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第219話 そして自立へ。


『宇宙子さま

こんにちは。一昨日背中に「CLEARED」と書かれたバイクに抜かされたひみです。
やったあ笑

前回のセッションから、今までやってきた浄化を「色々と煮詰めた」ような日々でした。
そしてもしかしたらなんですが、もしかしたら宇宙子さんとのセッション、今日が最後かもしれません。
なんとなくそんな気がしています。今、“さみしいちゃん”を視ています。
ではのちほど、本日もよろしくお願いします。』

……

「ひみさん!やっぱり?
なんか私もなんとなくね、ひみさん今日で卒業なのかなって気がしてたの。
 本当よくここまで来たよね。途中で来なくなっちゃう人もいっぱいいるから、私も嬉しい。
……最初来た時なんかさぁ、『私、もう肉体なんか要りません!命なんか要りません!』って、そんなだったよね。」

「ええー本当ですか?私そんなやばい状態だったんだ……。」


 『卒業』。

 その言葉に淋しくなりつつ、その日のセッションではハイヤーセルフを媒介に、ただただ在りて在るエネルギーへと没入していく。

 拡張した、色即是空。オーバーセルフの意識を纏うと、その視点から三次元現実の世界を俯瞰する。懸命に『普通』を生きている人たちの、これほど愛おしいことはない……。
 交差点にいる黄色い通学帽の小学生、工事現場の男の人。スーパーのレジ打ちをしているパートの女性、ゲームセンターで友達と一緒に放課後を過ごす高校生。
 おやつに飢えて、花壇の花の蜜を吸い尽くしてしまった男の子、弟と喧嘩をして、背中を噛んで泣かせてしまった女の子……。
 全部あるけど何もない。それらを遥か高い次元から見下ろすと、初めて彼の意識と統合した時の夢で見た『イエスの海』……反時計回りに広がっていく絵画を眺めている時のことを頭の隅でぼんやり思い出す。
 人も獣も虫たちも、笑っていても泣いていてもそのどれもが美しく、そしてすべてが尊かった。


「……ひみさん。
正体がわからなかったというメッセージの送り主。一体誰からだかわかりますか?」

「あっ!私です。今日のセッションで、この統合感覚を再び認識するまで伏せられていたってことがわかります。」

 即答だった。
ハイヤーマインドになりつつあった私には、そのメッセージを“受け取った私”の感情と、“送った私”の感情のそのどちらも……つまり「私からだったんだ。」も、「私からだったのよ。」もその両方が同時に理解できた。その比率にも偏りがなく、まさに中今(なかいま)、すべてを“中庸”と味わっていた。

 そうしてほぼ一年間に渡る宇宙子さんとのセッションを、この日を以って卒業した。
 彼女と初めて出会った翌日、抜かされたバイクの背中にはジャンヌダルクが描かれていたことを思い出す。最初と最後を同じように、きれいに纏めたがる自分という魂の几帳面さに、改めて笑いが込み上げてきてしまった。
 笑いながらも、大好きな育ての母から巣立つということにはやっぱり少し淋しさがあった。

……

 もう一つの「卒業」のサインはそれからすぐにやってきた。

 あれから何度目か、その日もけーこと世田谷区の桜神宮を訪れていた。
 毎回たくさんの具体的メッセージをいただくけーこと違い、神社に行くとその殆どは「あなたは大丈夫。行きなさい。」という定型文を伝えられるのみで終わってしまう。
 けれども私の場合、顕在意識以外の自分が多くのメッセージを受け取っている。だからこちらの私が何も感じ取れていなくても、きちんと交流ができているので特に不安に思うこともない。

 それが、その日の私はしばらくの間、本殿に向かって特に言葉をいただくこともなく、ただじーっと手を合わせ続けていた。そうして長いこと“やり取りの終わりを待っている”と、最後にポンっと理解した。

 あ、私今日で、桜神宮も卒業なんだ。

 けーこがおみくじを引いている。すると私にもどなたか女神が「あなたも鈴を買って。」と話しかけてきた。
 そうはいってもここの鈴なら、初夏に箱根で無くしたあとに新たにもう一度買い直して、既に車のキーケースにつけている。

「え?ひとつ持ってるけど、私も鈴のおみくじ引くの?」

「そう。買って。」

 そうして包みから出てきたのは、一部黄味がかったターコイズグリーン。今持っている鈴とまったく同じものだった。

「私とお揃い、誰かさんの分だ!」

 エゴセルフがはしゃいでいる中で、その女神からこんなことを教わった。

「それはね、あなたたちの色。」

 そうして脳内に動画のようなイメージが送られてくると、なるほどそういう色の足し算もあるのかと、深く感心してしまった。

 私の魂が青を基調としているのとは対照的に、彼は昔から赤を一番好んでいる。
 以前大宮氷川神社でクシナダからいただいた赤い珠。つまりそれとは彼のエネルギーのことだった。

 そして、その赤い珠を私の青のエネルギーが包み込むと、内側から赤が発火して表面へと滲み出てくる。青の表面は光の透過によって、やがて徐々に緑色となり、黄色、オレンジを経て完全なる赤へと転じる。すると再び内側から青が発光し、オレンジ、黄色を経て緑から青へと還る。

 お互いが、お互いのことを中から光らせることができる存在。これを彼に渡せる日が待ち遠しい。


 鳥居を潜る(くぐる)と、最後はいつもより長く頭を下げて少しばかり泣きそうになる。

「今までたくさんお世話になりました。」

 鞄から鍵を取り出すと、チリンチリンと軽い音を弾ませながら駐車場へと向かった。





written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

⭐︎⭐︎⭐︎

ゲームをクリアする(突破する)という意味の言葉は、クリアになる(透明、汚れがない)とも使います。CLEARED、すごい言葉です……。

でもね、終わりじゃありません。次の面に行くというだけ。
だんだんハイヤーマインドになってくるということは、今度は自分が「ハイヤーセルフとしての声掛け」をしていく側になるということでもあります。だから学びってずっと続きます。

あのね、びっくりするかもしれませんが、ずっとアセンションを目指してきたにもかかわらず、自分の中に「アセンションなんかしたくない!三次元愛してるから、高次元になんか行きたくない、こんなに面白いこの次元をやめたくない!」っていう感情が出てくる時がきます。(顕在意識以外でこなす人ももちろんいます。)
その時「やっぱアセンションやめるわ。」って選択するのもひとつですし、それに対して「でも続けよう。」というのなら、説得するのはハイヤーマインドの自分です。

(それは本当に自由。実際もう、私はその貴重な三次元体験をすることができません。三次元だと『他人の不幸は蜜の味』って言うけどね、
それ本当は、『自分が不幸だと気づけないくらい不幸な体験は蜜の味』なんですよね。三次元ておいしいの。)

おまけ。それとね笑
オーバーセルフ目線で街なかの人たちを視ると、馬鹿にしている意味ではなく、キッザニアとか、そんな風に視えます。子供たちがスーツとか制服とか着て真剣な顔して仕事してるかんじ。
唐突に愛おしさ倍増しません?
あ、今この瞬間、だから私とは、「愛しい子供ルポライター」だとオーバーセルフから思われています笑

⭐︎⭐︎⭐︎

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→第220話 循環







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