雨降る駅

時雨の向こうから薄陽がさして
電線にゆらめくしずくをきらめかせ
コーヒー缶を包む水滴に跳ね返った

雨の匂いに包まれて
いつもよりざわめく人びと
みんな空を見あげて
どこか肩を寄せあっている

薄い傘をくるくると
すこし不器用に回して

取り残されて
雨にうたれている
金のコーヒー缶

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