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ミツモアが目指したい「サービス体験の理想形」は? CXO吉村昌子にインタビュー

「ミツモアなら何でも頼める」と思われるようにしたいんですよね──。

そう語るのは、ミツモアCXO(=Chief Experience Officer)の吉村昌子でした。

CXOとは、ミツモアのサービス体験向上を担うポジション。ミツモアでは事業者・依頼者両方のサービス体験を目指すわけですが、具体的にどういったことに取り組んでいるのでしょうか?また、最終的に目指したい「ミツモアとしてのサービス体験」とは?話を聞きました。

吉村 昌子 Masako Yoshimura CXO
マッキンゼー・アンド・カンパニーにて製造業・IT・小売業界を中心に、大手クライアントの全社トランスフォーメーションやデジタルマーケティング、価格戦略等のプロジェクトに従事。京都大学 法学部卒

コンサルからアーリーステージのミツモアに転職した理由

ー改めて、吉村さんのミツモア入社のきっかけを教えてください。

ミツモアを知ったきっかけは、前職の先輩がミツモアCEOの石川彩子のMBA時代の同期だったことでした。その頃、転職先としてアーリーステージのスタートアップにジョインしたいという希望がありました。当初は自分で起業することも考えていたくらい。そこで、ちょうどVCへ転身した先輩にキャリア相談をしていたところ、石川を紹介してもらったのです。

なぜアーリーを選びたかったかというと、社会にとって意義のある事業を生み出すうえで、一緒に働く人を選びたいと思っていたから。そもそも、仕事に対する考え方は人によってすごく多様で、何が正しいとかは決められないじゃないですか。「こういうことを大事にしたい」「こういう価値観で仕事をしたい」という方針が合わないと不幸な事態にもなりかねない。だからからこそ、価値観が合致している仲間と仕事をすることが、社会にとって意味のある事業を実現する上で重要だと考えています。

そんな気持ちだったので、当初は週3の業務委託としてスタート。その後、正規メンバーとして参画しました。でも、正直なところ、業務委託開始時はミツモアへの入社意思はなく、あくまでアルバイトとしての参加でした。期限も3ヶ月、と区切っていました。

しかし実際にミツモアを手伝ってみると、無理に自分で起業しようとしなくてもいいかも、と考えが変わりました。というのも、CEOの石川も、CTOの柄澤史也も、マーケットにすごく真摯に向き合っている。ミッション達成のために事業へ向き合い続けていましたから。一緒に働くうちに、ここで働きたいと感じ、入社を決めました。

ー当時のミツモアはどんな雰囲気だったんですか?

アーリーのスタートアップだと当たり前ですが、やはりカオスでした(笑)。カオスとは、まだメンバーが少ないので事業推進のための戦略立案も実作業も、なんでもやる状態。マーケ施策考えたあとに給与を計算して、ぽちぽちと振り込み作業をしたりしていましたね…。

あと硬派だな、と感じるところもありました。具体的なエピソードとしては、当時のミツモアは、赤坂の雑居ビルに入居していました。それはもうめちゃくちゃ古いビルで、外壁にはヒビが入ってるし、6Fまで階段だし…。そんな環境なので、家賃は安かったんですが。ミツモアは創業当初から事業を伸ばすことにコミットしているから、ITベンチャーのキラキラ感はなかったですね。事業のための場所さえあればいいと考えちゃうところが硬派で、性に合うなと思ったポイントでした。

産休後にCXOへ就任。プロダクト面・オペレーション面両方の企画立案を担う

ー吉村さんは、入社当時からミツモアの体験全体を見る役割だったのでしょうか?

入社後〜産休以前はなんでもやるという感じでしたね。2021年5月に戻ってきてから、CXOとしてロングタームで体験を改善するための施策を担当するようになりました。

ただ、入社した直後から現在まで、ミツモアという会社のフェーズがどんどん変わってきているなという実感がありました。初めの1年は事業の立ち上げ、その次の1年はPMF(プロダクトマーケットフィット:自社のプロダクトやサービスが、あるマーケットにフィットしている状態のこと)ができました。そしてさらにPMFしつつ、仲間を増やすことに費やした1年があり…。会社としてがむしゃらに売上を作らないといけないフェーズを超えて、ある程度仕組みが回せるようになってきた。

そうすると、短期的な売上だけではなく、長期的な施策にも挑戦ができるようになってきたんですよね。これまで私がやってきたことを研ぎ澄ませると、CXOとしての役割が適任だったのかもしれません。

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現在、CXOとしてCX部を率いる吉村。ミツモアの体験をよくするための様々な施策についてメンバーと闊達に議論を重ねている

ーそして現在、吉村さんはCXOとしてCX部をリードしています。どのような役割のチームなのか教えてください。

産休から復帰した2021年5月以降にCX部が誕生しました。事業者・依頼者ともに体験をよくするための企画立案と実行を担当しています。プロダクト面・オペレーション面両方の企画・仕組み化が主な仕事です。

プロダクト面だと、直近は依頼者が事業者にチャットを送っても事業者から返信が来ない問題に関して対策を走らせています。オペレーション面だと、事業者・依頼者間でトラブルやクレーム割合が多い事業者に警告や利用停止もします。その基準や仕組みづくりをやっていますね。

施策としての確度も、関わるメンバーの納得度もどちらも担保されるレビューフロー

ーミツモアにおいて「サービス体験の向上のためにこういうことが求められている」とわかった瞬間はありましたか?

以前依頼者さんにNPS(ネットプロモータースコア:お客様のサービスへの愛着度を測るサーベイ)を取ったことがあったんです。その際、スピード感とプロの質が体験の鍵になっているのだという発見がありました。

正直、超初期からしばらくの間は、PMFしたのかどうかがはっきりわかりませんでした。事業自体は伸びてはいるけれど、急激な伸びではないという状況。その後自動応募の仕組みができ、1〜2分で自分の見たい見積もりが上がってくる。これがいろんなサービスに展開できるようになった時期でした。依頼者からは返信がすぐ来るテンポのよさ、出会えた事業者の仕事のクオリティのよさを褒めていただけ、やはりここがミツモアの体験上の鍵だと判明しました。

ープロダクト改善ではエンジニアとどう連携しているんですか?

ミツモアにおけるプロダクト改善のやり方が最近大きく変わったので、まずその話をさせてください。

以前は、こういうものを作ったらいいのでは?というアイディアがビジネス側から頻度高く出され、開発側がそれらのアイディアを受け止めて開発することが多かったんです。長らくPdMがいない組織で、開発チームがビジネスサイドにも染み出しながら頑張ってくれていました。しかしその仕組みだと、施策を行っても思うように当たらないことも。成果が上がらないと関わっているメンバーは意気消沈してしまうし、会社にとっても損害があります。

最近新たなプロダクト開発のフローを取り入れました。ちょうど1ヶ月ほど前のことです。施策としての確度も、関わるメンバーの納得度もどちらも担保されるようになってきたかなと思います。

そして現在は、プロダクトに何か変更を加えたい場合、企画サイドでイシュー定義と、その課題を解決するインパクトの測定・ソリューションの方法の適切さをプランニングします。そのプランを経営会議に持ち込み、経営メンバーのレビューを経て、初めて開発フェーズに進みます。その後詳細な開発設計・デザインを行い、実際の開発、リリース、効果検証と、フェーズを進められるようになりました。

レビュープロセスがなかった頃は、エンジニアにとって納得度が低い開発もあったかもと推察しています。レビューフロー導入後はエンジニア側からもポジティブな声を聞き、だんだん解決されてきている実感があります。

トラブルが起きやすく、起きてしまった場合のペインも大きい。決済の課題を解決するために

ー吉村さんが直近で「決済方法改善プロジェクト」を主導していたと聞きました。

ミツモアにおいて、これまで決済周りが一番トラブルが起きやすく、そして起きてしまった場合のペインも大きい、という課題がありました。

これまでのミツモアでは、事業者の方が現地で仕事をし、依頼者へ現金で料金を支払っていました。そのやり取りに起因するトラブルが多かったんです。例えば、事前に話していた作業内容と違いが発生したなど、当初の金額とは違う支払いになるなどがあったのです。また、作業後に不備を見つけたものの、すでに現金で支払ってしまったので払い戻ししてもらいにくい事態も時々起きていました。そうしたトラブルをなくしたいと考え、決済方法を改善するプロジェクトを始動。それが「決済方法改善プロジェクト」です。

具体的な対策として、後払いの仕組みを導入しました。後払いは、事業者に仕事をしてもらったあと14日間にコンビニや銀行で支払いができ、現金で支払うことができる。依頼者にメリットがあるのです。

ミツモアにはクレジットカード支払いがあります。クレジット払いであれば、ミツモアが把握している金額でしか決済されません。また、作業後に、「作業完了」というボタンを依頼者が押さなければ決済されないようになっています。しかし、クレジットカードをインターネット上に登録したくないという声もありました。その点、後払いはコンビニや銀行でも支払える。そして、ミツモア上で「仕事完了」ボタンを押さないと請求書を発行できない点はクレジットカードと同じ。金額に関してもミツモアの目も入るし、現地でなんとなく払ってしまいトラブルになることを防ぐことができるようになりました。

CXOとして目指すのは「ミツモアを使えばなんでも頼める状態」

ーCXOとして、ミツモアの過去・現在・未来の考えがあれば教えてえください。

2017年にミツモアへ入社後すぐ私自身の結婚式を挙げることになり、カメラマンをミツモアで頼んだことがありました。実はその当時から、1ユーザーとして利用体験がよかったんですよね。

その頃のミツモアはまだまだカオスで、かなり多忙だったんです。結婚式の準備なんて…という状況でした。「ドレスもネット通販で買うわ!」というくらい忙しい(笑)。そんな中で、ミツモアで23時にウェディング用のカメラマンの依頼を出したんです。23時って、普通の写真館なら当たり前に閉店している時間ですよね。そんな遅い時間にも関わらず、40分で4件の見積もりがつき、24時には実際に話が始められる状態になっていました。

忙しい中でも依頼ができて、自分が希望するやりたいことを伝えて、それを実現することができるという事業者だけから見積もりがつく。しかも夜中に!そうした体験を目の当たりにして、ミツモアのありがたさを身にしみて感じました。当時の課題としては、一部の地域の、一部のサービスでしかそういう状況は実現できていなかった。「カメラマン×東京」は事業者さんも多く、状況が恵まれていたんですよね。

そして、そのころはまだ自動応募モデルが導入されておらず、カメラマンさんは応募に対して1件1件手打ちでメッセージを送信していただいていた時代。そんな中で深夜に4件もの見積もりが届いたという結果は今思うと本当に恵まれていました。事業者さんからしても、リード課金モデルであるため、正直ミツモアの利用がコスパがいい人とそうでない人がいる状況でした。

そうした課題は、自動応募機能で一定割合改善することができました。しかし、そもそも事業者さんがいない地域であれば自動応募も届かないし、自動応募が届いたとしても、チャットで質問や連絡をし、その後返信がないと体験としては途切れてしまう。体験をよくしていく余地はまだ多分にあると考えています。

ミツモアは現在30のカテゴリで300サービスを展開しています。過去のアップデートによって、都市部の一部のサービスでの経験改善はしてきましたが、「ミツモアを使えばなんでも頼める状態」には全然及んでいない。300サービス全てで同じ体験を提供し、もっとサービス数も伸ばせるはず。

地域における事業者数が少ないようなカテゴリでも、マーケティングに力を入れる。オンラインでのサービス提供を促す。オンラインでの面談や書類やりとりでも済むもの、リモートでもOKなものは、オンラインのサービスとして、見積もり取れるようにしたりなど、まだまだできることはたくさんあります。

メンバーそれぞれの意思決定も求められるフェーズ。積極的なトライ・アンド・エラーを

ー今このフェーズのミツモアに関わることのメリットや楽しさがあれば教えてください。

今のミツモアは、成長するためのトライ・アンド・エラーが繰り返しやすいフェーズだと考えています。事業を一つ、きちんと立ち上げるためには、メンバーのリソースの最適配分をしないといけないので、アーリーフェーズでは経営層による決定事項が多いです。

現在はある程度仕組み化でき、メンバーそれぞれの意思決定を通じて事業の成果を上げることが求められるフェーズになってきているため、積極的にトライ・アンド・エラーをしてみてほしいなと考えています。

(取材・編集:福岡夏樹、執筆:伊賀あゆみ)

現在、ミツモアは事業拡大を進めており、多くの職種で積極採用中です。
Wantedlyにて募集しているので、カジュアルに面談に来てみませんか?https://www.wantedly.com/companies/meetsmore/projects#jp__engineering

ミツモアの詳しい会社説明は「ミツモア 会社説明資料 / about meetsmore
」を公開しております。


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