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ピカイア式、進化のステップ。背骨ナメクジから、2本足のサルになるまで。

キーとなる言葉解説:

 ピカイア:カンブリア紀生まれの古生物。逃げの一手で、激動の進化を遂げる脊椎動物のルーツ。

 アノマロカリス:カンブリア紀、食物連鎖の王者。強者は滅び、弱者は進化を遂げた代表格。

 アウストラロピテクス:120cmの猿人。2本足で直立歩行できたらしい。

 古生代:生物が盛んに出てき始めた年代の大枠

  カンブリア紀:生命の大爆発

  オルドビス紀:海の中で、大きなダンゴムシ系が流行ってた?

  シルル紀:植物(コケ類?)が陸上?

  デボン紀:植物陸上!そして昆虫も?海はお魚天国

  石炭紀:昆虫が陸上の覇者に。ゴキブリ時代(この時代に生きてなくて、本当に良かった)

  ぺルム紀:巨大大陸、パンゲアが誕生

 中生代:恐竜時代の大枠

  三畳紀:トカゲたちが続々上陸。そして恐竜へ。。。

  ジュラ紀:パンゲア大陸、徐々に分裂

  白亜紀:ジュラシックパーク後の大絶滅

 新生代:5回目の大絶滅後、恐竜のいない世界の大枠

  古代3紀:哺乳類たちの時代

  新第3紀:人類が登場

 大絶滅:生物が一気に絶滅した出来事。恐竜の絶滅は5回目。

本の要点:

 人類になるまで5億年。カンブリア紀の弱者、ピカイア目線で人類まで続く進化の過程を紹介。どのように生き残るか、ピンチと解決法を対照的に書いていて、わかりやすい。

 ポップでかわいいイラストなのに、大絶滅5回を立て続けに解説。一瞬で崩れ去る、住み慣れた環境。そこは奇跡と偶然の産物だったと思い知る。怖いもの見たさの好奇心を刺激しつつ、軽〜い口調が印象的。そんな本。

人間まであと5億年

 6cmのピカイアは、カンブリア紀の古生物。特技は逃げること。
 カンブリア紀の覇者は、なんと言ってもアノマロカリス全長1m。ピカイアは捕食者に狙われるたび、逃げ回っていました。そんな修行(?)のお陰か、現代に繋がる背骨の原型のような「脊索(せきさく)」を持っていて、魚のように泳いだとされています。逃げテクを駆使して脊索できたのか、逆なのか。

 なんにせよ、この6cmが人類につながっていきます。王者アノマロカリスは、カンブリア紀で絶滅。諸行無常。

[獲得] 脊索(脊椎のベータ版)

人間まであと4億1千万年

 お魚天国なデボン紀。ピカイアは進化し、ダンクルオステウスという魚に。しかし魚の個体数が多すぎて、海が手狭になるという困った事態が発生しました。過密問題は、大都市だけの問題ではなかったのですね。少なくともデボン紀の海にはあったかも。

 ダンクルオステウスは強靭な「あご」によって、過密な海をオラオラ営業で切り抜けていたようです。ちなみに6~10m。でかい!サイズはほぼシャチ。そりゃ、みんな逃げますよ。

[獲得] 脊椎+あご

人間まであと3億8千万年

 同じくデボン紀、ユーロテノプテロン。実は、ほぼシャチのダンクルオステウスは、巨体と過密問題で(?)滅んでしまいます。ユーロテノプテロンはアゴを持ちつつもエコな1mサイズ。過密なイアペトゥス海を逃れ、新天地の川へと進出します。ただし、既に進出していた植物(水草)と酸素の取り合いに。ここにも競合他社が!酸素なかったら死ぬやん!酸欠状態な川で、大胆な発想の転換で乗り切るユーロテノプテロン。

「思い切って 地上の空気を吸ってみた」(本文抜粋)

 エラ呼吸を捨てる。見かけはお魚ですが、「」を持ってるんですね。足の原型となる骨格もヒレから徐々に形成されつつ。少しずつ地上への足取りが見えてきました。

[獲得] 脊椎+あご+

人間まであと3億6800万年

 デボン紀後半、いよいよ川への移住者が多くなってきました。最悪な捕食者ハイネリアは、肺の呼吸なユーロテノプテロンの4倍もあり、ヒレが強く、川岸の浅瀬まで這えちゃう天敵でした。逃げ場がなくなる恐怖。。。

「このさいだから、陸に上がってみようかな」(本文抜粋)

 イクチオステガ、いきなりノシノシ歩いた訳ではなく、浅瀬のぬかるんだようなトコに出た程度で、水にも入る。そうですよね。お肌乾燥しちゃうし。後ろ足の指はなんと7本。(前足は化石未発見)

[獲得] 脊椎+あご+肺+

人間まであと2億5000万年

 時代は降り、ペルム紀から三畳紀にかけて。最大の大絶滅が到来します。生物の約95%が死滅。火山活動によって、地球上が酸欠状態に突入。火山灰によって太陽が見えず、植物は枯れていく。。。そんな右も左もお先真っ暗な時代に生きていた、トリナクソドン。少ない酸素を効率よく手に入れるため、肺を補強する「横隔膜」をゲット。

 つまりトリナクソドンは、しゃっくり出たんですね。
 全長45センチの4つ足小型肉食獣。厳しい時代は、小さな体が生き残りのカギなのかも。

[獲得] 脊椎+あご+肺+足+横隔膜

人間まであと1億2500万年

 最も有名な大絶滅。恐竜が滅んだ隕石衝突。栄華を誇っていたジュラシックパークは、寒さに震えてタマゴも育たない環境へと激変しました。そんな時代に生きていたエオマイア、全長10cmの省エネボディは、妊活から根本的に大改革。「胎盤」によって、子供を成長させてから産ませるコトができる。
 この大絶滅で、70%の種が絶滅。恐ろしい。。。

[獲得] 脊椎+あご+肺+足+横隔膜+胎盤

人間まであと9000万年

 地球に初めて樹冠と呼ばれる、私たちが知るジャングルが誕生する古代3紀。大絶滅からのダメージを克服し、地球上の生き物は、再び栄華を誇りつつあった。

 ポスト恐竜の座は、ハイエノドント。チームワークで狩りをするハイエナ似の生物でした。こんなのに団体戦を申し込まれるなんて、不利すぎる。そこで樹上に逃れたカルポレステスは、枝葉をぎゅっと掴むための「親指」を手に入れた。ぶら下がれるし、違う木々に移動し、追手を撹乱することも可能。祖先ピカイアの逃げテクを応用し、逃げ続けたワケですね。

[獲得] 脊椎+あご+肺+足+横隔膜+胎盤+親指

人間まであと5000万年

 完全に樹上生活をエンジョイするには、不可欠なものがあった。それは奥行きをしっかり把握できる「立体視」。目玉を前面にフォーカスできるように、顔の構造がローカルチェンジ。そこで誕生するのがクリクリ目玉が正面についた、ショショニアス。

 目玉の位置を微修正し、広角よりも奥行きを、正確に視るようにしたのだった。ちなみに10cm。まだまだ省エネボディは健在!

[獲得] 脊椎+あご+肺+足+横隔膜+胎盤+親指+立体視


人間まであと400万年

 樹冠での悠々自適なモンキー生活は、地球の砂漠化で、再びターニングポイントを迎えた。ほぼジャングル全てが自宅だったのに、砂漠化で森が激減。自宅が激減。その分、拓けちゃったサバンナ的な土地が広がる世界観。順風満帆な適応生活から、一挙に住宅難民に。

 なんてこったい。これからは、捕食獣が跋扈する平原でのサバイバルが始まる。アウストラロピテクスは、樹上生活から再び地上へ戻ってきたことで、危険回避のために「2本足」で立ち上がったのですね。

 ピカイアから猿人までで、獲得したのは9箇所の大事なパーツ。枝分かれした生物のフロントラインに、私たちがいるんですね。

[獲得] 脊椎+あご+肺+足+横隔膜+胎盤+親指+立体視+二足歩行

スピンオフ的な生物

 人類までの長い道のりからは外れた、万国びっくりショー的なキワモノをぎゅっと紹介。

 サソリは砂漠の生き物ですが、オルドビス紀には、海サソリことユーリプテルスがいました。大海を悠々と泳ぐサソリってファンタジー!
 泳ぐ姿をみたかった!

 ロボットで転生されていたユーリプテルス氏。どこかの屋内プールで、今日も元気にエクササイズされているんですね。

大絶滅の歩き方

 過去5回あった、生物最大の危機!ライトな口調でそれぞれの大絶滅と原因をコミカルに紹介。
 動植物の繁栄で酸素不足に陥り絶滅など、晴天の霹靂なメテオストライク以外にも、連鎖倒産っぽい絶滅があったり。ゆるーく知るのには最強。


ターゲットとしてる人達:

 小学生低学年な方々
 古生物好きな方々


心に刺さった内容:

 弱いから、諦められなかった!(本書のオビ)

オビにあるピカイアさんのお言葉。進化に正解はナイ。結果として正解だった適応手段が、私たちへと繋がっているんですね。

読了日:

 2020年後半

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