悪いらしく、
「えっ!?ふつ~、一緒に行くでしょ?あいつらが楽しそうに作る所見たくないの?」
と言われ、面倒くさいので腹をくくり、最初から最後まで付き合うことにした。もちろん、私だって、そういったイベントは大好きだ。こども達がそれぞれに頑張って凧を作る様子を眺めたり、手伝ったりして、時間はあっという間に過ぎた。
 家に帰ると、案の定、
「えっ!?今からご飯作るの?」と苦~い顔。
だから留守番して昼ご飯作って待ってたかったんだよ。
でも、こども達も、お腹空いてるし、仕方ない。
「近所のパン屋さんで、美味しそうなの選んでおいで」と、おつかいに出した。
夫も一緒にパンを選びに出かけている間にスープだけ作って待った。
帰ってくるなり、
「あんな予算じゃ、お腹いっぱい分買えないでしょ。ど~ゆ~計算で金渡してるの?おれ、自分の分は自分で買ったから」
と、散々文句を言われた。
でも、それより多く持たせても、絶対「無駄遣い。家で作ればもっとお金使わないでできるでしょ」と責められたのは明白。
行っても×。行かなくても×。ごはん作っても×。買ってきても×。正解なんて絶対に、どこにもない。
こんな風に、我が家の日常には何重にも罠が張り巡らされている。結局、何をやっても、逆にやらなくても、文句は言われる。
だから究極、夫の顔色をうかがうのは止めて、いっそ自分がしたいことをしよう。したくないことはしないで、黙って文句を言われよう。と、割り切り出したのもこの頃からだったような気がする。
 責められるのはストレスだが、それはデフォルトとあきらめて、他の部分でのストレスを少しずつ回避することを覚え始めていた。

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