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教材紹介【コミュニケーション】「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」

今回はコミュニケーションの教材として「トーキングゲーム」を紹介します。

トーキングゲームについては別の記事でも紹介したことがあります。


シンプルなカードゲーム

トーキングゲームは、元筑波大学附属大塚特別学校の安部博志先生が作ったとってもシンプルなカードゲームです。

ルールは簡単、1人がカードを1枚めくり、その質問について話します。

  • お金を払おうとしたら、財布を忘れてきたことに気づきました。どうする?

  • いままでに見た景色の中で、いちばんきれいだと思うのは?

  • けさ、なにを食べた?

  • カレーライスとラーメンどっちが好き?

  • きらいな食べ物はなに?

(画像は株式会社ナインより)

(画像は百町森より)

二者択一の質問、自分の1番○○を答える質問、もしも…の質問などいろんな質問があります。

答えるのが難しい質問、答えたくない質問には、パスカードを出してパスすることもできます。

(画像は百町森より)

大事なルールが1つ、他の人が話している間は、黙って静かに聴くこと。質問したり、話の内容を否定したりもしません。

以上、とってもシンプルなルールですよね。

少しずつ話せるようになる子どもたち

最初はパスカードを連続で出す子もいます。でもいいんです。

少しずつ話せるようになっていきます。

ゆっくりじっくり待ちましょう。

僕が授業やホームルームで使ったときもそうでした。最初は黙ったままや「えーこれは難しい」と言ってパスカードを選択していた子たちが、回数を重ねるごとに自信を持って答えていくようになるんです。

きっと「周りのみんなが静かに自分の話を聞いてくれる」「難しい/話したくない質問にはパスカードを出してもいいんだ」という安心感を持てることが、話してみようかなという気持ちに繋がるんじゃないでしょうか。

この記事を書いていて、『人的環境のユニバーサルデザイン』という本のことや、「子どもの話を聞く時のポイントは『子どもの話を聞く事』です。」というツイートが思い浮かんできました。

「話を聞くよ」と言う前段に、話を聞いてもらえる安心感がその子にあるかどうかは大事なポイントになるんでしょうね。

静かに集中して話が聞けるように、待てるように

トーキングゲームのルールに「他の人が話している間は、黙って静かに聴くこと。質問したり、話の内容を否定したりもしません。」というのがありましたね。

実はこれなかなか難しいんです。

「えぇーうそー」「そんなんおかしいやん」「早く話してよ」「話長いわ」「さっさとパスしたらいいのに」と心の声が現実の大きな声になって漏れてしまったり

次に自分の引くカードの質問のことが気になってしまうから、聞いている話に興味が持てないからなどで、話を聞くことに集中できなかったり

そんな子たちたくさんいます。

なんなら大人の僕でも難しいなぁと感じる場面はたくさんあります。

でもトーキングゲームを繰り返していくうちに、周りのみんなが黙って話を聞いている姿勢に気づくようになり、そんな自分の言動に気づくようになり、少しずつ頭の中でブレーキをかける力が身についていくのだと思います。

僕が担当していたクラスでも、トーキングゲームを通して気になる質問も話が終わるまで待てるようになり、その待つ力は普段の授業などにも広がっていきました。

「待ちなさい!」と叱るのではなく、ゲームを通して「待つ経験を重ねていき、気づけばできるようになる」なんてすごく理想的ですよね。

まとめ

トーキングゲームについての紹介でした。

巷には様々なカードゲームが溢れています。カードゲームやTRPG(テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム)などが会話のやり取りや広がりなど、コミュニケーションの題材として有効という話もよく聞きます。

お伝えしたように僕自身もこのトーキングゲームを勤務先でよく活用していますし、同僚の先生方や地域の学校の先生方にもおすすめ教材として紹介しています。

今回紹介記事を書くにあたって改めてトーキングゲームについて調べてみたのですが、支援学校だけでなく、児童発達支援や放課後等デイサービス、就労移行支援施設などいろいろな場所で活用されていました。みなさんのトーキングゲームへの想いが伝わってきました。

参考にした記事にもトーキングゲームについての紹介が掲載されています。気になった方は、そちらを覗いてみたり、ぜひ子どもたちと一緒にゲームに取り組んでみてください。




「えらんで きめて つたえるゲーム すきなのどっち?」という2つのうちからすきな方とその理由を伝えるカードゲームもありますよー。


参考にしたサイト

1.tobiraco「人の話を黙って聴くこと、ルールはそれだけです。 きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」

2.百町森「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」

3.Abema ママがしてあげられること ~ 知育取組・音楽・英語・・・沢山の経験でこどももママも幸せ子育てブログ♡in札幌「『トーキングゲーム』自分の言葉で話す!」

4.toribaco「自分の「好き」を伝えよう 相手の「好き」を聞いてみよう えらんで きめて つたえるゲーム すきなのどっち?」


表紙の画像はtobiracoより引用したトーキングゲームのパッケージです。