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日本人は子宮頸がん予防の後進国。子宮頸がんワクチンはちゃんと受けましょう

プレコンセプションケアにおいて、前回までダイエットによる痩せの問題を中心に書いてきましたが、今回は、若い世代において非常に重要で、日本ではとても大きな問題となっている“子宮けい癌ワクチン”について書いてみようと思います。

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは

2008年ドイツの医学者によって子宮頸がんの95%の原因が、ヒトパピローマウイルス(HPV)であることがつきとめられました。HPVは性交渉により感染するウイルスで、性交渉の経験がある女性の50〜80%が感染していると言われています。
また、女性よりも男性の感染者数の方が多く、生涯で90%以上の男性が一度は何らかのHPVに感染していると言われています。

90%の女性は自己免疫によって撃退すると言われていますが、撃退されずに長期間感染したままでいると子宮頸がんや尖圭コンジローマなどが生じることがわかっています。

撃退されずに残った10%の人は感染が長期間持続します。また自己免疫によって撃退されても性交渉によって何度も感染する可能性があります。その後数年~数十年かけて子宮頸がんに進展すると考えられているため、その割合はわずかとは言われていますが、年々増大する感染者数を考えると、早めに予防しておきたいところです。

子宮けい癌患者数が9倍!

日本では、20〜30代の患者数を中心に発症者は年々増えており、1990年の患者数から比べると2015年時点で、20代で約9倍、30代で約5倍も増加しています。年々患者数が増加しているのは、性交渉の低年齢化と、受診率の低さにもあるようです。

資料:GLOBAL NOTE「世界の子宮頸がん検診受診率 国別ランキング」 出典:OECD

日本の子宮けい癌の受診率は、OECD主要先進国36カ国中33位の43.7%と未熟児比率の世界ランキングに続き、非常に残念な状況で、多くの先進国では子宮けい癌で亡くなる人は減少傾向であるのに対し、日本ではなくなる人も増加傾向にあります。。。

子宮頸がんワクチンは必要?90%に高い感染予防効果!

2018年、新潟大学の榎本教授らの研究によって、90%以上の女性に感染予防効果が認められました。特に初交前にワクチンを接種すると更に高い感染予防効果があることが証明されていますが、日本の子宮頸がんワクチンの接種率は、非常に衝撃的な状況にありました。

子宮頸がんワクチンの接種率は、1%!?

昨年末、大きく報道されたことでご存じの方も多いと思いますが、日本では、2000年以降のHPVワクチンの接種率が大幅に減少していました。日本産科婦人科学会が2019年に当時の内閣官房長官である菅元総理に要望書を伝え、2021年11月12日に積極的勧奨の再開が行われたことで、今後は改善していくと思われますが、非常に深刻な問題が起こっていました。

日本産科婦人科学会「HPVワクチンの積極的勧奨再開に関する要望書」より

その理由は、2013年4月に、法律に基づく定期接種の対象に指定され無料で接種が受けられるようになったが、2ヶ月後、接種後に頭痛や倦怠感など体の不調を訴える女性が相次いだことを受け、厚生労働省が積極的な呼びかけを中止しました。

当時の状況として致し方ないところもあったと思われますが、海外では、およそ100か国以上で公的な予防接種が行われ、イギリスやカナダ、オーストラリアでは、接種率が80%を超え、WHOは2030年までにすべての国々で、15歳までの女児のワクチン接種率を90%以上とすることなどを目標に掲げています。

結果的に先進国の中で日本は大きく出遅れた形になってしまっていますが、新型コロナワクチン同様、巻き返しが図られることを期待したいところですね。

子宮頸がんワクチンは安全なの?

日本だけが大きく出遅れた子宮けい癌予防ですが、でも本当に安全なのでしょうか?日本産科婦人科学会の見解では、多くの症例から副作用に関しての因果関係は証明されておらず、また、WHOのもつ世界中の最新データを評価する限り、安全であると判断しているようです。

HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。

また平成28年12月に厚生労働省研究班(祖父江班)の全国疫学調査の結果が報告され、HPVワクチン接種歴のない女子でも、HPVワクチン接種歴のある女子に報告されている症状と同様の「多様な症状」を呈する人が一定数(12〜18歳女子では10万人あたり20.4人)存在すること、すなわち、「多様な症状」がHPVワクチン接種後に特有の症状ではないことが示されました。

2013年の発生当時は、10代の若い女の子たちに多様な症状があらわれ、心配になった親御さんたちが、政府や製薬会社を訴えるなど自体が大きくなりすぎて、収集できないようになったようです。
詳細に関して気になる方は、ご自身でチェックしてみてくださいね(b´∀`)ネッ!

どこで?いくらで?接種できる?

それで現状どうすれば受けられるの?ということで調べてみようと、厚生労働省のホームページを見てみると、下記のような記載がありました。

問3-3. 積極的な勧奨が差し控えられている状態が終了しましたが、具体的にどのようにかわるのでしょうか?
 A類疾病の定期接種については、予防接種法に基づき市町村が接種対象者やその保護者に対して、接種を受けるよう勧奨しなければならないものとしています。
 具体的には、市町村は接種対象者やその保護者に対して、広報紙や、ポスター、インターネットなどを利用して接種可能なワクチンや、接種対象年齢などについて広報を行うことを指しています。
 「積極的な勧奨」とは、市町村が接種対象者やその保護者に対して、標準的な接種期間の前に、接種を促すハガキや予診票等を各家庭に送ること等により接種をお勧めする取り組みを指しています。(※)
※HPVワクチンの場合、標準的接種年齢(中学1年相当)を迎える前に個別に通知することが一般的です。今後、市町村から、接種に関するお知らせが届く予定です。詳しくは、お住まいの市区町村の予防接種担当課へご相談ください。

ひとまずは、各自治体が勧めていくようで、今後は、未成年者に対しては、学校を通して、社会人に対しては、2022年4月ごろから各自治体ごとに周知作業が始まるようなので、今しばらく待つしかなさそうですね。(自費診療の場合は5千円程度掛かりそう)

子宮頸がんワクチンは10代のうちに打ちましょう

浜松医科大学名誉教授の金山尚弘先生に伺ったところによると、子宮頸がんワクチンは、性交渉によって感染します。性交渉を行う前にワクチンを接種することが大切です。今後10代の接種は必須となると思いますが、もし接種していない場合は、少なくとも20代のうちの接種をするとよいそうです。

性交渉の経験がある方でも、男性がHPVに感染していない可能性もあるので、効果が下がってしまう可能性はありますが、感染する前にの早めのワクチン接種を心がけましょう。

男性は全額自費負担…

というわけで、最終的には、ようやく子宮頸がんワクチンの重要性が認められ、今後は多くの人が打てるようになるからよかったね。と思いたいところですが、肝心の感染原因でもある男性はというと、全額自費負担のようです、、、。あるクリニックの接種費用を見ると、1回18,000円、3回で50,000円と、衝撃の自己負担額が記載されていましたが、ここはどうなるんでしょうね〜(・д・)ジーッ

まとめ

これまでのプレコンセプションケアの内容に比べると、大ニュースになった話題なので色々と考えさせられる部分が多くありましたが、なんにしても一歩は進んだということですかね。
未接種の女性の皆さんは、4月以降に行われるという接種機会を逃さないようにちゃんとチェックをしておきましょう(b´∀`)ネッ!


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