見出し画像

不同視弱視の治療でアイパッチ 7.長いことすりゃあいいってもんじゃなかった

こんにちは。近藤ろいです。

今4歳の上の娘は弱視治療をしています。

「遠視性不同視弱視」といいます。左目が強い遠視であまり見えておらず、治療をしなければ将来眼鏡をかけても視力が出ないかもしれない状態です。

今は家庭で健眼を遮蔽するアイパッチ療法もしています。

今日はその話題から。


何度目かの「アイパッチ嫌がるのよ」

またこの話題ですわあ。
みんチャレで仲間を募ろうと思い始めた少し前のこと。

上の子・4歳。

2ヶ月ほど治療用眼鏡を掛けて、あまり視力が上がらなかったので、
アイパッチをすることになりました。

生真面目な性格なので、する必要性は重々理解しているのですが、
見える方の目を隠して、露骨に見えなくなるので、治療用眼鏡と違って嫌がる嫌がる


これを書いているアイパッチ開始4ヶ月目の今こそ、「どちらかといえば、する」方にシフトしていますが、治療開始1~2ヶ月目の時は、そりゃあもうバトルでした。

親は必死ですからね。
「ここで視力を上げておかないと、あっという間に臨界点の6歳になってしまう」。

しかし娘本人も必死です。
「嫌なものはイヤッ!」

4歳児 vs. 4●歳児。

意地と意地がぶつかっても、どちらも折れません。

娘が泣いて嫌がることもあれば、時には私(40代)が泣き崩れることもありました。


こういう時は…受診に限ります。

主治医の先生は、淡々とした人ですがさらりと暖かい方。
前回の診察、アイパッチ着用を言い渡された時に一言呟いて下さいました。

「嫌がるようならまた連れてきて」

今がその時や!!

ということで、ある週末の土曜日に診察してもらいました。
私は心が折れたので、夫と娘の二人でお出かけです。

視力は1ヶ月前と変わらず。残念です。

アイパッチの効果は無いのか?と思いましたが、夫曰く、検査に飽きてしまっていた様子とのこと。
様子見です。

そしてお聞きした、いいこと。

「アイパッチは、すればするほどいいってものではない。娘の場合、3時間前後でやめるように」

えっ!? そうなんですか?

私てっきり、長いことすればするほど効果が上がるんだと思ってました!

だって先輩方のブログなんか読んでいると、
「今日は7時間も着けてくれました〜」とか、「保育園でも完全遮蔽嫌がってません☆」とかの文字が目に入るから…こっちも焦ってしまって…。

私の主治医が「3時間前後」と言った根拠を夫は尋ねなかったので、真意はわかりませんが、
調べるとアイパッチ療法は時に健眼の視力が下がってしまう副作用があるんですね。

(参照)アイパッチ 時間編 | みるみるニュース


はえ〜情報は確かにあるのに、自分に都合のよいものだけを目に入れてました…。


という事で。

今では私も少しはトーンダウン。
朝30分~1時間前後(7〜8時)、保育園帰宅後は1時間くらい(7〜9時、入浴時間を除く)で良しとしています。

本人もちょっとこずるくなってきて、そーっとずらしてテレビを見ていたり、「休憩していい?」と言いつつ外したり。

そのたびごとにイラッ!としますけど、平静を装って「またそのうち着けてね〜」。

めっちゃしんどいけどね!


何とかアイパッチ着用3ヶ月目にして弱い方の目は0.4→0.8に上がり、かつ健眼の視力も保たれていたのでセーフセーフ。


と思わなくてはやってられない。
こちらはアイパッチのためだけに存在している訳では無いのだ。

やっぱり情報が欲しい

そもそもどうしてこんなに藪から棒に「すればするほど効果が上がる」バイアスに騙されて振り回されるかというと、
私のアタマの残念さもさることながら、
情報の少なさもあるよなあ、としみじみ思います。

親としては、毎日手探りです。

子どもは「したくない」と言う。
親はだましだましやるしかない。

でも、そんな暗闇の中で統計的な情報は光明な訳ですよ。

「3時間」と言われているところ何時間まで減らしたら、予後が悪くなるのか?

「3時間」と言われていて1時間ならダメなのか? それでもいいのか?

もとの視力との関係は?

とか。

アイパッチを着用し始めた子どもと親のストレスは、
1ヶ月目にして最大になり、以降は子どもの成長もあり軽減していきますよ。
でも1.5ヶ月単位くらいで「嫌」の波が訪れますよ。
効果的な対応は気持ちを受容すること、他の楽しみに気を向けることだけど、
おもちゃを買い与えてごまかしてもあまり効果はなさそうですよ、

とか。

後者なんかm-GTAでn=15くらい取ったら十分やで!
誰か修論のテーマにでもせぇへんか!?

研究して下さっている方はおられる

CiNiiという論文検索サイトで探したら、ごく少数ですが、類似のテーマで研究されている論文がありました。

上田 智基他 『斜視・弱視児を持つ保護者のストレス-アイパッチと眼鏡の比較-』日本心理学会第83回大会,2019
こちらはどなたでも読める状態です。

岩田遥『偏光フィルムを用いた両眼開放下の新たな弱視訓練の試み』科研費報告書,2020

研究成果報告書はどなたでも読めます。
Occlu-padみたいないかつい装置なしでも、眼鏡に偏光フィルムを用いることで、ストレスフリーに「見えなくする」ことができないか?という研究。
実用化はよm(_ _)m

大牟礼和代他『弱視治療に対するアイパッチ日記の成果』日本弱視斜視学会雑誌 ,1996

気になるけど一般人にはアクセスできないのだ…


ちょっと話が逸れましたが。

情報が欲しい欲しいと何度かこのブログでも書いていますが、
幸いなことに当事者の立場(元・アイパッチをしていた子ども)からコメントを下さる方もおられて、
ああ本願は少しは果たせたなあと思う次第です。

ご本人から許可を頂きましたので、次回は元・治療をしていた子どもさんの立場から頂いたのコメントを取り上げて、
子どもにとっての治療や生活の中での変化を考察します。