#紫式部
「光る君へ」第13回 「進むべき道」 その1 兼家の叱咤が道長に与える影響
はじめに
「光る君へ」という作品の最初の1/4、1クールを牽引してきたのは、兼家でした。まひろと道長は所謂、主人公にあたるキャラクターですが、作品世界の中心にはおらず、物語を動かす力もまだ持ち合わせていません。ですから、兼家が権謀術策をもっていかに貴族の頂点を極めていくか、その謀や政にまひろや道長が何らかの影響を受けていくというのが、全体の構成となっていました。このnoteでも、兼家や晴明を中心
「光る君へ」第12回 「思いの果て」 機会を逃さない勘と貫く強い意思がなかった二人の恋
はじめに
わかっていたその時がついに来てしまいました。互いにかの日の相手の気持ちに思い至り、自分の気持ちを整理できたときには、既に相手はそこにおらず半周先にいる…そんなもどかしさがありましたね。実際はボタンの掛け違いくらいの距離にまで近づいていたのですが、相手に期待するあまり、それが叶わず、勝手に終わったと思い込んだ二人は、圧倒的に言葉が足りていませんでした。
大事なことは口にしなければ伝
「光る君へ」第11回 「まどう心」 女の想いをすくい取れない男の身勝手とは
はじめに
月は満ち欠けするものです。同じ状態のまま一定であり続けることはないというこの世の無常を表していると言えるでしょう。それは、その月を見て相手を想い続けるまひろと道長の恋も同様です。前回、結ばれた二人の想いは、哀しいけれど満ち足りたものであったのでもありました。
煌々と輝く満月から光がちりちりと二人に注がれるシーンは幻想的だったと言えるでしょう。そして、この世を正さなければならないとい
「光る君へ」第7回 「おかしきことこそ」 平安貴族の常識の「おかしきこと」ってなに?
はじめに
そもそも、時代劇は、その時代っぽさがある現代語の世界です。現代語と古語的な表現が混ざり合っていることは不自然ではありません。特に「光る君へ」に登場する人々の心情は、現代人に近い心情です。寧ろ妥当な言葉遣いでしょう。ですから、サブタイトルを見て「おかしき」じゃなくて「をかしき」だろうと目くじらを立てるのは、言葉どおり滑稽です(笑)
それでも、「おかしきことこそ」とは、何を指して「なんと