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1ヶ月の「女性起業家プログラム」が幕開け!キックオフイベントレポート

2021年7月21日に、グローバルスキンケアブランドSK-IIと渋谷区、女性起業家コミュニティを運営するmeeTalkが連携し、共同で開催する女性起業家支援プログラムキックオフイベントがオンラインで配信されました。
 
新型コロナウィルス感染症の影響を受けた、東京で中小ビジネスを経営する女性起業家・事業主を支援する目的で1ヶ月間に渡って行われる本プログラム。
 
キックオフイベントでは、渋谷区長の長谷部健さんジャーナリストの浜田敬子さんがオープニングトークに出席したほか、WAmazing代表取締役・CEOの加藤史子さんSelan代表取締役の樋口亜希さん経済キャスターの瀧口友里奈さんcotree・コーチェット代表取締役の櫻本真理さんらがトークセッションに登壇。夢のにむかって進んでいくためのヒントやエールを送りました。イベントの様子をお届けします。

冒頭では、SK-II STUDIOの映像作品それぞれのスタジアム(BEYOND THE STADIUM)が流れ、#CHANGEDESTINY 資金の立ち上げが紹介されました。

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さらに、同社のグローバル イノベーション兼マーケティングリーダー、ヨージン・チャンさんグローバル ブランドコミュニケーションズ シニアディレクター、シューチー・フーさんより開会にあたってのビデオメッセージが届けられました。

【セッション1】女性起業家を取り巻く現状

  SPEAKR:長谷部 健 / 渋谷区長、山中 直子 / meetalk 代表取締役、浜田敬子 / ジャーナリスト

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続くオープニングでは、渋谷区長の長谷部健さんmeeTalk 代表取締役の山中が登場。ジャーナリストの浜田敬子さんがモデレーターを務め、女性起業家を取り巻く状況とプログラムについての説明を行いました。

まず、SK-II、渋谷区、meeTalkの3者の取り組みになった経緯について、山中が「SK-IIが “CHANGEDESTINY資金”を活用したプロジェクトを発足させることになり、女性起業家のコミュニティを運営してきたmeeTalkに、一緒に企画とコミュニティ連携する旨相談をいただきました。CHANGEDESTINYの信念に共感し、”主体的に選択して生きていく女性"のコミュニティである私たちの思いと、一緒に取り組むことになりました。

また、スタートアップエコシステムのグローバル拠点都市として成長することに力を入れている渋谷区とmeeTalkは毎年女性起業家のための取り組みを行っていましたので、ともに取り組むことになりました」と説明します。
 
約330万人いるとされている日本の社長。しかしそのほとんどが男性で、女性はわずか13.4%の45万人というデータがあります。

これだけ数が少ないと、女性の経営者同士が出会う接点というのは沢山ありません。事業のことや心身のことについて気軽に相談できる人に出会うのは難しい状況です。そのような中でやってきたコロナ禍。女性起業家たちはどのような影響を受けたのでしょうか。

長谷部区長は、「保育園の休園などで、仕事が制限されてしまった際に、男性よりも女性のほうが多くハンデがあったかと思います。また、飲食やフリーのデザイナー、エンターテインメントに関わる人たちが苦労している声を聞きました。一方で、ネットを活用したビジネスを展開するなど変化に対応していく、力強い動きも見られています」と話します。

今回の取り組みについて、具体的に女性起業家プロジェクトではどんなことが行われるのかという質問に、山中は「「学ぶ」「つながる」「発信する」を軸に、誰も予想できなかった未曾有の時代に、継続して事業を発展させて行くためのプログラムが展開される予定だ」と言います。

6つのカテゴリー

4つのプログラム

キャプション:予定されている6つのカテゴリーと4つのプログラム

行政との連携があることによって、事業者にとっては顧客の安心や信頼を得ることができ、渋谷区としても「企業と連携することで区だけでは解決できない課題の打開策が見つかるかもしれない」と長谷部区長は本プログラムへの期待を語りました。

【セッション2】コロナ禍を乗り越える

  SPEAKER:加藤史子 / WAmazing 代表取締役/CEO、樋口亜希 / Selan 代表取締役、瀧口友里奈 / セントフォース 経済キャスター

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続くトークセッションでは、「コロナ禍を乗り越える 売上98%減、事業の一時ストップ、危機の中でも事業を存続させる施策と舞台裏」をテーマに、WAmazingの加藤さんSelanの樋口さんが登場。モデレーターは経済キャスターの瀧口友里奈さんが務めました。

5年前から、訪日外国人向けのインバウンドサービスを行なっている加藤さん。このコロナ禍で事業が大きなピンチに陥ってしまいました。

「(打撃を受けた)最初は2020年1月25日。政府が武漢からの旅行者の入国を禁止すると発表した日です。その頃はまだ、謎の肺炎が流行しているのだなという感覚でしたが、この発表により武漢以外からもキャンセルが続きました。次に打撃を受けたのは、クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』の件。台湾が渡航注意を出しました。香港・台湾からの顧客が多かったのですが、4月には顧客がほぼゼロの状態に。1月と4月の売り上げを比べたら98%ダウン。当時100人超の従業員がいたのですが、給料を払うだけで起業寿命がグッと縮まったのが見えました」(加藤さん)

バイリンガル大学生が、保育園や学童に子どもの迎えに行き、帰宅後は自宅で家庭教師をしてもらえる「お迎えシスター」というサービスを展開する樋口さんも、休園や休校の影響をダイレクトに受けることになります。

「これまでは対面のサービスのみだったので、売り上げが一気にゼロになりました。どうすれば生き残っていけるか、チームで話し合い急遽オンラインサービスを立ち上げました。これまで『親子』のサポートを行っていたのに、オンラインではサービスが不十分になるのではないかという不安がありました。しかし、非対面で短い時間だとしても子どもを任せられる時間があることが、在宅勤務の親の助けになるという発見がありました」(樋口さん)

実は加藤さんは樋口さんのサービスのユーザーなのだそう。「樋口さんのサービスにはとても助けられています。親も子も一日中家にいるのですが、私は資金調達に忙しく、十分にケアができないと感じていました。学校が止まると、生活リズムも崩れるので、起こすのも一苦労なんです。でも、オンラインだとしてもお姉さんたちに会うとなると子どももシャキッとするんですよね。私も緊急度の高いミーティングをしている間、隣でYouTubeを見られているより、お姉さんたちと会ってくれているほうが心強いです」

コロナ禍で大きな課題として現れた資金繰り。二人はどのように乗り越えたのでしょうか。

「(スタートアップでは)売上の中から再投資するのではなく、実際は赤字でもトップラインを伸ばして行くという経営をするところが多いです。なので、売上が止まれば毎月赤字に。『口座残高/赤字=残りの企業寿命』なのですが、リアルに終わりが見えて、急いで新規事業を立ち上げるとともに、人件費以外でのコストダウンに着手しました」(加藤さん)

「私も、計算してみると半年後に終わりが見えたので、私は資金調達に走り、チームとしては新たなレベニュー(定期所得)を探しました。オンラインサービスは2週間で立ち上げました。そのくらいのスピード感がなければとても生き残ることができなかったので。新しいサービスのクレーム対応は私が引き受けました。いろいろなやり方があるとは思いますが、私としては苦しい時にトップがフロントに立つことがチームのモチベーション維持につながると考えています」(樋口さん)

苦しい中で「雇用を諦めたらラクになれるのにという思いもよぎった」と加藤さんが本音を打ち明けます。「正直に言うと、雇用を諦めたらラクになれるとは思いました。けれど、オフィスは探せばまた見つかる。だけど、人はそうではありませんよね。(前職の)リクルート時代から、価値創造の源泉は人だと教えこまれてきたので、雇用は守ると決めました。インバウンド需要は復活し、また成長すると私は確信しています。それまでは生き延びることが優先。その時に必要になるのはオフィスではなく、今のメンバーの力だと思っています」


【セッション3】困難を乗り越えるためのメンタルウェルネス

  SPEAKE:櫻本 真理 / cotree・コーチェット 代表取締役

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最後のセッションには、「女性起業家のメンタルウェルネスを考える」をテーマに、カウンセリングサービスのcotree、コーチングサービスを提供するコーチェットの櫻本さんが登場。モデレーターをmeeTalkの代表 山中が務めました。経営者として、前向きな姿を見せ続けたいけれど、このコロナ禍でやり場のない思いを抱えた人も多いはず。
 
「私は証券会社出身なのですが、ハードワークが過ぎて睡眠障害になったことがあります。その時にクリニックで病名を診断されて薬を処方されるだけ……というプロセスに違和感を抱いたことが現在の起業のきっかけとなりました。ストレスが深刻化する手前の段階で、カウンセリングを気軽に受けられるようになれば、と」
 
櫻本さんは「経営者の悩みのひとつに、身近な人や部下に弱みを見せるのが難しい」という面があると指摘します。「自分のレベルの悩みをわかってくれる人が少なく、どう解決したらいいかわからなくて自分で抱え込んでしまう人が多いのです」
 
持続可能な事業運営のために、資金調達だけではなく経営者のメンタルケアも必要なのではないかと山中さん。自身も事業を進める中で「表面的には楽しいこと、ポジティブなことを発信していても、お金のこと、組織のこと、スキルや知識、人間関係……毎日のように起こる想定外の出来事にバタバタしていた」と言います。
 
そんなときにカウンセリングやコーチングが役に立つ理由は「気づきや行動変容のきっかけになるから」だと櫻本さん。
 
「対話のサービスに対してお金を払うのはまだ一般的ではないと思うかもしれませんが、気づきや行動変容に対しての対価なのかなと思います。自分自身への解像度を上げたり、視座を高めたりする営みです。問いかけられることで、ふわっとしていたものが具体的に見えるようになる。自分が何を見ていて、何が見えていないか知ること。問いかけを重ねることで、やるべきことが明確になります」(櫻本さん)
 
また、櫻本さんはこのコロナ禍で「利用者が減る、売り上げが減る。将来の不透明さの中に生じる不安。それらが組み合わさって不調につながる」と指摘します。
 
「いつコロナが明けるかわからない中で事業を作っていくのは不安ですが、原因に対処する方法もいろいろあります。経営者という立場では、強くあらねばと思ってしまうことがあるけれど、そういう思いや状況に案外周囲は気づいています。頼り上手であるというのは、起業家として長くやっていくポイントだと思います」(櫻本さん)


また、イベントの最後にはネットワーキングの時間も設けられ、オンラインで参加者の交流も行われました。


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【イベント情報】
イベント名:女性起業家支援プログラム
日時:2021年7月21日(水) 〜 8月20日(金)
内容:女性起業家・事業主のビジネスをサポートするための1ヶ月の学び、ネットワーキングのためのプログラム
参加費:無料
主催:SK-II、meeTalk
協力:渋谷区、Facebook Japan、Google
公式HP:https://meetalk.org/sk2changedestiny/
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ライター:安次富陽子

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