見出し画像

地味な魔法の本には良書が多い

『ふたごの魔法つかい』シリーズを長女が読みだしたので自分もどんなもんなのか読んでみることにした。

てっきり双子の姉妹が魔法使いになって活躍する話かと思いきや、魔法使いは少女達ではなく、500歳の双子の魔女。街のひまわりの花を魔法で守ってきたこの500歳の双子の魔女がケンカしてしまって……という展開でちょっと予想外。

物語の背景には一面のひまわりの花畑が街の開発に伴い失われていっているという経済成長と開発の背景で失われる自然というテーマがあって、長年その自然を守ってきた魔法使いの片割れがもう知らん、と匙を投げることからケンカが始まるというちょいと硬派な児童書。

魔法というと、火が吹き出してきてドンパチやるようなお話が多いけれど、そういう魔法バトル系ではない地味な魔法系物語には良書が多い気がする。地味な魔法良書説。

地味な魔法の筆頭がル・グウィンの『ゲド戦記』で、地味さも素晴らしさも圧倒的。子供の頃に読んだ印象だと2巻の暗い迷宮を彷徨うすごく鬱屈とした閉塞感のイメージが強くて、大人になって再読してもあぁ、やっぱ2巻の閉塞感すごいわって感じだったなぁ。懐かしんでるとまた読みたくなってくる。

本書でも最後の最後に出される魔法は過去のひまわりの花畑を一瞬見せること。ただ、それだけ。ただそれだけなんだけど、今に至るまでの過去を見て、今を知る、過去を知ることで見える今、みたいなことってあるよな、と思ったり。

どうでもいいけど、岩波は少女文庫ないのよね。少年文庫という名称はなんとなく今のジェンダーの感じに合わないなって感じがしてしまった。もっとも、少年老いやすく学成り難し、という場合のように、性別関係なく年が若いことの意で用いられることもあるから、そちらの意味での少年なんだと解釈すれば問題ないのかもしれないけどね。


自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。