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発達障害児と地震で避難する時に親はどうしたら良いのか

防災を語る時にはどの立場か、どのタイミングか、どの場所かで見えてくるものがかなり違う。
めまぐるしく状況が変わるので、災害時の防災に関する情報の中でも親目線で「発達障害児と一緒に避難する時にどうすれば良いか」に特化した記事だ。子供は保育園〜小学生を想定している。

はじめに

事前準備とシュミレーションが何より大事

実際に地震が起こった時にいざその場でできることは本当に少ない。また想定以上のことが災害では沢山おこる。

①住んでいる地域を知ろう

津波ハザードマップで2階まで大丈夫だけど、洪水ハザードマップでは避難所は2階まで浸水するため使えない所もある。
地震で避難所に来ても河川が決壊したり上流のダムが放水を決めたり、津波が想定以上に来たら浸水する可能性が高い…なんて避難所もあるので事前に確認が必要だ。

上記のサイトで住んでいる場所が過去にどんな地域(田畑、埋立、災害慰霊碑)だったかを知ることができる。
明治以前から存在する神社仏閣を避難先候補として調べる方もいるとか(『建築基準が厳しくない時代から現存する場所は災害に強い』と言う考えらしい)

②子供と自分の日常生活を整理する

平日と休日で分けて考える。
どこで、誰と一緒の時に被災する可能性が高いかが見える。想定される避難所も複数と言うことだ。

①②③自宅で被災した場合
(徒歩で行ける避難所、車で行ける避難所、避難所に行けない場合の周辺の建物)
④学校で被災した場合
⑤学童で被災した場合
⑥放課後等デイサービスで被災した場合

少なくとも6パターンが考えられる。旅行や移動等のイレギュラーは除く。まずは確率が高いところから想定したほうが良い。地震はいつだって日常の中である日突然起こる。

ここまでが前提だ。

福祉避難所に関する2つの誤解

誤解①福祉避難所に行けばいいと言う誤解

SNSで「発達障害児は福祉避難所に行けばいいんだね!」と書いてあるのを見た。
ちょっと待ってほしい。

実は自治体によるが、福祉避難所は最初に利用できないことが多い。
多くの福祉避難所は災害時に必要に応じて開設される避難所であり、まずは自治体が開設する指定避難所に避難するよう言われている。

福祉避難所は高齢者福祉施設が指定されていることが多い。
寝たきりや車椅子の高齢者の中に突然発達障害児が「福祉避難所に行きたいです」と言って、すぐ受け入れてもらえるからと言うと難しいんじゃないかと思う。

大抵施設は平時も利用者が多く、スタッフも合わせた数になっており、余力が有り余ってるなんてことはない。そこにスタッフ自身が被災したり、福祉施設避難所そのものが被災している可能性もある。

そういった状況で福祉避難所に最初に入ることが想定されるのは、要介護度が高い高齢者や医療的ケア児だろう。そうなると発達障害児は最初、一般の指定避難所で暮らすことが想定される。

誤解②自宅避難や車中泊しかないと言う誤解

結論から言う。

①真っ先に避難所に行き避難者名簿を提出する
②津波警報等が解除されて安全が確保されるまで待つ
警報解除後、避難所の居心地が悪ければすみやかに自宅避難や車中泊を選ぶ

この方法が良い。
地盤沈下や液状化など、道路状況は時間が経てば経つほど悪くなる。もちろん「自分のいる場所は建造物の構造も備蓄も大丈夫。電気も上下水道も問題ない。救助されることもない」と言う状態であるならば、わざわざ避難所に行く必要はないと思う。
我が家もソーラーパネルやポータブル電源、簡易トイレなど自宅避難できるよう準備をしている。

ただ災害時に電気もなく自宅に引きこもっていると、行政や福祉はすぐに状況を把握できない。
避難所に行き、避難者名簿で「在宅のまま避難所のサービス利用を希望する」旨を伝えて自分たちの存在を助けてくれそうな人にちゃんと知ってもらうことが大事だ。無事を報告した方が良い。

実際に我が家が震災で避難した時、いち早く避難所に来た【発達障害児】や要介護度の高い【認知症高齢者】、抗がん剤治療や発熱などの【体調不良者】は事情を話すと個室や小部屋に誘導してもらえた。後から来れば来るほど、大部屋や体育館へ入らざるを得なかった。

個人的にオススメの避難所は、旧校舎を改築した中規模公民館だ。グラウンドが残っていて、今は公民館が併設されているので調理場や個室(和室)がある。

(子供たちが通う学校は、実は避難所としては発達障害児にとっては辛いものがある。大人数が一気に押し寄せてきて勝手が分からず「早く開けろ!」と大声を出して大人が要求するのを目の当たりにするから、私は正直我が子にはつらいだろうなと思う。
地方だと公民館は地元の人が多く来るので、慌てながらも大人も子供もパニックコントロールがしやすい)

地域や行政とつながり自分たちの存在を知ってもらっておくと良い

やみくもに近所や公務員とつながれば良いと言うのではない。

①避難所施設の職員
②選挙会場や避難所開設時にいる公務員
③消防団員を兼務している公務員
④地域の自治体保健師

顔見知りになると良いのは上記の方々だ。つながり方は下のような方法がある。

①放課後等デイサービスは、会議や研修で行政とつながりがしっかりしているところと契約する。
②避難所施設を普段から利用する。
③地域行事にはできる範囲で顔を出し、自分たちもできることを手伝う。

声高に要求するだけでは信頼関係は築けない。私は避難所開設も自分が避難した時には手伝うようにしている。
机を出したり備蓄品を配ったりできることはある。そうしていると「この避難所には普段この種類の備蓄が、これだけの量あるんだな」と言うことがよく分かる。

子供に伝えてあること

何も持たずに逃げる。家に戻らず避難所に行く。の2つを伝える理由

緊急時に沢山のタスクは実行できない。我が子は発達性協調運動障害も疑われ、真っ直ぐ早く走るのも苦手なタイプだ。

なので一人の時の避難方法としてこれだけは実行して欲しいので、このルールを伝えている。
「家に戻って親を探してはいけない。一番近い避難所にいたら、パパかママが迎えにくる。貴方の大事な物はパパとママが運んでくるから。避難所に逃げるように」と伝えている。

次回の記事では「地震に備えて、今すぐ子供とできること」について記事にまとめたい。

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