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ところ変われば。。。音楽療法士が見る子どもの抱える問題

こんにちは。

私には、ベルリンで子どもと若者専門に音楽療法士として働いている友達がいます。
とっても尊敬できる友達のひとりです。

彼女はこれまで、ベルリン郊外で中高生を対象に、またベルリン市内のクリニックで小さい子どもを対象にセラピーをしてきているのですが、昨年末にまたベルリン市内の別のクリニックでの小さい子ども専門の音楽療法士としてのお仕事も始めました。

昨日久しぶりに会って話を聞いたところ、ベルリン市内でも地区によって子どもたちの抱える問題に違いが現れる、と。
彼女の働くふたつのクリニックは電車で30分も離れていませんが、ひとつはベルリン市内では裕福な方ではなく親の学歴もそこまで高くはない地区。もうひとつはベルリン市内でも裕福で親の学歴も他の地区よりは高い地区。
情報保護のため、ひとりひとりに関する詳細はもちろん聞けませんが、それほど遠くないふたつの地区の間でも顕著に違いが現れるということに驚きました。

小さい子どものセラピーなので、保護者と話しながら、協力し合いながらして進めていくことがとっても大切です。そのため、始める前に、そしてセラピーの期間中、定期的に、保護者の方たちとお話をするそうです。

ひとつめの地区では、親に放っておかれたり食生活が荒れていたり、また問題を直視しようとしない保護者も多くて、連携を取るのがとても大変のようです。そして、子どもたちは、自分の殻に閉じこもってしまったり、お友達を傷つけるようなことをたくさんしてしまったり、大人に関心を持ってもらうために目立つ行動を取ったり、また特定の大人に異常に執着したり。こういった形の愛着障害や対人関係障害がよく見られるそうです。

もうひとつの地区では、裕福な親にたっぷりと甘やかされて育って、欲しいものは全て手に入る子どもたち。この地区の保護者の方たちは、自分の子どもをどんなセラピーが待ち受けているのか興味津々で、期待も大きく、音楽療法士としてのこれまでの経験やどんなセラピーをしていくのかなど、始める前から根掘り葉掘り聞かれることが多いそうです。この地区でセラピーに来る子どもたちは、自分の願いは全て親によって叶えられてしまうため、周りへの関心が薄く、がんばることも少なく、お友達への思いやりに欠けていたり諦めが早かったり、集団行動が苦手な子が多いようです。また違う形での対人関係障害が現れています。

(表現に専門性が欠けるのは、完全に私の知識不足と日本語の表現力の乏しさによるものです。友達はプロフェッショナルな音楽療法士なので、悪しからず。)


トラウマセラピーの資格も持っている彼女。
2015年頃にドイツが多くの移民を受け入れた頃には、多くのトラウマを持った子どもたちと接することも多く、プライベートでは友達の子どもに会うエネルギーがないほどにヘトヘトになっていました。

戦争もなく自然災害も少ないドイツ国内で、ましてやベルリン市内でもこれほどに子どもの抱える問題に違いが現れるとは。
地区ごと全体の傾向なので、もちろんひとりひとりそれぞれの環境もその影響の現れ方も様々です。

しかし、それほど子どもたちは自分たちの周りの環境に敏感に影響を受けているということを、改めて痛感させられました。

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