100店舗越えても手作りオペレーション 華婦里蝶座(カプリチョーザ)が好き

カプリチョーザ知ってますか? では創業シェフの本多征昭は?

イタリアンレストランチェーンの先駆け。
トマトとニンニクのスパゲティに、イカとツナのサラダにライスコロッケ。
熱々ブルーベリーソースがかかったバニラアイス。
実家の近くにあったので子供の頃の思い出の味で今でもたまに食べたくなる。

渋谷に本店があって、そこに創業者の写真が飾られていて、
どうやら若くしてお亡くなりになった方で、
創業時の表記は「華婦里蝶座」で・・・

なんとなくそれくらいのことは知っていたのだけど、
『カプリチョーザ 愛され続ける味』を読んでみたら
思ってた以上にドラマのあるお店だった。

創業シェフの本多征昭は単身イタリアで修行し、
ヨーロッパで数々の賞を受賞。
大阪万博のイタリア館のシェフに(イタリア側で)選ばれ
凱旋帰国というすごい経歴の持ち主。

渋谷の本店開業後は連日長蛇の列で芸能人も通っていた話題の店に。
この味をもっと多くの人に届けたいとフランチャイズ化の説得を受け、
チェーン店舗をオープンし始めるのだけど、
その頃すでに本田の体は病魔に、、、

今や100店舗を越えるチェーンなのに、
セントラルキッチンで用意された食材を各店へといったやり方はせず、
野菜も肉も魚もすべて店舗で洗ってさばく、といったやり方に
こだわっているなんてことも、この本を読むまで知らなかった。
手作りオペレーションを維持した手作りチェーン店という自負があるみたい。

チェーン化する際は、本多の味をレシピ化しなければいけないのだが、
塩は少々、何グラム?と聞いても適当、としか答えないので苦労した、なんて話も。

そもそもイタリア料理にはムラがあって良いとされていて、
六本木のヂーノのシェフのイタリア修行時代の話が面白かった。

「イタリアで修行中、ラザニアをつくるときに生地を綺麗に四角につくって、トマトソースやベシャメルソース、具材を綺麗に盛って並べたら教授に怒られました。これでは一人で10口食べても全部同じ味になってしまうだろって。もっと料理にムラをつくっていい。その方がソース、チーズ、生地の素材の味が引き立つ。理性を伴ってムラを作るのがイタリア料理だと言われたんです。」

わざとムラをつくって味の変化を出すってのはなるほどな、と。
画一的で均質なものには出せない魅力があるというのは、
他のことにも通じる話な気がする。

データ分析と個人の嗜好に対する最適化、みたいな文脈においても、
綺麗に最適化されるとつまらなくなってくると思うんだよね。
自分自身ですら予想しない情報との出会いがあって初めて面白い訳で、
データをベースにしつつもそこに意図的にある種の雑味を混ぜておかないと
すぐ飽きられる気がするのよ。

レコメンドとかコンテンツの最適化ってそういう視点を忘れるとうまくいかないんじゃないかな。本屋さんの棚の作り方も同じ気がするな。
もともと興味のある系統の本だけ並んでいたら便利かもしれないけれど、
面白くはないんだよね。それだとあんまり通わなくなっちゃう。

とまぁ、そんなことを考えつつ、
カプリチョーザ久しぶりに食べに行きたいなぁ。

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