第138話 自分を葬るということ
様々な感情体が私の表面へと浮かびあがり、その都度その子たちを見つめていった。
どの子も赤黒かったり怪我をしていたり、それからガリガリに痩せていたりした。
『淋しい』も『烈火』もまだ繰り返し奥から湧いて、時間がいくらあっても足りない手一杯の状況の中で、いよいよ出てきた『嫉妬』のことをとうとう無視し続けられなくなっていた。
スサナル先生に出会うまで、自分は嫉妬とは無縁だと、なぜだか本気で思っていた。
付き合っていた元彼に新しい彼女ができた時も、自分より実力のない子がコネで昇給したと聞いても、それほど問題ではなかった。母を独り占めしたかった弟への嫉妬だって、このサイレント期間を迎えるまでは都合良く記憶から消し去れていたほどだった。
だけど、私に嫉妬心などないと思い込んでいたことをあっさり訂正しなければならないくらいに、あの先生が“先生である”というだけで、私は激しく嫉妬していた。そのことは約三年前、冗談混じりに本人にも伝えたことがあったくらいだ。
深く『嫉妬』を視ていった。
すると数日後、とても嫌な発見をしてしまった。どうも、スサナル先生を通り越した別のところにもっと酷い嫉妬が潜んでいる。絶対認めたくなかったほどに、その発見はショックだった。
私、けーこに嫉妬してるかもしれない!
「どうしよう、そのことをどうやってけーこに誤魔化そうか。」それが、真っ先に頭に浮かんだことだった。
というのも、私が子供の頃から大好きなのがスピリチュアルの世界であり、その精神世界を何年もかけて分析してきたことで、自分なりの法則性をたくさん発見してきていた。
それなのに、ひとつけーこに何かを聞かれてそれに対する途中式を答えていると、それを足掛かりに瞬時に真逆の答えを導き出されて「はい解決!一分も経たずにひみの問題解決。」と、勝手に優位性を見せつけられる。
そんな彼女はサイキック力も半端なく、「私、そんなにスピじゃない。それよりデータや文献が好きだし。」と、精神世界と距離を置くことを口にする割には私の心は読まれてしまい、ついでにいつも、その心の中でも嫌な場所ばかりを狙ってつつかれ続けてきた。
私にとって、唯一相容れない方法を駆使するのがけーこその人であって、だからこそ彼女のやり方は、私にだけは最終最後まで通用した試しがなかった。
それなのにそんなけーこが多くの人に慕われて、自然と周りに人が集まってきてしまうことが不思議でならなかった。
それはまるで、結果的に私の方法が論破されたことの答え合わせのように思えてきて、いつだって悔しくて仕方がなかった。
しょうがないので、“嫉妬感情”の中の『けーこに対する部分』のことは一旦置いといて、そことは切り離した上で『嫉妬そのもの』を視ていった。
さらに何日かすると、少しずつだけどようやく感情の波が落ち着いてきた。それからサードアイを使うことには相変わらず苦手意識はあったけど、姿を視てしまったほうが格段に効率がいいことはわかっていたので、ハイヤーセルフを通してこの子のビジョンが浮かんでくるのを待つことにした。すると……。
「!!」
視えたと同時に、もっと早く視ようとしなかったことに対して心の底から懺悔した。
今まで何年も自分の気持ちを絶対けーこに悟られまいとするあまり、私の『嫉妬』はその口元に、自らガムテープをバッテンに貼って泣いていたのだ。
自分が『自分の感情』を封じ込めて傷つけてしまっていたことに、激しい後悔が湧いてきた。見て見ぬ振りをするのみならず、「決してお前は出てくるな」と、存在すらも閉じ込めていた。息もつけずにこの子はどれほど苦しかっただろうか。それを想うと胸が張り裂けそうだった。
自分の感情を亡き者にしようとしてしまうことほど、これほどの自己加虐はないと思った。この時ばかりは、例え自分が飲まれてしまっても構わないとすらそう思った。
そうして一晩『嫉妬』を想い、何度も泣きながら朝を迎えた。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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このころの私は、頭ではよく理解していたつもりで、すべてが自分の内面の鏡だとはまだ『実感』まではできていませんでした。
それまでのけーこは、私の内面の持ち物(闇)に合わせてぴったりその役を演じてくれていただけなんですね。
けーこだけではなく、みんなそう。父も、母も、ヤマタ先生も。
そうなんだけど、一度でも「自分のほうが正しい」「相手は間違い」って思っちゃうと、人って撤回できないんですよね。善悪に当てはめた時点で、敵と味方に分離する。
プライドもね、だから結局は自分の闇。
あ、だから、けーこの『本質』は変わってないですよ。相変わらずいろんな人をつついてる笑
けど、じゃあ何が変化したかって、私自身の受け取り方なんです。
在りて在るけーこを、在りて在る私が受け入れているだけ。
だから例えば、なんでもそうだけど、
あきらより等級の重い車椅子の方が体張ってお笑いやってたとして、人によっては「そんなの笑えない」って受け入れられないかもしれませんが、現に車椅子ユーザーのあきらもその母である私も、やっぱおもしろければ、大爆笑してます。
「そんなん笑っちゃう、先輩ずるい」って、二人して勝手に先輩呼びです。
受け取り方ひとつです。
で、尚且つ最近は、「けーこの書く文章を、けーこ(とけーこのツイン)以外で一番理解してるのって絶対私だよなって思って、ついでに自己愛炸裂してます。
真逆目線だからこそ、「私にしかわからない視点からけーこの文章をはっきり拾える自分すごくない?」って思っています。
でね、それが統合なんですよ。
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→第139話 何度も何度も、何度も何度も
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