インフルエンザについて。その②治療。

先週末は天候が悪く、
雪がふったり大変でしたが、
受験生にとっての一大イベントである共通テストなども
無事終わったようです。お疲れ様でした。

東京都健康安全研究センターによると、
2023/12/25-12/31の定点観測報告では、
まだまだ多い(定点19.22人)ようです。
ウイルス検出状況では、
AH3 亜 型 が 122 件 、 AH1 pdm09 が 79 件 、 B型 が4件と
AH3亜型が優位で、Bも少しでてきたようです。

前回に引き続きインフルエンザです。
What You Should Know About Flu Antiviral Drugs.
CDCより。
 

インフルエンザは治療できますか?

インフルエンザの治療に使用できる「抗ウイルス薬」と呼ばれる処方薬があります。CDCは、インフルエンザに罹患している、あるいはインフルエンザの疑いがあり、喘息、糖尿病(妊娠糖尿病を含む)、心臓病など、インフルエンザによる重篤な合併症のリスクが高い人に対して、迅速な抗ウイルス剤治療を推奨しています。
 
インフルエンザ抗ウイルス薬とは何ですか?

インフルエンザ抗ウイルス薬は、呼吸器系でインフルエンザウイルスと闘う処方薬(錠剤、液剤、吸入用粉末、点滴液)です。 抗ウイルス薬は市販されていません。医療従事者の処方箋がなければ入手できません。抗ウイルス薬は、細菌感染と闘う抗生物質とは異なります。インフルエンザ用の抗ウイルス薬は、インフルエンザの治療にのみ作用します。

欧米では健康な人には抗ウイルス剤は処方されない傾向のようです。
そもそも発症48時間以内に、
気軽に受診できるような医療体制ではないのでしょう。

抗ウイルス薬の利点は何ですか?

インフルエンザの症状が出てから2日以内に治療を開始すると、抗ウイルス薬は発熱やインフルエンザの症状を軽減し、罹患期間を約1日短縮することができます。呼吸器合併症や入院などの合併症のリスクを減らすことができます。重篤なインフルエンザ合併症のリスクが高い人にとって、抗ウイルス薬による早期治療は、入院を必要とするような重症化ではなく、軽症で済むことを意味します。インフルエンザで入院した成人の場合、早期の抗ウイルス薬治療が死亡リスクを低下させるという研究報告もあります。
 
 抗ウイルス薬は、いつ服用すべきですか?

抗ウイルス治療は、インフルエンザの発病後すぐに開始すると最大の効果が得られます。研究によると、インフルエンザの抗ウイルス薬は、発病後2日以内に服用を開始するのが最も効果的です。しかし、特にインフルエンザの合併症が重症化するリスクが高い場合や、重症化して入院している場合は、それ以降に開始しても効果が期待できます。

基本的に、ウイルスの増殖を抑える薬なので、
早めに飲んだほうが良いです。
48時間以内にのめば、
罹患期間を1日短縮できるとされています。
一番きつい時期が1日短縮できるなら、
飲めるなら我慢しないで飲んだほうがいいような気がします。
48時間経過したら、まったく効かないわけではなく、
リスクが高い人は飲んだほうが良いです。


インフルエンザ治療に推奨される抗ウイルス薬は?
CDCが推奨するFDA承認の抗ウイルス薬は4種類あります。
 
①経口投与用のリン酸オセルタミビル(タミフル®)、
②吸入投与用のザナミビル(リレンザ®)。
③静脈内投与用ペラミビル(ラピアクタ®)、および
④経口投与のバロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®)がある。

・タミフル®は錠剤または液体懸濁液として入手可能で、14日齢以上のインフルエンザ疾患の早期治療薬としてFDAに承認されています。

 ・ザナミビルは粉末の吸入薬で、7歳以上のインフルエンザの早期治療薬として承認されています。(注:吸入器を使って投与されるため、喘息やCOPDのような呼吸障害のある人には推奨されません)
オセルタミビルとザナミビルは1日2回、5日間投与します。
 
・バロキサビルは1回1錠を経口投与する錠剤で、慢性疾患のない5歳以上12歳未満の小児および12歳以上のすべての人のインフルエンザ疾患の早期治療に承認されています。(注:妊娠中の人、授乳中の人、複雑な疾患や進行性の疾患を持つ外来患者のインフルエンザ治療には推奨されません。またバロキサビルは、データが限られているため、入院患者におけるインフルエンザ疾患の治療にも推奨されません)。

タミフルは、20年以上(特に日本で)使われており、
ジェネリックだと114.4円/個とお安くなっています。
昔、内服後10代の患者が飛び降りたという事件があり、小児の投与が制限されていたことがあります。現在では10代に特化した副作用の記載は消去となっています。
以下に詳細を引用しておきます。

平成30年日本医療研究開発機構 研究班の検討によりインフルエンザ罹患後の異常行動がオセルタミビル使用者 に限った現象ではないと判断し、全ての抗インフルエンザ薬の添付文書について重要な基 本的注意として「抗インフルエンザウイルス薬の服薬の有無又は種類にかかわらず、イン フルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。」と追記されています。
「抗インフルエンザ薬投与の有無に関わらず、就学期以降の小児・未成年者には、異 常行動などについて注意を行った上で投与を考慮し、少なくとも発熱から2日間、保護者 等は異常行動に伴って生じる転落等の重大事故に対する防止対策を講じること、について 患者・家族に対し説明を行うことが必要である。」とされます。

他にも日本では、
イナビル®も使用できます。
こちらは1回吸入で終わります。
ちなみに、欧米では偽薬と比較して有意差が出なかったため販売されていません。日本、台湾を中心とした試験でタミフルに劣らないと判断され、日本では発売されることとなった経緯があります(タミフル耐性株だったのでは、なんてツッコミもあった様子)。
販売後、リレンザと比較して二峰性発熱(いったん解熱後、24時間以内に再度熱発する)という話があったのですが、その後の解析はされてないようです。

個人的には、(ゾロは安いし)タミフルでええやん、
と思ってますけど。
もちろん、希望されれば処方しますよ。
ゾフルーザは耐性ウイルスの観点からやんわりと断わるかなあ。

抗ウイルス薬は、どれくらいの期間服用すべきですか?
インフルエンザの治療には、オセルタミビルまたは吸入ザナミビルが通常5日間処方され、ペラミビルの静脈内投与またはバロキサビルの経口投与が通常1回処方されます。 オセルタミビルの治療は入院患者に行われ、患者によっては5日間以上治療されることもあります。
 
抗ウイルス薬にはどのような副作用がありますか?
副作用は薬によって異なります。オセルタミビルの最も一般的な副作用は、吐き気と嘔吐です。インフルエンザでは、特に小児で吐き気や嘔吐を伴うことがあるので注意が必要です。ザナミビルは気管支痙攣を起こすことがあり、ペラミビルは下痢を起こすことがあります。その他、あまり一般的ではない副作用も報告されています。

タミフル、ゾフルーザには基本的な注意に「出血」が追記されました。
腹痛、下痢、嘔吐も、インフルエンザ自体でも起こるしどうなんでしょう?
吸入系は、喘息に注意です。

子どもは抗ウイルス薬を飲めますか?
薬によって異なりますが、可能です。米国小児科学会(AAP)は生後2週間以上の子どものインフルエンザ治療にオセルタミビルを推奨しています。オセルタミビルは小児用の経口懸濁液として入手可能です。
ザナミビルは、7歳以上のインフルエンザの早期治療薬として承認されていますが、喘息やその他の慢性肺疾患など呼吸器系に基礎疾患のある小児への使用は推奨されていません。
ペラミビルは、6ヵ月以上のインフルエンザの早期治療薬として承認されています。
バロキサビルは1回用量の錠剤で、慢性疾患のない5歳以上12歳未満の小児、および12歳以上のすべての小児に対するインフルエンザの早期治療薬として承認されています。
 医療機関からオセルタミビルのカプセルを処方されているお子さんで、カプセルを飲み込めない場合は、処方されたカプセルを開封し、とろみのある甘い液体に混ぜて与えることができます。

妊娠中の人は抗ウイルス薬を服用できますか?
はい。経口オセルタミビルは、他の推奨される抗ウイルス薬と比較して、妊娠中の安全性と有益性を示唆する研究が最も多いため、妊娠中のインフルエンザ治療薬として推奨されています。バロキサビルは、有効性や安全性に関するデータがないため、妊娠中や授乳中には推奨されません。
 
どのような人が抗ウイルス薬を服用すべきですか?
インフルエンザで入院している患者、インフルエンザで重症だが入院の必要がない人、年齢や健康状態からインフルエンザの合併症が重症化するリスクが高い人がインフルエンザの症状を発症した場合、できるだけ早く抗ウイルス薬の投与を開始することが非常に重要です。インフルエンザ合併症のリスクが高くない軽症の人は、医師によって早期に抗ウイルス薬による治療が行われることもありますが、それ以外の健康な人でインフルエンザ合併症のリスクが高くない人のほとんどは、抗ウイルス薬による治療を受ける必要はありません。



臨床診断(家族、同僚がインフルエンザで、高熱ありとか)でも処方可能なので、夜間祝日なんかはオンライン診療でもいいんじゃないかなあと思いますけど。

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