見出し画像

望まぬキャリア分断のない世界へ

このnoteは今の勤め先への感謝と、キャリアコンサルタントとしての願いを込めて綴ろうと思う。

「越境リモート勤務」、はじめます

先日、三菱電機、海外でリモート勤務可能にという記事がリリースされて、Twitterの駐妻(夫)界隈でちょっとだけ話題になっていた。記事の要旨自体は人材獲得やキャリア形成を目的として越境リモート勤務が出来るように制度を整備した、というものだが、「休職or退職せずに配偶者に帯同できる」と少なからぬ期待が寄せられていた。

その、越境リモート勤務を図らずも5月1日から開始することになった。

私が勤めるブティック系人材紹介会社は、コロナ禍よりリモート勤務が解禁され、現在も出社のしばりなく各社員が自由にワークスタイルを選択し、日々働いている。従前から各コンサルタントが自分の裁量で仕事をするスタイルで、組織もオールフラットなのだが、それが働く場所にも適用されたわけだ。
そんな状況だったので特に産前はほぼほぼリモートで勤務し、多くの同僚は私の大きいお腹を拝むことなく産休入りを見送ってくれた。

そのため、夫の海外赴任が決まった時、私は「うちの会社であればきっと海外からのリモート勤務も問題ないだろう」と、そこまで深く考えることなく勤め先に相談を入れるのだ。米国東海岸は日本との時差がエグく、業務調整必至な中、ふたつ返事で「ええよ!」と言ってくれた社長には感謝しかない。

無知な私は当時越境でのリモート勤務を、国内でリモートする位の温度感で捉えていた。しかし、記事にあるように、国ごとで異なる制度の確認や仕組みの整備など、事務方には煩雑なお仕事をかなり増やしてしまうことを後で知る。さらに、時差があるため業務調整も入ってくるわけだ。これらをたった一人の社員のためにしてくれる会社、凄すぎません?

帯同家族が対峙するキャリア分断

ところで、私は渡米後からFacebookで在米日本人のコミュニティに入ったり、Twitterを使い始めたりして、たくさんの駐妻(夫)さんらの存在を知ることとなった。肌感覚だが、仕事をしているのはほんの一握りで、ほとんどの方が休職や退職という形をとって帯同してきている。仕事をしている方も、フリーランスや、現地就職、パートという方々で、私のように越境リモート勤務というケースは聞いたことが無い。

退職ではなく帯同休職が出来るようになっただけまだマシという声すらあり、三菱電機さんの記事がセンセーショナルに打ち出される位なので、越境リモート勤務が出来る会社なんて本当に数える程度なのだろう。
自分で起業をしていたりフリーランスをされていて手に職がある方は良いかもしれないが、現地で就職するとなると語学的なハードルは高い。配偶者に帯同したことで、望まぬキャリア分断の憂き目にあっている方は多いように思う。

帯同配偶者の勤め先からしたら、帯同は本人の勝手であり、うちの会社で働き続けたければどうぞ日本に残って就業してください、という話だろう。だけれど、それぞれの家庭にその時々でベストな家族の形があるわけで、そしてその家族があった上でその会社でいきいきと働く彼/彼女がいるわけで、、、。海外駐在によって、家庭とキャリアの二者択一に迫られている人がいる現状を強く憂う。

仕事を続けたいと願う人が、海外からも仕事を続けられる世の中にならないだろうか。
様々なハードルがあることを知っても尚、越境リモート勤務が広がることを無邪気に願ってやまない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?