meetALIVE vol.22 星野リゾートや伊勢老舗食堂ゑびやから学ぶ「コロナ危機をチャンスに変える!TECH PLAYERの考え方」 │イベントサマリー
今回のオンラインイベントは、テクノロジーを活かしコロナ禍のピンチをチャンスに変えた三人のゲストを招いて開催されました。
一人目は究極のおもてなしをITやテクノロジーを駆使して追求していく、星野リゾート 情報システムグループディレクターの久本英司さん。コロナ禍では早々に三密回避の対策を打ち出し、新たな市場を開拓しています。
二人目はテック企業EBILAB(エビラボ)のファウンダーであり、最高戦略責任者・最高技術責任者の常盤木龍治さん。老舗食堂ゑびやに先端テクノロジーを導入し、売上4倍、利益率10倍を達成しています。
そして三人目はテック人材を応援するコミュニティ「TECH PLAY」を運営する鳴釜優子さん。今やあらゆる産業に必要となったテック人材にスポットライトを当て、イベントやセミナーを開催しています。
今回の危機にどのように対応したのか?そしてアフターコロナの社会を勝ち抜くために必要な要素とは?お三方の意見を聞いた当日のイベント内容の一部をレポートします。
【ゲストスピーカー】
久本 英司 氏 星野リゾート 情報システムグループディレクター
軽井沢移住がきっかけで2003年に星野リゾートに入社。田舎の温泉旅館のひとり情シスでのんびりリゾートライフを送る予定が、海外3拠点を含む全国43拠点に急拡大。後発である分、既存のホテル運営の枠に囚われない戦略を実現するには独自のシステムが必要となり、全拠点の予約システム、顧客システム、管理系システム、インフラ、セキュリティ、IoTに至るまで自前で対応するための体制を模索し続ける。コロナ禍で大きな打撃を受けた観光業の現場で、毎日変わる優先順位に30名のメンバーと共に生き残りをかけて前進中。
常盤木 龍治 氏 EBILAB ファウンダー 最高戦略責任者 最高技術責任者 ヱバンジェリスト
これまで数々のNo.1シェアソフトウェアプロダクトに携わる軍師/プロダクトデザイナー/パラレルキャリアエバンジェリスト。2018年6月、サービス産業の課題解決に特化したテクノロジー企業 株式会社EBILABを立ち上げる。EBILABの他にも『テクノロジーと人との融和』を目指しパラレルキャリアで沖縄ITイノベーション戦略センター、Startup Lab Lagoon、LiLz、レキサス、クアンド、PCA、パーソルグループの事業戦略/プロダクト戦略/コミュニティエンゲージメント/エバンジェリスト等として活動中。
鳴釜 優子 氏 TECH PLAY プロデューサー
IT/インターネット業界の転職支援を7年経験した後、「エンジニアが主役になる時代」を感じ、2014年に「TECH PLAY」を立ち上げる。「実現したい世界のためにテクノロジーを駆使し、新たな価値を創り出す挑戦者= TECH PLAYER」をエンパワメントし、テクノロジーによる社会のアップデートを加速させていくことを使命としている。
新型コロナウイルス感染症の流行で大打撃を受けている観光業や飲食業。テクノロジーを駆使し、業界を牽引してきた企業ですらも例外ではありませんでした。
これまでにない危機にさらされる中、どのように対応したのでしょうか?
常盤木「4月の緊急事態宣言後、店前の通行量が2,000人を切ったのがわかり、ゑびやは翌日に休業を決定しました。周囲の店舗はその後も1週間ほど営業を続けていましたが、1,500人を切るとどんなに頑張っても、補助金をもらってすら赤字になるためです」
久本「当初はゴールデンウィークまでには客足が戻るのではないかという雰囲気でしたが、緊急事態宣言後のキャンセルの山を見て、これはもう無理だと感じました。代表の星野は『この状態は18ヵ月続く』と予測し、危機対策に大きく舵を切りました。
星野が社内ブログで『星野リゾートの倒産確率は33%です!』などエンターテインメント感覚で発表していたんですね。それが注目を集め、その頃からみんなでこの危機を乗り越えよう、という一体感が出てきた気がします」
森脇「コロナはイベント開催にも大きな影響を及ぼしましたよね。コミュニティ運営においての対策はありましたか?」
鳴釜「イベントはオンライン化が進み、渋谷のオフィスを使う機会はゼロになりました。延期してもいつ開催できるか分からない上、この状況でのオフライン開催は非常にリスクが高かったからです。早いところでは1月末にはすべてオンライン開催に切り替えていましたね」
森脇「意思決定の早さがキーワードとなっているように感じます」
常盤木「勘や経験には一切依存せず決めています。すべてデータを活用して戦略を練り、商いになるかどうかの観点だけで決めています。これからの時代、データがない経営は無免許運転みたいなものだと思いますね」
森脇「データドリブンの権化ですね!」
鳴釜「私はさまざまな企業と関わる中で、トップのテクノロジー知識や素養が大きく影響していると考えています。今の時代は予測が難しく、これまでの延長線上の考えではほぼ通用しないんです」
久本「我々はとりあえず仮定でもいいのでやるべきことを組み、一気に進んでいきました。一旦方向性が定まると、改善サイクルに入ります。お客さまの声をリアルタイムで拾い上げ、そこからヒントを見つけて改善を繰り返しています」
森脇「人材育成やチームビルディングについてどのように考えていますか?」
久本「ともに働く上で大切なのは価値観の共有ですが、完全に一致させるのは難しい。そこで『ガードレール発想』と称してやってはいけないことを共有するようにしています。例えば、『法令遵守や顧客への責任は全体責任』といった価値観を言語化した上で、それ以外は自由です」
常盤木「我々は『陰口叩いたら即退社』と決めているんですよ。誰でもネガティブな要素やダメなところを持ちながら、お互い支え合って仕事をしています。にもかかわらず、誰かを貶めるようなことがあれば、チームにいられなくなるのは当然です」
森脇「社内に目が向いて、顧客を見ていないということですもんね」
鳴釜「チームビルディングで、トップの表明力はインパクトがあります。企業のブランディングを行う際、トップ自身がテックカンパニーを目指すことを明言し、テック関連に強い人を責任者に据えることが重要だと考えていますが、まだまだ少ないのが現状です」
森脇「最後に、勝つ企業と負ける企業の差は何でしょうか?」
鳴釜「テックプレイヤーが活躍できるかどうかだと思います。新しいことを楽しみながら学べる、社会を改善していきたいというマインドがある、テクノロジーでレバレッジをかける、この3つの要素を持つ人が活躍する会社は、おのずと良いプロダクトやサービスが生まれ、勝てるのではないでしょうか」
久本「社会に対して、事業がどんな大義を持っているか言語化することが大事です。ピンチのときに従業員が何を心の糧にできるか考えたとき、『企業が生き残るため』と言っても響きませんよね。『観光には大義がある』と伝え、みんながそうだと思えることが、一致団結できる重要なポイントだと思います」
常盤木「経営課題を人に依存して解決しようとしないことですね。教育がされていない人材では物事が変えられないというのは旧世代的であり、愛がありません。人に依存せず経営を成功させるために、テクノロジーを使っていくべきです。
そして『人や金、時間がない』、これを言った時点で負けが確定します。ビジネスパーソンとして自分の役割を放棄しているのと同じですね」
この危機をチャンスに変えられたのは、コロナ以前から作られていた仕組みが大きく関係していました。最先端のテクノロジーやデータを最大限に活かした環境と人との融和が、未曾有のピンチすらも乗り越えられる力を与えてくれたのではないでしょうか。
終わりの見えないコロナ禍、さらに変化していく社会で、勝ち抜く企業となるためのヒントが詰まったイベントでした。
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2020年11月開催分
【11/13開催】meetALIVE vol.23 ベンチャー経営者が語る事業デザイン&ライフデザイン 〜企業の成長と個人の変化の相関性〜
開催日時:2020/11/13 (金) 18:00 - 19:30
開催形式:オンライン
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