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喉風邪チンドウチュウ①

先週、声が出なくなった

アナウンサー1年目で声帯結節(声帯に豆ができ、声が掠れて出なくなる)になってからは、喉のケアには注意をしてきた

が、昨年のコロナと今回の風邪では声を失ってしまった
体のしんどさももちろんだが、精神的なしんどさがすごい

まず、仕事にならない
「飛べない豚は、ただの豚」
という『紅の豚』の名ゼリフもあるが、それ以上にひどい
「声が出ないアナウンサーは、役立たず」
なのである

これはオーバーな表現ではない

ナレーションも、中継も何もかも、声が出なくて済むものはひとつもないのだ

喉は黙ることが一番の薬
熱はないため心苦しいが仕事を代わってもらい、会社を休むことになった

コロナではなく外出もできる
ただ、声が出ない状態での外出は困難を極めるとは思いもしなかった


買い物が、不便すぎる
休んだ分際でも腹は減り、
Mの字のファストフードを買いにいった
声が出ないので
メニュー表を指さして店員さんに伝えることにした

が、無声ではなかなか伝わりにくい
チーズバーガーセットにポテトではなくナゲットをつけたかったのだが、
店員さんが復唱したのは、チーズバーガーの普通のポテトセットに、ナゲットが別でついたバージョンだった

「あ、違うんです。ポテトをナゲットに変えて、ポテトはいらないんです」

とそれだけを伝えたいのだが、それを伝えるエネルギーは残されていなく、後ろに並んでいる人をこれ以上待たせてしまうのも気が引けるので、OKマークを指で使ってマスクの中で笑ってみた


結局ナゲットを食べきれず、4つ冷凍したのだが、私はあれをどのタイミングで食べたらいいのかわからない
ご飯のお供、にも違う気がするし…
単体では少々少なすぎる
しばらく冷凍庫の守り神たれ!


懲りずに、夜には同じくMの字のドラッグストアにも行った

こちらは、袋をつけるか、アプリはあるか、ポイントカードは、クーポンは、支払い方法は

と質問が多く、この状態でお答えするのは面倒だったため手をひらひらさせて、お金だけ払って帰ろうと思った

が、手をひらひらさせている私をみて、店員さんは、何か思いついたような顔をして

「English? Chinese?」

と流暢な発音とで聞いてくれた

きっとこの方は3ヶ国語(あるいはそれ以上)話すことができるすごい方なのだろう
だからこそ、もう本当に申し訳なくて居た堪れないったらない

「喉壊してるだけの、ジャパニーズなんです
本当にすみません!!!お姉さんの才能を使うほどの存在ではないのです!!!涙」


と、どれだけ叫びたかったことか!

私はぺこぺこしながら、手をひらひらさせることしかできずカードでささっと会計を済ませた
そして、せめても、と
ヨガで習った感謝のナマステポーズ(日本のいただきますのかんじ)をして逃げるように店を出た

ヨガはインドの発祥だ
多国籍を加速させた自分を恥じ、猛烈に自転車を漕ぎ、薄明るい夜空に咳が響いた

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