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特別支援学校からの発信「余暇活動ノススメ」

突然ですが皆さんは休日に何をして過ごしていますか?なにか趣味のようなものはありますか?そしてもう一つの質問ですが、「障がいのある方の休日の過ごし方ってどんなのだと思いますか?」今回はそんな休日などの過ごし方、余暇活動について紹介していきます。

余暇活動ってなに?

余暇活動ってあまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。ちょっと調べてみました。

余暇活動は生活に必須な食事や睡眠、身の回りの用事などの基本的な活動(1次活動)や、仕事や家事などの労働(2次活動)以外で自由に過ごすことのできる時間(3次活動)です。

余暇活動(3次活動)時間=24時間-生活の基本活動(1次活動)-仕事や家事(2次活動)
健康長寿ネット「高齢者の余暇活動と生きがい感」より)

つまり睡眠や食事などの生活活動と仕事や家事以外の自由にできる時間にすることが余暇活動です。イメージ的には趣味なんかをして過ごす時間でしょうか。

障がいのある方の趣味

障がいのある方の余暇活動や趣味と言われるとみなさんはどんなことをイメージされますか?

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質問の仕方が少し意地悪だったかもしれません。多分余暇活動や趣味について障がいがあるないで違いはないと思います。

電車が好きな人もいますし、アニメや漫画、ゲーム、絵を描くこと、料理すること、音楽を聴いたり演奏したり、カラオケ、YouTube、野球やラグビーや相撲などのスポーツ観戦、ランニング、プロレス、グルメ、旅行などなどなんでもあります。

一口に電車と言っても、路線図や時刻表を覚えるのが好きな人から、電車に乗るのが好きな人、電車の写真や動画を撮るのが好きな人、動画を見たり聞いたり好きな人、アナウンスが好きな人、車掌さんの格好が好きな人、プラレールやNゲージなどの模型が好きな人様々です。

僕が出会ってきた、いわるゆ全盲という見えない方たちも、一緒にフロアバレーボールやグランドソフトボールをプレーしましたし、ブラインドサッカーもサウンドテーブルテニスもやりました。カラオケやアニメ、映画、野球観戦、読書(点字でも音声でも)、バンド、ピアノ、Twitter、電車(このソファの触り心地が変わったんですよと解説してくれた子もいましたし、アナウンスやメロディ音を完コピしてる子もいました)、料理(魚をさばいて刺身にする人や揚げ物をする人もいます)などなんでもあるし、なんでもできるのです。

余談ですが、昔何かの研修で、同じように「健常者と自閉症とADHDの方が描く人物像を想像してそれぞれ描いてください」と言われたことがあります。そして描いた後に、「障がいがあろうがなかろうが『必ずこんな絵を描く』というのはありませんし、それがあるとすればあなた方の偏見ですよ」と言われて確かにと思ったことを思い出し、今回こんな形の記述にさせてもらいました。

30〜40代で高くなる障がいのある方の離職率

少し話は変わりますが、就労された方の離職率は30〜40代で高くなるという話を聞いたことがあります。家庭を築き、子どもができることが多くなる世代です。多くの方が働き続けるのは、家族のためであったり、趣味などの楽しみのためであると思います。

そこで、なんのために働くのか、なんのために生きるのかが大事になるのでしょう。

加えて30〜40代は、親が高齢化する年代でもあります。それまで親と外出するなどの過ごし方をしていた場合、親の高齢化のため外出頻度が減るかもしれません。

またある調査によると、「仲間がいない」「時間が合わない」「介助者が得られない」「何に参加したいのかがわからない」などの理由で平日も休日も外出しない方が一定数いるようです。そういう方にとって、趣味の世界や友だちと過ごす時間がなんのために働くのか、なんのために生きるのかの答えの1つになるかもしれません。

僕のガイドヘルパーとボランティアの経験から

僕は大学生のときに先輩に紹介されたガイドヘルパーのアルバイトをはじめました。その利用者さんとは今でも交流があるのですが、週1回のその外出を本当に楽しみにされていました。

お昼ご飯を食べに行く、友だちと話す、映画を観に行く、カラオケに行くことや歴代のヘルパーさんに会いに行って日頃の話や愚痴を聞いてもらうことがある意味ではなんのために生きるのかになっていたのだと思います。

それ以外にも支援学校高等部の子たちと月1回集まって公園に行ったり、料理をしたり、室内レクレーションをしたり、カラオケに行ったりという余暇活動の過ごし方のボランティアもしていました。何か特別なことをしていた訳ではありません。でも同じ学校で過ごす彼らが、月1回のその集まりをとても楽しみにしてくれていて、彼らにとって特別な何かになっていたみたいでした。

同窓会のような、そんな友だちと会う場所はとても大事な存在かもしれません。

支援者の方にも余暇支援を

Twitterで支援者の方への余暇支援も必要というのを拝見して、フムフムと同意しています。

今まで関わってきた保護者の顔が浮かんできて、ガイドヘルパーやボランティアで利用者さんと出かけた後に言われた「ありがとうございます」を思い出しました。休み方を忘れてしまった保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕自身も含めてゆっくりする余裕があった方がいい。放課後等児童デイサービスやガイドヘルパー、ショートステイなどといった制度があるのですから。

まとめ

他にもボランティアで聴覚障がいの方と旅行に行ったりしたこともあります(グアムでの拙い英語と手話を使っての同時通訳は大変でしたが笑)

働き続けたり、元気に過ごしていくために余暇活動を楽しく過ごすことはとても大事なことだと思います。同時に余暇活動を通して、家庭や学校以外の場での繋がりや経験を重ねておくことも大切です。

でも子どもたちの中には休日にどう過ごしたらいいのかわからない子たちもいます。周りのパワーが強すぎると自分のやりたいことがわからなくなってしまう子もいますし、自分で何をするのか決められない子や、保護者の方もどうしたらいいのかわからないケースもあると思います。

家族以外の方に任せることをためらったり、同性で同年代のヘルパーがなかなか見つからないこともあるかもしれません。

どうしたらいいのかという答えがある訳ではありませんが、外との繋がりや場所を学校にいる間から持っておいてもいいかもしれません。学校の部活動も放課後児童デイも働き出してからは利用できません。

それと同時に過ごし方はなんでもいいのかもしれません。ガイドヘルパーでプールにいったとき、その男の子は3時間ほど休憩時間以外はずっと浮き輪にのって流れるプールを流れていました。一緒に流れる僕はとても暇だったのですが笑、そんな過ごし方もアリですよね。

余暇活動について自分の経験も含めて少し紹介してみました。なにをどうすればいいのかはそれぞれだと思いますが、長い人生に張り合いと彩りを与えてくれるそんな余暇の過ごし方が見つかればいいですし、そんな余暇活動について考えるきっかけになれば幸いです。


参考にしたサイト

「障害のある人の余暇活動の保障とその支援における現代的課題 ―教育と福祉の連携について―(杉野聖子)」

LITALICO発達ナビ 大切だけど教えるのは難しい!子どもが「自分で遊びを決める力」

「知的障害児・者の余暇活動の充実に関する研究(引山沙也佳)」



表紙の画像は、育ちの広場すてっぷホームページから引用しました。