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29歳食いしんぼうOL、今年買ってよかったもの〜雑誌の定期購読編〜

出版不況と叫ばれて久しい。特に雑誌は休刊が相次ぎ、ウェブほどの速報性もなければ書籍ほどの深追い性・保存性も薄いという点でかなり不利な状況にあるだろう。

が、しかし!私は思う。ここにきておもしろい雑誌が増えているのではないか?

ていうか、少し前より、明らかにおもしろい雑誌が増えてない!??

淘汰されているからこそ、雑誌でしかできないレイアウトや情報が先鋭化しているように感じる。
そんなわけで2022年は何と雑誌の定期購読を2誌スタートした。
定期購読をするのは中学生のときの、吉本興業が発行していた『マンスリーよしもと』以来だ。
月の初めにポストを覗くのが楽しみになった、2誌の魅力を紹介したい。


関西人を凝縮した雑誌『Meets Regional』

関西を中心に、京阪神エルマガジン社から発行されている月刊誌、『Meets Regional』(ミーツリージョナル)。
京阪神、つまり京都・大阪・神戸周辺の、主に飲食店などのホットスポットを紹介する内容で、毎月特定のエリアや「焼き鳥」「カレー」などのジャンルを取り上げている。

私は現在東京在住で、留学中を除き、これまでの人生をずっと関東圏で過ごしてきた。
なのになぜ、関西のホットスポットを知る必要があるのか?
それはシンプルに、雑誌がおもしろいからである。

そもそも私自身は生粋の関東人ではあるものの、両親は関西出身。実家ではだいぶ薄まった関西弁で会話しており、親戚は全員関西在住ためかなり馴染み深かった。
お笑い好きだったこともあり、常にうっすら関西への憧れを募らせていた29年間だったのだ。

ミーツの存在はだいぶ前から知っていて、関西の本屋さんに行くと絶対あるし、良い感じのカフェとかに行くと「掲載されました!」みたいな感じで置いてあるのをよく見ていた。

8月に仕事で大阪に行った時、空き時間に行った本屋さんで何気なくミーツを読んで、「あれっ、こんなにおもしろい雑誌だったっけ!??」と軽く衝撃を受けた。で、その衝撃のままバックナンバーも含め3冊ほど購入。

東京に帰ってじっくり読んでもやっぱりおもしろいので、これは毎月確実に手に入れたい、と思って定期購読を申し込んだ。

その魅力はまずレイアウトの大胆さ。美味しそ〜なごはんが美味しそ〜にドカンと載っていたり。名物店主らしき人物や市井の人が良〜い笑顔で載っていたり。対象の魅力がこれでもかってほど伝わってきて、これは雑誌でしかできない表現だよなと思わされる。

焼き鳥のコースを、全皿見せるレイアウト、天才か
こんな楽しい見せ方、ウェブじゃできないぜ!

そして、街を歩いて歩いて、そこにいる人とコミュニケーションを取りまくったであろうことがビンビン伝わってくる圧倒的現場主義感。街の人の声が生きていて、〝こたつ記事″なんて吹き飛ばしちゃうパワーがある。
飲み屋の特集なんか、読み終わる頃には一緒に酒を交わしたかのような読み応えがあるのだ。

読みながらはしご酒してる気分になる
しまだあやさんのエッセイも好き

関西人の圧とサービス精神を凝縮したような魅力的な雑誌が、月初めの楽しみになっている。

ちなみに、版元の京阪神エルマガジン社は魅力的な書籍もたくさん出している。
『東京・三軒茶屋 シバカリーワラのカレーとスパイス料理』とか、『京都の中華』とか、入り込み方が〝街と美味しいものを愛する人がつくった”という感じで最高です。


(いい意味で)そのレシピつくらせる気ないだろ!『ELLE gourmet』

ハースト婦人画報社が発行する隔月のフードマガジン、『ELLE gourmet』(エルグルメ)。
海外旅行に行った時など、ヨーロッパやアメリカの『ELLE a table』(エルグルメの前身)を買うのが好きだった。
載っているレシピをつくりたい、というよりも、日本のグルメ雑誌ではありえない極彩色の食べ物がシズル感満載に写された写真を見るのが大好きだったからだ。

日本のグルメ雑誌やレシピ本では、どちらかというと「ていねい」「ほっこり」みたいなイメージの、やさしく日常に溶け込むような料理写真が多い気がする。

それも良いんだけど、海外のエルアターブルみたいな、味覚だけじゃなく五感をフルに刺激してくるような、ハードなフード写真を見たい!!!と思っていたら、日本版エルグルメがそれを叶えてくれたのだ。

日常への溶け込まなさは写真の見せ方だけではなく、レシピにも表れている。
材料には普通のスーパーでは売っていないような食材が並び、「ほんとに作らせようとしてる!?」と疑いたくなるような難易度の高さなのだ(めちゃくちゃ褒めてる)。
チリフレーク、タヒニ、ストラチャッテラ、デュカ……今パラパラめくっただけでも謎食材のオンパレードである。

というわけで定期購読しているわりにレシピをつくってみたことは一度もないのだが、味の想像がつかないレシピは読むだけでかなり楽しい。最先端の人気店や名店もレシピを公開していて、難しいけど読み応えがある。

ぜひこのまま作らせる気の無いレシピを貫いてほしい。
フード過激派のあなたにおすすめしたい雑誌だ。

ちなみに、そのとき話題のフードについて社会学的に考察する巻頭コラム「トミヤマユキコのフーディー社会学」も毎回楽しみにしている。

かわい〜!フード雑誌と思えない、さすがのスタイリング
最新ガストロノミー情報やスイーツ情報など、尖ったお店を知れるのも楽しい

そんなわけで、私が今偏愛する2誌を紹介させてもらった。
雑誌が主要メディアじゃなくなっても、それでも私は読みたい!雑誌を読み続けたい!!!
もうすぐ1日、新刊がポストに届く時期だ。そのワクワク感を胸に、おやすみなさ〜い。

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