見えざるもの

新型コロナウイルスの脅威はいまだに衰えるところを知らない状況が続いている。が、ここ日本では正直、そこまで切羽詰まっている感じを受けないのがすごい所である。連日報道はされているので、世界、特に欧米の状況は危機的な所に行っているのは理解できる。その違いはなんなのだろうか。


「感染者数」の数は、色々なところで語られているが、発表されている人数よりははるかに多い数がすでに感染しているだろうことは、ほとんどの人が理解しているのだろうとは思う。ちょっと不謹慎かもしれないが「死亡者数」を見てみると、確かに日本は少ない。と言う意味では有識者の言葉を借りるのであれば「ある程度持ちこたえている」のだろう。

とはいえ、ここにきて政府が「休校要請の延長はしない」と発表。日本の現状は、ピークを脱した「ピークアウト」の状況ではなく「持ちこたえている」のだ。何かのきっかけで堰を切ったように広がる可能性を持っている、と言う意味なのである。そんな中で入学式を迎えるのはいささか不安でもあるのだ。自分が接している世界を見てみると、よりその不安は大きくなる。

まずはスポーツ。息子(小6)のサッカーチームが活動自粛となり、卒業を控えたたくさんの試合がぶっ飛んだ。Jリーグも開幕した途端に中断を余儀なくされ、いまだに再開の目処が立っていない。ヨーロッパのサッカーはより目も当てられない。各国リーグは中断、ユベントスのイケメン選手、ディバラも感染、レアルの会長はコロナで死亡、ユーロも来年に延期。スポーツとはいえ「興業」なので、お客さんが入ってナンボ、試合ができてナンボな世界、選手の給料も払えなければチームも解体に向かうだけである。


そしてオリンピックだ。すったもんだの末に、現状(3/24)延期の方に一気に舵が切られた。あれだけ開催開催と言っていた安部総理まで、国会で「現状、予定通り行える状況にはない」とぶち上げた。何が手のひらを変えさせたのか訝しんでしまうほどの変わりようだ。とはいえ、実際、通常通り開催できる状況ではない。日本だって、入国拒否対象の国をどんどん増やしている中で、各国選手団が事前キャンプの予定も組めないわけだ。あとは延期はどのタイミングで決定されるのか、延期される時期はいつなのか、と言う部分だろう。選手選考にも影響を与えるので、かなり揉めることは間違いない。中にはいっそ中止にすべき、と言う意見も現役選手の中にはあるようだ。

そして音楽の世界もなかなか厳しい状況だ。大阪でのクラスターがライブハウスで発生したこともあり、音楽ライブは軒並み中止や延期に追い込まれた。国内だけでなくアメリカのコーチェラ・フェスティバルが延期、イギリスのグラストンベリー・フェスティバルが中止を発表している。


来日アーティスト系は言わずもがなである。そこで心配になるのが、日本のフェスだ。日本は、フジロック、サマソニともに、もともとオリンピック対応で時期をずらしたり形態を変えての開催を予定していた。しかし、コーチェラの延期、グラストンベリーの中止などを受けて、SMASH、クリマンともに戦々恐々としているところだろう。何よりお客さん、アーティスト、スタッフの安全がしっかり守られなければならないのだから。

コロナの怖いところは、やはり目に見えない、と言うところだろう。ウイルスが目に見えさえすれば、感染者も一目でわかるだろうし、ボクサーのごとく避けることもできるだろう。それができない。さらにワクチン、特効薬がいまのところない。だからこそ、ちょっと怖がるくらいの方がいいのかもしれない。

それにしても、コロナウイルスもそうだが、ここにきて再燃した森友問題や検事総長(?)の定年延期など、この辺も我々には見えないところで色々なことが起きている。そうやって考えると、我々は常に見えざるものと隣り合わせで日常を送っているんだな。

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