【2022年11月旅(1)】エピローグ

2022年11月11日(金)~11月15日(火)
4泊5日の旅に出た。

きちんと計画した一人旅に出るのは何年ぶりだろう
前回の旅は10年以上前だと思う。
大阪を経由し、和歌山県と奈良県を回った今回の旅はとても満足度が高く、充実したものだった。

10代、20代の頃の一人旅と比べ
度胸、知識、金銭的な余裕が増えたからだろうか
明確な答えは分からないけれど
今回の旅は自分の人生のなかでとても大きな出来事のひとつになるだろう


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「そうだ、京都に行こう」
高卒1年目、勤めていたブラック企業を辞め、精神的に不安定だったときにふと思い立ち京都・大阪に行った。

知識もなにもない中で、初めて訪れた関西はとても大きかった。
様々な観光地を巡ったけれど、旅を振り返ったときに思い出すのは宿泊したホテルのことだ。

京都のホテルの間取り。
大阪で泊まったホテルがシングルで予約していたのにグレードアップでトリプルルームに泊まれたこと。

そんなどうでもいいことをやけに覚えているのは、関西のホテルに泊まることにとても緊張していたからかもしれない。

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2022年の旅もそう。
「そうだ、旅に出よう。旅にでないとだめだ」
そう思い立って、気が付いたらスマホであらゆる航空会社の空路を検索していた。

とにかくパワースポットと言われている地域に行きたくて思いついたのは「出雲大社」

出雲大社は2011年頃に訪問したことがあるけれど「何度でも訪れたい」と思わせてくれる場所だった。

しかし生憎、新千歳空港~出雲大社へのアクセスが難しく断念。島根県をはじめ、鳥取県、広島県、岡山県には魅力的なスポットがたくさんあるので、チャンスがあれば10日くらいかけてゆっくりと旅をしたい。


「出雲大社だめかぁ…どうしよう。どこいこう」

そんなことを考えながら眠りにつこうとしたとき「高野山があるじゃない」と閃いた。

そこから再びスマホで検索開始。
・関西圏から高野山までのアクセス
・高野山エリアの宿泊料金
・高野山以外の最寄りの観光地
調べれば調べるほど、胸の高鳴りは止まらなかった。


なぜ、いま、高野山なのか。

昨年、大好きな祖母が急逝した。
悲しかった。

もともと祖母と祖父は真言宗の檀家さんだった。
祖母は祖父が若くしてなくなったあと、寂しさを埋めるためかお寺の主催する旅行によく参加していた。

高野山をはじめ、四国八十八ヶ所巡り、中国、台湾などさまざまな地域を旅していた。

そんな祖母が生前「高野山はよかった。あそこで食べた胡麻豆腐は美味しかった」と言っていた。
私はその話を深堀りしなかった。

それをいますごく後悔している。
「どのお店で食べたの?旅館?宿坊?」
「どんな色の胡麻豆腐だった?」
「私も食べたいから今度一緒に高野山行こうよ」

話を広げることはいくらでも出来たはずなのに
私はしなかった。

またいつでも会える
今度会ったときに聞こう
そんなことは傲慢だった。


祖母が高野山で見た景色、感じたこと
四国八十八ケ所を回った時のエピソード
静岡県から北海道の辺鄙な町に移住してきたときの話
私が産まれた時、どう思ったか
祖父はどんな人だったのか
祖母はどんな人だったのか
何が好きで何が嫌いか
令和を生きる祖母は何を感じているのか
煮豆の作り方

なんでもいい。
もっと話を聞けばよかった。
もっと祖母に教えてもらいたいことがたくさんあった。
人の寿命は永遠ではないのに、どうして身近な人の命は長く続くものだと信じて疑わないのだろう。

「高野山に行こう」と決めたときに、そんな後悔の波が再び押し寄せてきて、少し情緒不安定になった。
いや、情緒不安定はもともとか。


少し話が逸れてしまったが、私は大好きな祖母の見た景色を感じたくて和歌山県高野山に行こうと決めた。

(つづく)


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