見出し画像

2020年の日記①


前回の日記からの続きです。


2020年2月5日 「ヤン・フスとフス戦争」

この数ヶ月間で、僕の部屋にはたくさん本が増えた。
新しく増えた本のほとんどが中世ヨーロッパに関係する本たちで、部屋がどんどん散らかって行く。
(我が部屋に本棚というものはない。全て手の届く場所に置いておくため、いわゆる汚部屋という状態になっている)

そして今日また新たな本が届いた。Amazonで見つけて購入した、「宗教改革者著作集」というものだ。舌を噛みそうになるタイトルだが、とても良い書物だ。

これはキリスト教(主にカトリック派)に対して改革を論じた、歴代の神職者や神学者の著作・論文を集めて日本語訳したもので、そこに収められている「ヤン・フス」という人の論文を読むのが目的で購入した。

そのいきさつは、下記の通りである。


前世占いを受けてから、僕はRin先生から聞いたキーワードをたよりに、自分の前世が生きた時代と国を探り当てようとしていた。しかしその探究は、まさに困難の渦中にあった。

まず、中世という時代。中世と言っても、その範囲は約1000年ほどもあるそうな!無理でしょ、その中から当てるなんて。

そしてヨーロッパという地域!
イギリス、フランスぐらいなら分かるけど、土地も広いし国も多い。この中のどこかに、キーワードを満たす国があるはずで、オーストリアの近くってのがヒントだ。けど、他のキーワードと絡めると、やっぱり特定が難しい。

そんなふうに、時代と国については、最初はワケが分からなかった。

そこで次のアプローチは、「農民が参加した、宗教色のある戦争」というキーワードを攻めてみることにしたのだった。

最初に思いついたのは、「ルターの宗教改革」だ。
けれど、その舞台はオーストリア……とは言えない。
それに、ルターの肖像画を見ても、あんまり親近感が湧かない。

ルターは違うな、と考えながらいろいろ調べていたところ、こんな記事があった。

「ルターの改革から遡ることおよそ100年前に、既にカトリックに対する改革を訴える動きがあった云々」

それは、15世紀のチェコで起きた「フス戦争」と呼ばれる出来事のようだった。

ヤン・フスという神学者がカトリックの腐敗を糾弾し、改革を強く訴えたのだという。
しかし権力者によってその訴えは「異端」との審判を下され、ヤン・フスは焚刑に処されてしまった。

その死後、フスの遺志を受け継いだ「フス派」と呼ばれる人々が蜂起し、カトリックに対する反乱運動を起こしたというのがフス戦争の流れらしい。

時代は15世紀、舞台はチェコ。当時はボヘミア王国と呼ばれていたようだ。
地理的には、ドイツやオーストリアと隣接している。
そして、宗教色のある戦争であり、農民が蜂起した。

あらまあ!
これって、Rin先生が言っていたキーワードのほとんどに当てはまるじゃないですか!

これかもしれないと思った僕は、その戦争の発端となった人物「ヤン・フス」についてもっと知りたいと思い、あの舌を噛みそうな名前の書籍を購入したのだ。



2020年2月16日 「たくさんのヤン」

フス戦争についての調べ物進捗。
フス戦争には、ヤン・フスのほか、「ヤン」という名前の人が何人も登場するようだ。

ヤン・ジシュカ
ロキツァニのヤン
ヤン・ジェリフスキー

など。
一説によると、僕の好きな「銀河英雄伝説」の主人公のモデルの一人が、ここに出ている「ヤン・ジシュカ」なのではないかと言われているようだ。

ヤン・ジシュカはチェコでは国民的英雄らしい。
プラハを包囲している10万の敵兵を、ジシュカは100人に満たない寡兵を率いて撃退したという伝説がある。事実だとしたらすごい話だ。

ちなみに、フスの存命中は戦争は起きていないし、フスは対話と演説によって改革を進めようとしていた人物だ。
彼は戦争や暴力による改革は決して訴えていなかった。

フス派の人々が戦争を起こしたのはフスの死後のことで、ヤン・ジシュカとヤン・ジェリフスキーが民衆を煽動・主導したようである。


2020年2月26日 「誕生日前夜」


30代最後の日だ。
今日の天気は曇り時々雨。ついに今年の冬は、雪が積もることはなかった。寒さが厳しくないので、右手にとってはありがたい。
だけど、午前中に仕事をしたら、やはり腕が痛くなって午後は休みをもらった。

母が片付けものをしていたら、昔録音したテープが出てきたという。
1983年の、僕の3歳の誕生日のときの音声だった。
再生してみた。

祖父母の家に親戚が集まり、たくさんの人に囲まれて誕生日をお祝いしてもらっている音声だ。
皆優しい声をしている。

僕は、ちゃんと皆に愛されていたんだな。
今もそうだ。



2020年2月27日 「誕生日」


さあ、今日から40歳。

現在、僕の心は15世紀のフス戦争に興味を惹かれている。
これまでの39年間は、ボヘミア王国なんてのも聞いたことがなかったし、それが現在のチェコだというのも知らないし、チェコがヨーロッパのどの辺にある国なのかもさっぱり分からなかった。

それが今ではヨーロッパ諸国の位置関係もだいぶ分かるようになり、チェコの地理にも詳しくなった。
首都のプラハがあって、南西にはプルゼニ、東にはクトナーホラという街がある。

そして、フス戦争なんて言葉も知らなかったけど、調べてみると面白い。

フス戦争の語源となったのはヤン・フスという人で、カトリック教会や聖職者たちの腐敗や堕落を糾弾して、「人は聖書に書いてある通りに生きるべきだ」と訴えた人物だった。

それは、聖書の内容を自分たちの都合の良いように捻じ曲げて解釈してはいけない、という主張だった。

しかしフスの死後、彼の弟子たちを中心に結成された信徒団体「フス派」は、意見の相違により分裂した。いわゆる穏健派と武闘派とが派生した。
フスの遺志を継いで対話で改革を推進する派と、弾圧から身を守るために武器を取るべきだという派に。

巷では、フス戦争というのはカトリック対フス派の戦いだと言われることもあるが、実際はフス派同士の戦いという部分が大きいのではないかと僕は感じる。

と、今分かっているのはこのぐらいかな。

でも、なんだかすごくドラマチック。
小説でも書けるんじゃないかしら。


2020年4月12日 「姪っ子」

高校生の姪っ子が、骨折してしまった。
公園で転んだそうだ。入院になるそうだが、コロナ禍のため面会はできないという。

寂しいとは思うけど、頑張れ姪っ子。

姪は高校生ながらにして、環境活動や不登校支援のボランティアなどにも参加している素晴らしい子だ。

ピースボートに乗るのが夢だと言っていたが、コロナ禍に船旅は危ない。

怪我が治る頃にはコロナ禍も落ち着くと良いな。


2020年4月13日 「進捗」

ロキツァニのヤンという人物がいる。
彼はフス派の聖職者で、どちらかというと平和推進派(穏健派)だ。

フス派の武闘派が大軍を率いてプラハに侵攻しようとした際、その隊長であったヤン・ジシュカのいる陣地に、プラハの穏健派代表としてロキツァニのヤンが単身で乗り込んだ。
そしてジシュカを説得し、軍を引かせてプラハを守ったという。

いや、すごくない?

いったいどんな話術でジシュカの説得に成功したんだろうか。
というか、ついその数年前には、ジシュカ自身がプラハの街を外敵から守ったというのに、その後の数年でどうしてプラハへ侵攻する側になってしまったのか?

うーん、そのへんのいきさつをもっと詳しく知りたいが、資料がなくて困る。


2020年4月14日

昨日に引き続き、15世紀のチェコについて調べ物を続けている。
調べを進めると、今までの人生の中でチェコに通じているものがあったことにも気づく。

たとえば、子供の頃に聴いて、ずっと心に残っていたメロディがあった。
その時は曲名なども分からずに聴いていたが、バイオリンだけの素朴な音で、それを聴くと何となく懐かしいような、どこか外国の景色が見えるようなイメージだった。

あとで曲名を知ったのだが、その曲はドボルザークの「ユーモレスク」という曲だった。
ドボルザークはチェコの出身だったというのも、恥ずかしながら最近知った。
「新世界より」という曲も好きだ。

あと、「モルダウ」という曲も好きだった。これはチェコ出身のスタメナという作曲家の作品だ。

あと、絵画でいうと「アルフォンス・ミュシャ」の絵も好きだったが、彼もチェコ出身だった。

いつか行ってみたいな、チェコ。



2020年4月15日


最近は、ロキツァニのヤンをモデルにして小説を書こうと思い、いろいろ案を練っている。

しかし、今知っている情報だけでは不明な部分も多く、例えば彼の幼少期の様子なども分からなかった。
そこで、不明な点はフィクションを織り交ぜて描いてみようと思った。

どうせなら、実際の僕の生い立ちと重ねようと思い、ロキツァニのヤンの実家を鍛冶屋という設定にした。
うちも町工場をやっているから。

そして、ヒロイン枠には僕の姪っ子をモデルにした女の子を登場させよう。
ロキツァニのヤンの姪っ子ということにし、彼女が成長して平和団体を立ち上げ、やがてフス戦争を終結させるという流れにするのだ。

「終焉のヤン」なんてタイトルはどうだろう。


2020年4月23日


さて、今日も今日とて「ボヘミア王国」や「フス戦争」の事を考えたり、調べたりしておりますよ。

小説の物語のだいたいの方向性がまとまって来たので、あとは歴史的な裏付けをとって、史実の流れに主人公の物語を乗せていこうと考えている。

物語の舞台はプラハ南西にある、プルゼニあたりがいいなと思っていた。
ロキツァニのヤン(ヤン・ロキツァナ)という人物がフス戦争の終盤のキーマンとなるようだ。
彼の出身は、プルゼニ近郊のロキツァニ村という場所らしい。
彼を主人公にしようかとも思ったが、オリジナルのキャラを主人公にした方が良いかな、とも考えていた。

主人公の実家は鍛冶屋で、守銭奴的な父親のやり方に反発して家出をし、フス派の軍隊に参加する。
でも戦場で負傷してしまい、行き倒れになったところをヒロインの「エリシュカ」に助けられる。

エリシュカは、ヤン・ロキツァナの姪っ子だった。
主人公はその縁でヤン・ロキツァナに師事することになり、やがてエリシュカとともに平和団体を創設し、戦争を終結させるのだ。


っていう流れにしよう。

……と思って、キーマンとなるヤン・ロキツァナについてもっと詳しく調べるため、英語のWikipediaなど、外国語で書かれた資料を見ることにした。
(日本語の記事は情報量が少なすぎる。)

すると、驚くなかれ。

なんと、【ヤン・ロキツァナは鍛冶屋の息子として生まれた】とう記事が書いてあったのだよ!!

しかも、【実家の鍛冶屋を継ぐのが嫌で家出をしてプラハに行き、そこでヤン・フスに出会った】とまで書いてあるではないか!!

えええー!まじすか!まじすか!?

いやいやいや、フィクションとして考えていた設定が、史実とおんなじだったなんて!

これはすごいことだ。

最近いつの間にか前世探究よりも小説のほうに集中してしまっていたが、なんやかんやで前世の人物に近づいているんじゃないかな。
少なくとも、僕の前世はヤン・ロキツァナの事を近くで見ていた人物なのかもしれない!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?