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オラは見た!の話

「オラは見てはならないものを見てしまっただぁー!」

というのは、キン肉マンのアニメに出てきた「与作」さんの名台詞です。

超人レスラーの控え室などに突撃レポートをして、マスク超人の素顔ですとか、恐ろしい光景ですとか、見てはいけないものを見てしまったときのアニメオリジナルの演出だったと思います。

さて、私が何を見たかというと、夢でございます。

「前世の魂と会話したい」という思いがずっとあり、先日ひょんなことから、そのやり方のレクチャーを受けたのでございました。

昨晩、早速それを試してみたんですよ。前世の魂と会話する方法を。

やっているうちに眠くなってしまいました。

ので、

「すみません、もう眠いです。何かメッセージがある場合は、お手数ですが夢の中までお越しください。おやすみなさい」

と言って寝落ちをしました。

で、まんまと前世の夢を見たんです。

それは今までのヒプノセラピーで見たものとは色合いが違いました。
ヒプノセラピーで見た景色が「よそ行き」のものだとしたならば、今回の夢は「他人には見せられない」ような情景でございました。(ヒプノセラピーは技師さんが隣にいますから、赤裸々な話などは魂が話したがらないのかもしれません)


詳細の描写は割愛しますが、今回の夢で見たのは前世の「アレシュ」が死を間近に迎えたシーンで、死への恐怖というか、こんなにあっさりと死神はやってくるのだという驚きと、まだやり残したことがあるし、残った家族や領民のことも気にかかるし、今わたしが死んだらみんな困るだろう、なんとか回復できないものか、一日で良いから自由に動きまわり、遺言などの死後の準備をしてから死にたいものだ、などといった「アレシュの心情」が流れ込んできました。

アレシュは食中毒で伏せっていました。起き上がる体力もなくなり、ベッドや衣服は吐瀉物と糞尿にまみれていました。

私は歴史書の中にアレシュの死因を探していましたが、こんな姿は歴史に残したくはなかったんだろうな、と感じました。だから、どんな歴史書にもアレシュの死に様を記したものはありません。
遺言状を書く暇もなかったので、そういった資料もたぶんありません。

歴史書には、1442年6月4日にアレシュは亡くなった、とだけ記されているのみです。


けれど、私はアレシュの死に様を立派だと思いました。汚いとか惨めなどとは思いません。

ずいぶん昔に亡くなった私の祖母や、親戚の寝たきりのばあちゃんなどは、死ぬ間際は糞尿を垂れ流し、それを詫びたり恥じたりしながら介護を受けていましたが、それこそが「生きる」姿だと私は思いながら見ていたという経験からです。
糞尿垂れ流しの姿は威厳もへったくれもありませんが、それを世話する周りの人間の中に「愛」をはぐくむ働きがありました。

世話をするのは、仲の悪かった嫁ですとか、親戚の持ち回りですとか、中には嫌々ながら世話をした人もいたかもしれませんが、ばあちゃんを罵る言葉などは誰も言わずに、黙々と排泄の世話をしておりました。

子供ながらにそういった大人たちの姿を見た私は、ばあちゃんは敢えて汚く情け無い姿を晒すことで、周りの人の人間性を高める役目を果たしたんじゃないかな、と、当時を振り返って思います。

アレシュの最後の姿にも、私はそれに通じるものを感じました。
夢の中で、私の意識の半分はアレシュと同化しているので、お尻の下あたりの不快さを感じながら、死の床にあるアレシュの気持ちを共有しました。

と同時に、これは「ペトル•フラデツ」の時にも感じたことなのですが、歴史に埋もれた真実を発見したとして、どこまで世間に発表して良いものなのだろうか、ということを考えさせられました。

600年前とはいえ、そこに生きていたのは今と変わらぬ人間です。
今世の人間と同じような感覚を持ち、知られたくない恥部だって持ち合わせているはずです。それこそ、墓場まで持って行くような隠し事だって。

それを暴いてしまうのは、彼らの名誉を傷つけるのでは?と。

例えば、ちょっとアレな表現になりますが、戦場でお腹が痛くなり、草むらで用足しをしているときに矢が飛んできて頭を射抜かれ、下半身を露出したまま息絶えた、という真実があったとして、それを公表するのはさすがに可哀想でしょう。

あるいは、夜遊びが過ぎて性病にかかり、悪化して命を落としたという不名誉な亡くなり方や、人に知られたくないような事なんていくらでもあると思います。

私がやろうとしているのは、そんな人々の恥部を掘り返して晒すことであってはいけない、と、アレシュの様子を見て強く感じ取りました。

しかしアレシュの死に様については、立派だと思うので堂々と公表します。
夢で私に見せてくれたというのは、そういうことでしょう。
ひょっとすると、アレシュの魂は死後も気づきと成長を得ているのかもしれないですね。

今日のお話はこんなところです。



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