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体験記事「第20回 点字技能試験」

やっと点字技能試験が終わりました。今回は点字技能試験の体験記事になります。

点字技能試験とは

点字技能試験とは、厚生労働大臣認定 日盲社協社内検定試験(点字技能師)のことです。合格すれば晴れて点字技能師となります。

試験は学科試験と実技試験の2つからなり、両方を合格しなければ、点字技能師にはなれません(どちらか片方に合格すれば、翌年はそれが免除される)。合格率は20%程です。

今年はこの試験合格を目指して点字の勉強に取り組んできました。盲学校歴10年とはいえ、点字のルールをなんとなく知っていても、普段の点訳はPCの点訳ソフトを使い、点字を打つのも生徒へのコメントくらいで、プリント類は点字プリンター頼みがほとんど。ルールも一から勉強し直し、木製の点字盤を使ってポツポツと打ちながら勉強をはじめました(それまでは簡易点字盤かパーキンス)。

書き速度も読み速度も未熟でしたが、書き速度(50音速書き)は80文字/2分から、150文字/2分程に、読み速度も50文字/分から150文字/分程に上達しました(受験者の中ではまだまだ遅い方です)。

今回は初体験となった第20回点字技能試験について報告したいと思います。

学科試験について

学科試験は2時間で32問。合格には正答率75%が必要になります。間違えられるのは8問のみ…。

僕は墨字受験だったので、点字の問題用紙を読んで、墨字で回答しました(点字で回答される方もいます)。読む量はそれ程でもなく、僕の読み速度でもまぁまぁ余裕がありました。

出題範囲は、障害者福祉全般から、視覚障がいに関するアレコレ、時事問題、視覚障がいに関する歴史、国語の文法問題、点字表記法についてなど、非常に幅広く、指定されたテキストもありません。

過去問を数年分解くのがオススメらしいのですが、それでも新しい事柄は年々増えていくし、早めに学科試験だけでも受かっておきたいものです。

ちなみに日本点字図書館わくわく用具ショップ日本ライトハウス情報文化センターなどで過去問題集が販売されています。

(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

ただ何度も言いますが、非常に幅広いのです。
今年の学科試験問題で言うと、身体障がい者福祉法や障がい者差別解消法、障がい者総合支援法、読書バリアフリー法、著作権法などの法令について、視覚障がいのアプリについて、補助犬について、中央省庁の障がい者雇用水増し問題について、点字投票について、音響式信号機について、日常生活用具について、スマートサイト について、パラリンピックについて、盲学校について、拡大教科書について、鍼灸や点字の歴史について、点字のJIS規格について、など幅広いジャンルから出題されました。もちろん文法や点字表記についての問題もあります。

noteで関連する記事を書いてきたこともあり、間違えられないところです。というかこの勉強もかねて、記事を書いてきたというところもあります。

問題は4問択一式なのですが、選択肢が難しくて、表面的な知識では解けません。深い知識が求められます。

誰が中央省庁の障がい者雇用の合計人数を覚えているというのでしょうか。

誰がマイクロメートルとニュートンメートルとパスカル病の点字表記を覚えているのでしょうか。

はっきり言って難し過ぎです。読書バリアフリー法が出るだろうと予想していましたが、その問題も自信がありません。

結果は神のみぞ知るというやつです。

技能試験について

技能試験は2時間半で、点字化問題を3つ、校正問題を3つを解かなければなりません。

文字数で言うと、各400〜600文字くらい、点字用紙1枚半〜2枚分くらいです。

どちらも基本的な分かち書きやレイアウトはもちろん、最近では英語やURLなどインターネット関連の書き方も出題されています。

特に校正問題はマスあけや句読点の有無、鏡文字や漢字の読み間違い、数字やアルファベットの書き間違いなども出されるため、集中力が求められます。というか点字の試験なのか校閲の試験なのか分からなくなってきます…

僕の読み速度や書き速度はでは時間が足りず、また見直しをすればする程、正解が間違いに見えてくる不思議…。

そして今回は時間配分を間違え、アルファベットやURLの間違いを打つのに手間取り(長いURLを打ち間違えたときの絶望感たら…)、分かっていた間違いを全て打ちきれずに終わるという大失態でした。

はっきり言って自信なしです。後悔が残る技能試験でした。

受験を振り返って

結果の発表は12月以降とのことですが、合格基準について、学科試験は75パーセ以上の正答、実技試験については、点字化問題は減点20点以下、校正問題は75%以上の校正箇所を指摘し、校正表の誤りによる減点が40点以下となっているようです。

校正問題の時間配分が悔やまれます。早目から点字を打っていれば…。また周りの人たち(特に点字ユーザーの方)は点字を打つスピードが速いので、すごく焦ってしまいます。そして点字化問題、点字用紙6枚程を一気に打ち続けると、周りの熱気も相まって身体が火照ってきます。思わず上着を脱いでしまいました笑。腕も疲れて重くなり、打ち間違いも増えてきます。

とは言え1日の試験で身体も精神もヘロヘロです。どちらか片方でも受かっていればいいんですが…

次に受験する機会があれば(合格している自信がない笑)、時間配分と点字の読み速度と書き速度をさらに向上させないといけませんね。

過去問を繰り返し解いて、時間配分を確認しないといけません。

しかし、この試験に向けて勉強して学んだ内容は僕自身の身になりました。点字って奥が深い。そしてまだまだ頑張らないといけないなと思わされました。しばらくゆっくりしたらまた勉強ですね。

追記

予想通りというかなんというか、学科試験のみの一部合格でした。これで令和4年の試験まで学科試験は免除になります。

またぼちぼち頑張らないと!!!

でも何割くらいできてたかとか教えてもらえると、次へのモチベーションになるんですけどねえ。ならない場合もあるだろうけれど。

点字技能試験受験者のための「点字技能師チャレンジ講習会」というものも毎年夏に開催されているので受講を検討しようかな。近くで開催してほしいなぁ。

年2回開催くらいにしてくれるとモチベーション維持もできるんですけど。

まぁいろいろないものねだりしても仕方がないのでぼちぼち頑張ります。


表紙の画像は富山市ボランティアセンターホームページより引用しました。