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第29話 ねじれの位置

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ねじれの位置




 旦那が仕事から帰宅すると、温め直した一人分の夕飯を食卓に用意する。

 あきらの入院生活のほとんどは六人入る大部屋で過ごしたが、その中でも命の危険が特に高かった数ヶ月は、ナースステーションに併設された重篤患児の部屋にいたためテレビのない生活をしていた。
 当時はDVDくらいしか痛みを紛らわせる手段がなくてテレビがないことを少し不便に感じていたが、大部屋に戻ってからは、それよりも部屋の子たちと遊ぶことのほうが面白かったらしく、結局売店で買ったテレビカードもほとんど消化しないまま退院時に返金してしまった。

 その時に身につけたテレビ無しの習慣が私もあきらも今や当たり前になってしまっていて、旦那がリビングにいる朝食と夕飯の時の一日二回のみ、なんとなくダラダラと視界で画面が明滅していた。

 旦那が夕飯を終えるのを待って、私はタブレットをつけて、先日みつけたブログを呼び出す。

「これをね、読んでほしいの。」

 画面には、すべての人には『対の魂』が存在すること、その対の魂と出会うことですべてのカルマを精算して、仏教でいう解脱をすること、その解脱こそ、皆が地球で生きている目的だということが、ごく平易な言葉で書かれ、とても簡潔にまとめられていた。

 私と一緒に過ごしていて、少なからずスピリチュアルな話を隣で聞いて生活してきた旦那である。わかりやすく、このページから入るのがいいだろうと思って旦那に読んでもらったところ「何が書いてあるのかさっぱりわからねぇな」と言われてしまった。

「え?これ以上ないくらいわかりやすいのに?」と驚くと、
「なんだか難しくて眠くなってくるんだよ」とのことだった。

 ああーなるほど、眠くなる!このブログと旦那の波動域が違うのか。
私は旦那を傷つけないように、辛抱強く言葉を探す。

「ここにはね、どの人にも必ず、魂を二分したもう一人の自分の片割れがいるって書いてあるんだよ。そして例の2012年以降、その片割れと出会う人が、年々ちらほら出てきているの。

 私が鹿島と奈良に行ったのも、結局その片割れに今後出会っていく前触れだったらしくて、もしかしたら私も今後、その片割れと出会って一つに戻っていくんだと思うの。

 あのね、ずっと前に話したこと、覚えてるかな。私、今世で地球、最後な気がするって言ってたこと。それ覚えてる?
 まだ、どう転ぶかわからないよ?だけどなんとなく、もうそれを始める時期に来ている気がするの。私も見極めが必要だけど、そんな人がどこかにいるかもしれないんだ。」

「……」

「それでもし、本当に対の片割れがいたとしたら、私は自分に嘘つかない。自分の本心に嘘ついて、誤魔化さないって本気で決心したんだよ。

だからとっても大事なことだから、こうしてあなたにも嘘つきたくないから、私の正直な気持ちを知ってほしくて話しているんだよ。」

 旦那はしばらく腕を組んで、目を瞑ってうーんと唸っている。

「俺にも、ひみにも、あきらにもそういう片割れがいるってこと?」

「……奈良に行く前にも少し調べたけど、このブログの他にもそう言ってる人がいたし、まおちゃんもその片割れさんに出会っているの。

 私もまだわからないけど、感覚的に外堀を埋められている感じ。だからあなたにも、対の人がいると思う。
 ただ私も、もう出会ってる人がそうなのか、この先10年20年後に出会うのか、ちゃんと確かめないとわからないけどね。」

「わかった、そのうちそのブログ、読んでみるよ。」
「うん。聞いてくれてありがとね。」

 ありがとうとは言ったけど、この人の「そのうち」は決して実行されたことがない。約束の果たされない「そのうち」の数は、たぶん20にも30にもなるだろうか。忙しいのはわかるけど、少し悲しくなってくる。
 だけどひとまず私の本心は伝えることができたことだし、取り合ってもらえてよかったな。

 そんなことを思っていたら、「風呂入ってくる」と立ち上がった旦那から、唐突に捨て台詞を吐かれてしまった。

「まあ、せいぜい見ものだな!」

 乱暴に閉められた扉の音が響き、誰も見る人のいないテレビだけがそこに残されてしまった。コントの中の賑やかな笑い声が聞こえてはくるけど、作り物の世界とはお別れすると決めたのだ。

 いずれやっぱりこの人とは、一緒にいられなくなるんだろうなと漠然とした思いが浮かぶ。
「いつか多分さよならなんだね」と呟いて、私は電源ボタンに手をかけた。


written by ひみ


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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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昨日の夜、アメブロに記事あげたの。
けーこのことをいろいろ書き散らかしたから
「予約投稿の前にチェックして」って言ったんだけど
「かまわん。投稿されてから読むからいいよ」って。

そのあと、読んだであろうけーこの意識が飛んできて、

「おい!」

って言われたw 

LINEでけーこ本体に「おい!って言われたよ」
っていちいち報告したら、
「正解笑」って返ってきました。

その記事『いいでしょー』はここに入れておいたから、
押せばすぐ飛べるよ。↓

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