実録!モラハラサバイバー9

犯行予告?!

 2015年に自衛官が、妻と5人のこどもがいる自宅に放火し、我が子4人を焼死させた事件があった。
夫は、この事件の後、しきりに
「おれ、あの旦那さんの気持ち解るんだよね~」と繰り返した。
「えーっ!?」と最初は聞き返したが、
「ん?なんか、わかるな~って思うんだよ」と意味深なニヤニヤ笑いを浮かべ返すのみで、何度も「おれ、あの旦那さんの気持ち解るんだよね~」を繰り返した。
 正直、命の危険を感じた。
 
 事件は、単身赴任中だった夫が8人のこどもと妻の暮らす家にサプライズで帰宅して大して喜ばれず、出かける時に「いってらっしゃい」と言われなかったことに腹を立てて、自宅に放火をしたものだった。
8人の子育てといったら3人の比ではない。おそらく、てんやわんやの所へ、手のかかる夫が事前連絡も入れず突如帰宅したって、そりゃ~歓迎はされなかったでしょうよと、同情する。同情するのはもちろん妻に。
ここで、「なんで歓迎しないんだよ!」と相手を責めるのではなく「うっわー、天の助け!帰って来てくれて良かった!」と思われる夫でなかった自分を省みるという発想はなかったのだろう。
 
 我が家のデッキには3年ほど前から、傷んだ部分を治すため木材が積み上げられている。修理するにはもちろん部材が必要。それを購入するのはきっと楽しかったんだろう。その後、半年くらいも放置された頃、「いつやるの?」と質問した。だって、取り替えるはずの木材、雨ざらしで放置じゃ、腐っちゃうよ。その時の夫の答えは「乾燥させてるんだよ!」であった。いやいやいやいや。売り物は既に乾燥してるよ。むしろ雨ざらしでは、どんどん湿気るよ。と思った。言わなかったけど。言ったら最後、面倒な事になるのは解り切ってたから。ここで、「おいおい」って言えない時点で不健全な関係である事、今なら解る。そこから2年ほどたった頃、やはりデッキの話になった時に夫が言ったのは「やる気になれないから」
ふつうの感覚で聞いてはいけない。彼の言う「やる気になれない」は、「俺をやる気にさせない、この家の住人が悪い」だ。
「常に自分を良い気分でいさせてくれない家族が悪い」のだ。
きっと件の、自衛官の思考回路も似た作りなのだろう。だから「解る」のだ。

 解ってもいい。似た人がいて、親近感を覚えてもいい。
でも、「解るんだよね~」だけを執拗に繰り返すのは、ちょっとした脅迫だ。
「俺を良い気分にさせとかないと、この家、燃やすよ」
そう聞こえてしまうのは、私の被害妄想だろうか?


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