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書籍紹介『自閉症児のための絵で見る構造化』

『自閉症児のための絵で見る構造化(佐々木 正美/宮原 一郎)』という本の紹介です。

構造化とは?

構造化とは、主に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもやその家族の支援を目的として開発され、広く世界中で実践されている生活全般における総合的・包括的なプログラムである|TEACCH《ティーチ》(Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren)で用いられている、特徴的な手続きです。

「わかりやすいように、環境や取組みを設定、提示すること」と言ってもいいかもしれません。ASDの方にとっても有効で、ユニバーサルデザインや視覚支援などと重なる部分もたくさんあります。

構造化には、「時間の構造化」、「空間の構造化」、「手続きの構造化」の3つがあります。

1 時間の構造化

時間の構造化とは、いつ、何をするか、1週間や1日のスケジュールや特定の場所で行う活動などを、文字やイラスト、写真などを用いて視覚的に提示することです。

(画像はSlideServe「大分県教育センター」より)

(画像はザ・プロンプトより)

タイムタイマーは時間を視覚化してくれる便利な道具です。

(画像はHugKumより)

時間の感覚とは目に見えなく、なかなか難しいものです。ASDをはじめとした発達障がいの子たちには、先の見通しが立たないことで、「次に何が起こるのだろう?」という不安や「何か嫌なことが起こるのではないか」と考えてイライラの高まりにつながる傾向があります。

視覚的に予定を確認できることで、見通しを立てて落ち着いて活動に参加したり、何度も確認することで安心感につながります。

予定の変更の可能性や、特別なイベントの予定なども、あわせて事前に提示することによって、急な事態に対して混乱したり、パニックになったりすることを避けられるかもしれません。

2 空間の構造化

空間の構造化とは、決められた場所で安心して過ごすことができるように、どの空間(部屋・場所)が何をする場所なのかを明確にすることです。

ASDの子どもたちのなかには、空気を読むこと、すなわち状況の理解や場面を理解することが苦手な子どもが少なくありません。空間の構造化によって、場所と行動を一致させ、どの空間が何をする場所なのかを明確にするのです。

勉強部屋、遊ぶ部屋、寝る部屋など、場所と選択すべき行動をマッチングすることで、どこでなにをするのかが明確になります。

(画像はSlideServe「大分県教育センター」より)

部屋のドア、カーペットの色、室内用のテント、ロッカー、ついたて、ダンボールの囲いなどで、場所を明確に仕切りで区別することも有効です。余計な視覚刺激もなくします。

(画像はSlideServe「大分県教育センター」より)

(画像は構造化の指導事例より)

不安やイライラが喚起されやすい子どもには、ゆったりリラックスしたり、パニックになる前に落ち着いて気持ちを切り替えられる「カームダウンスペース」も有効です。

(画像はぼ〜ざん工房より)

3 手続きの構造化

手続きの構造化は、個々の手続きを細かく区切り、何をするのかを視覚的に示して明確にすることです。

時間の構造化が、比較的長いスパンでの構造化をねらいとするのに対して、手続きの構造化では、ある特定の場面や状況に限定した、短いスパンでの構造化をねらいとしています。

どんな順番でなにをするのかが視覚的にわかるように提示するのです。

(画像はスタジオそらより)

(画像は社会福祉法人SHIPより)

以前、視覚支援についての記事で紹介したことと重なる部分がありますね。

空間の構造化と手続の構造化を組み合わせた「ワークシステム」もあります。

(画像はslidesplayer【講義】構造化の基礎より)

盲学校時代には、視覚支援だけでなく、言葉かけの構造化も大事だなぁと感じました。

お待たせしました…ようやく本の紹介です

拾ってきた本の中身の画像をご覧ください。

(画像はメルカリより)

(画像はラクマより)

(画像はメルカリより)

(画像は株式会社つみっくより)

見ていただいてお分かりのような、「構造化ってなんなのか」「自宅や学校で具体的にどうすればいいのか」が視覚的に示されています。正に構造化された説明。

文字通り、一目瞭然です。

僕が言葉で説明するよりも、直接本を見てもらった方がいいので笑、説明はここまでにします。

まとめ

ほんとうにただただ本のおすすめをするだけの記事になってしまいそうだったので、構造化についての説明を加えてみました。

でも本当にパッと見てわかるとってもおすすめの本です。

「構造化ってなに?」「TEACCHティーチってよく聞くけどなに?」「具体的にどうしたらいいの?」なんて思ってる方、ぜひ読んでみてください。

『自閉症児のための絵で見る構造化〈パート2〉(佐々木正美/宮原一郎)』も販売されています。


参考にしたサイト

1.スタジオそら「日常生活の構造化で安心できる環境に!構造化の種類や利点を解説します。」

2.LITALICO発達ナビ「TEACCHとは?ASD(自閉症スペクトラム障害)の人々を生涯支援するプログラムの概要を紹介」



表紙の画像は紀伊國屋から引用しました。