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第235話 予期せぬ協力者


 かつて地獄だったという芦ノ湖に棲む九頭の龍。
白龍神社、九頭龍神社の『火焔』の話を執筆中に突如上から光が降りてきて、かの龍神と繋がった。

「お前たちを支援したい。
こないだの湖畔でのことはすまなかった。その時のこと、あっぱれと思い支援することにした。」

 果たして信じていいものか。神社参拝のみならず車の故障の件がある。偶発的な出来事を利用した『毒出し』だと言ってしまえば彼に咎はなく、それでも念のために聞いてみるとこんな風に返ってきた。

「それも我々の役目なのでな。」

 ハイヤーセルフからの応答は無い。顕在意識の私との“直接遣り取り”だということだろうか。

「ありがとうございます。故障自体にはびっくりしましたが、そこから多くを学びました。」

 そうお伝えすると、「うむ。」と笑う。

「近いうちに必ずもう一度来るように。待っておるぞ。」

……

「悪い感じはしなかったよ。けど、私からけーこを誘うことがレアケースすぎてそこが正解かわからないんだけどどう思う?」

「うん、まぁいいんじゃない?行きゃあなんとかなるでしょ。」


 色々と予定の詰まったけーこからは、「一週間以上先にならないと空かないからその辺でまた調整しよう。」と言われていたけど、その連絡から三日後の夜に急遽変更の打診があった。

「いきなりだけど、明日なら大丈夫だから明日行かん?」

 当初、もしも彼女が行かないと言った時には一人で行こうかと考えもしたけど、なんだかんだ結局、二人が揃う最短を取らされる形になったようだった。

 そこで九頭龍大神に対し、「明日、二人でお伺いします。」と前もってお伝えしたところ、「待っておる。必ず勾玉の二人で来るように。」と、そんな念押しの言葉をいただいた。

……

 たったひと月前に行こうとし、辿り着けなかった九頭龍神社。今回箱根はその数日前に降雪があり、雪化粧を残した木々が出迎えてくれることになった。
 天界から指定されたとある地点を通過すると、その少し先の地図上に道の駅を発見し、せっかくなので寄り道することにした。

「ここでよい。」

 駐車場に車を停めると、龍神からのそんなメッセージが降りてくる。

 今日もオレンジ色のスカートをはためかせながら建物の奥へと回ると、芦ノ湖の対岸の湖上に浮かぶ朱塗りの鳥居を臨むことができ、私もけーこも歓声をあげる。
 遥拝のような形になったが、手を合わせてから湖の主へと意識を繋げた。


「よし、オッケーだね。ほらひみ寒い寒い、中に入ろう。」

 寒さに凍りそうになりながら店内へと入り、お土産を見ながら暖を取る。

「うわー、これかわいい!」

 目についたのは、ごく小さなこけしのついたハンドメイドの和柄のポーチ。普段ならあまり衝動買いなどしないけど、全部柄違いの中で一番手前にあった“その子”に一目惚れをしてしまい、一気にホクホクが止まらなくなる。

 この時はわからなかったけど、帰宅してからこの子が箱根から美和への贈り物だということに気がついた。
 大山からいただいた着物よりほんのちょっと濃いめのブルーグリーンを着たこけしを手のひらに包むと、美和の嬉し涙が止まらなかった。

……

 そしてその日の帰り道。
遥拝から時間が経って夕方へとなるにつれ、けーこはけーこでガイドに大きな変化が起こり始め、私も運転の途中から頭痛薬が必要になると一気にお茶で流し込む。

「嘘でしょう?こないだの回収じゃん。」

 つい先日、レッカーで送り届けてもらったローカル線の駅が目の前に現れると、前回の悲劇は乾いた喜劇へとなった。

 笑うしか他になかった。
この、九頭龍からの支援というものが至れり尽くせりの優しいものなどではないとわかったのは、それから数日間、頭痛で寝込んだあとのことになる。





written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

⭐︎⭐︎⭐︎

アメブロに書いたんですけど、
道の駅のあとは、まぁどこ行っても昼ごはんにありつけず、美術館館内でようやくお腹を満たすことができました。
大好きなお蕎麦屋さん、お休み。「これは」と思った他のお店も軒並みお休み。もしくは妨害が入って辿り着けない。

時々あるんだけど、本当このお昼抜き(あるいは未然)コースって何なんだろう。
ガイドによる調整だから食べるなと言われればしょうがないって諦めるけど、この箱根の時は最後にはちゃんと食事とれてて、その点が謎でした。

カルさん(懐かしい)の時は、明らかに食の好みとして現れたけどね笑
けーこはケーキ屋さんでとうがらし煎餅を買い、私は魚ランチ注文したら、勝手に肉が出てきたなんてことがあった笑

んー、それにしても、こけしかわいすぎません?“江戸時代の12歳の私”にピンポイントで刺さりました。
この柄の他にも本当にたくさんの種類がありました。あきらのお土産には、制服のポケットに入るミニタオルの買い替えをちょうど探していたので、温泉饅頭を抱えたサキエルwのやつ。あきらに刺さってました。さすが聖地笑
行ったのは道の駅箱根峠です。ヘッダーも、ここからの眺めです。拡大すると、鳥居も見えますよ。

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←今までのお話はこちら

→第236話 隠されていた本当の秘密


ずんっ!!
(ちょっとベイマックスっぽい笑)

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