見出し画像

meetALIVE Vol.18 動画コンテンツ戦国時代!デジタル最前線のプロがYouTubeを始めた理由│イベントサマリー

こんにちは。「今、会いたい人に会える」コミュニティ企画meetALIVEです。
コロナ禍でオンラインコンテンツの需要が高まるなか、多くの人が挑戦しているのが動画コンテンツの制作です。YouTubeで動画配信を始めた「伝えるプロ」のお二人を招き、動画コンテンツ戦国時代をどのように生き抜くか、リアルな話を聞きました。

【ゲストスピーカー】
西脇 資哲 氏
(日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト・業務執行役員、ITビジネスコミュニケーション協会 理事、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 アドバイザー、京都大学 iPS細胞研究所 コミュニケーションアドバイザー)
マイクロソフトにて多くの製品・サービスを伝るエバンジェリスト。
1990年代から企業システム、データベース、Java、インターネットのビジネスに関与し、1996年から約13年間オラクルにてエバンジェリストとして従事。その後、2009年にマイクロソフトにてエバンジェリスト活動を継続。
Youtubeチャンネル:「エバンジェリストの仕事術
【ゲストスピーカー】
小泉 耕二 氏
(IoTNEWS 代表 株式会社アールジーン 代表取締役/CEO)
1973年生まれ。IoTNEWS代表。株式会社アールジーン代表取締役。 フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。日経COMEMOライター。など。 大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。 著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」がある。
Youtubeチャンネル:「小泉耕二の未来予報


スライド1

本イベントまでに収益化基準である“チャンネル登録者数1,000人突破”することを目指し、YouTubeコンテンツ制作に挑んだ西脇さん。徹底的な視聴者分析をした結果、思わぬ傾向を知ることに。

西脇さん1

西脇資哲(以下、西脇) 「本年4月にYouTubeを始めたときは、正直『誰が見てくれるのか』想像できませんでした。だって仕事で疲れてるときにオッサンの顔、見たくないでしょ?

そこで視聴者層を明確にするためにアナリティクスを見てみました。時間帯は夜、曜日は日曜に見られやすい傾向があります。そして男女比率では、圧倒的に男性のほうが見ている。さらに年齢層を見るとシニア……そう、オッサンなんです。つまりオッサンを見ているのは、ほとんどがオッサンなんですね(笑)。

この結果を見て、僕は女性ウケを狙うことは一切やめました。自分のコンテンツが刺さる層に対して、適切な動画を届けていくことに注力したわけです」

一方、YouTubeで社会構造の解説や情勢予想を発信している小泉さんは、視聴者の人生の糧になる情報を届けることを意識しています。YouTubeの視聴者層に合わせたトピック選びのため、試行錯誤を重ねました。

小泉さん1

小泉耕二(以下、小泉)「YouTubeのメイン視聴者層はいわゆる“ネット民”です。アナリティクスを見ると、私の知り合いが視聴しているのではなくYouTube内の流入が多い。それを前提として、たとえば“マウンティングおじさん”について触れるなど、メインターゲットが楽しめるコンテンツを提供することを心がけています。

広告も試験的に出しましたが、視聴回数は伸びても試聴維持率は伸びないことがわかりました。最後までコンテンツを楽しんでもらえないと動画自体の評価は下がってしまうので、広告に頼ることが最善策とは言えませんね」


スライド2

西脇「YouTubeコンテンツを作るには企画構成、収録、編集といったステップがありますが、それぞれどの程度の時間を使っていますか?」

小泉「静止画VTRを挿入した動画は、構成だけでも1~2時間かかっています。自分が話すのみのコンテンツに関しては、撮影30分以内、編集もタイトル挿入などシンプルなので1時間程度。長くかかるものだと、動画1本の全行程平均5~6時間……本業があるとコンスタントな公開はなかなか難しいです」

西脇「プロじゃないと定期的な投稿は厳しいですよね。私の場合、OBSを活用したデモンストレーション動画が主なコンテンツなので、収録に時間をかけます。収録中に編集点も考えながら2~3時間かけて、最終的な編集は切り貼りのみで30分程度です。

編集作業は一番時間がかかるし、自分で編集していると恥ずかしいし、何度も直したくなる。ですので編集を効率的に進めることが、コンスタントな情報発信の鍵を握ると思います」

小泉「それぞれスタイルが異なりますね。著名なYouTuberの方でも、自分で編集するのが好きな方と、編集作業は外注する方とで二分されますから」


スライド3

西脇「サムネイルはあらゆる形を試験中です。どんな人もサムネイルで興味を持って動画を見てくれるわけですから。公開済みの動画のサムネイルを入れ替えることで反応が良くなったケースもありました」

小泉「まずは目に留まるデザインにすることが重要です。YouTubeは派手な色のサムネイルが多いですから、僕も従来のデザインでは考えられないような派手な色で文字を入れていますね。他と比較して見たくなるようなサムネイルにするために、文字の大きさや色にこだわります」

西脇「僕は乃木坂46が好きだから、乃木坂のロゴを彷彿とさせるようなレイアウトと色のサムネイルを作りましたよ。坂道のラインがぼんやりと浮かぶように……」

小泉「えっ本当だ……すごい……!(笑)」


スライド4

西脇「小泉さんは何をモチベーションにYouTubeを続けますか?そして何がモチベーションならば、発信を続けられると思いますか?」

小泉「正直なことを言えば、もともとSNSの類はコンサルティングの研究対象でしかないんですよ。僕はほとんどのSNSに初期から触れていますが、だいたい理解できたら辞めています。ただし、YouTubeは続けようと思っています。

小難しいことをわかりやすく解説する”のが僕の芸風ですが、これはYouTubeに何らかの価値をもたらすでしょう。メディアを志す者として、動画という選択肢を持っておくべきだと感じています。今、ビジネス系の解説動画は、素性のわからない人が多くヒットします。そういうなかで、地道に僕のできることを続けていきたいですね」

西脇「素晴らしいな。僕はもう少し個人的な欲求が根幹にあるかもしれません。

人は承認欲求の強い生き物ですから、SNSの“いいね”数や視聴回数を競う本能があります。YouTubeもその一つで、結果が数字で返ってくる感覚はモチベーションにつながるんです。これほど如実に努力と結果を他人に見てもらえる場は珍しいのではないでしょうか。

加えて、僕はエバンジェリストという仕事をもっと社会に浸透させたい。チャンネル名でも動画内でも、繰り返し僕はエバンジェリストに触れています。エバンジェリストの活躍の場がYouTubeにもあるんだよということをみずから体現することが、モチベーションになっていますね」


スライド5

森脇さん資料5

質疑応答では、YouTubeにとどまらずSNSやメディアに関わる質問が寄せられました。特に注目度の高かったトピックは、“ビジネス×動画コンテンツ”について。

・BtoBでも動画コンテンツは重要か?
・メディアの使い分け方は?
・企業アカウントがドラスティックな結果を生み出すためには?
・動画コンテンツにおけるブルーオーシャンは?

これらの質問を基軸に後半のトークセッションが行われました。

西脇「まずメディアの使い分けについて。プラットフォームが変われば、ファン層はまったく異なります。したがってメディアミックスは自分のリーチを広げて能力を高めるための手段であり、相乗効果を期待するものではないということです。もちろん、YouTubeもその一つです。

したがって“BtoB or BtoC”いう区別より、表現手段が広がる場を積極的に活用していく気持ちでチャレンジすることが大切だと思います」

小泉「僕も西脇さんと同意見です。もしも動画コンテンツで稼ぎたいと思っているならば話は別ですが……。自分の考えを発信して、視聴者さんに『面白いな』と思ってもらえたらいい。そんな気持ちで僕はYouTubeを使っています。だから、メディアを使い分けようと努力するより、自分に合うメディアを探していくほうが大切だと思いますよ」

西脇「一方、視聴者側の視点で考えてみれば、面白い動画じゃなければ見ない。YouTubeでは、視聴者のニーズが数字になって露骨に見えてきます。

質問にあった“企業アカウントだと視聴回数が伸びない”という話については、単純にそのコンテンツが求められていないんです。だから、その結果を受けてトライアンドエラーを繰り返すしかないわけですよ」

画像3

小泉「そうですね。ブルーオーシャンの質問についても重なるかもしれません。ブルーオーシャンをつかみにいく前に、まずはYouTube視聴者の属性を理解するところから始めたほうがいいです。広告運用も試して思いましたが、予算を投下したから真剣に見てもらえるわけではない。結局コンテンツの良し悪しでしか戦えないんです。

あと、チャンネル登録者数と影響力についても現実的に捉えましょう。YouTuberの母数が増えている今、10万人程度の登録者がいてもたいした影響力はありません。仮に100万人の登録者数がいたとして、本を出版したときにそのうち10万人が買ってくれるのか。そういう視点で数字を見ていく感覚が必要です」

西脇「結局はメンタルの強さが求められます。誰だって登録者数ゼロからスタートして、それでもなお次の動画を公開しなければ登録者数は増えないわけですから。地道に視聴者のニーズを把握しながら挑戦し続けることが、動画コンテンツ戦国時代を生き抜く唯一の術かもしれません」

実際に動画チャンネルを運用している二人から紡がれた言葉の一つひとつは、YouTubeは魔法の成功を与えてくれる場ではないということを物語ります。コンテンツ制作にかかる時間や心構え、情報発信を継続していくモチベーションについての話は、これから動画コンテンツを作ろうと考えている人たちの大きなヒントとなるものでした。

それでもなお、戦いたいならば……。いまや誰にでも開かれた“動画コンテンツ”の大海は、あなたの挑戦を待っています。

===

meetALIVEのFacebookグループ
イベントに参加された方は、どなたでもジョインできます。(参加申請必要です。)学び合いと交流を目的とし、過去に開催したイベント動画も閲覧可能なコミュニティグループです。もちろん、今回のセッションの動画も閲覧出来ます。

meetALIVEのTwitter
今後開催予定のイベントの告知や、イベント時の実況中継を行います。

meetALIVEのPeatix
直近で開催予定のイベントを確認し、申し込みできます。

2020年7月開催分



この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?