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新宿スワン感想

 東京リベンジャーズから和久井先生を知って、先生の他の作品も読んでみたいたなあと思いながらマガポケで気軽な気持ちでチマチマ読みはじめ、気づいたらあれよあれよと言うまに引き込まれ紙で最終巻まで買ってました。

 結論から言うと、めちゃくちゃ面白かったです。

 新宿歌舞伎町でスカウトマンする白鳥龍彦が主人公なんですけど、スカウト会社の縄張り争いとか、その裏にいるヤクザ同士のもっと大規模な陣取り合戦による腹の探りあい、裏切り、寝返り、個人的な復讐劇、男同士の激熱感情etc…

 色んなキャラの色んな思惑が交錯して物語が進んでいくので、次どうなる?次どうなる?と行き先の見えないジェットコースターに乗ってるみたいでドキドキワクワクが止まらなかったです。

 しかしながらラストシーンを迎えたとき、「え?そういう終わりなの??」と肩透かしをくらってしまいました。

 ここからはネタバレになるのでご注意いただきたいのですが、主人公タツヒコの恩人で、敬愛するマコさんというスカウトマンの個人的な復讐劇がこの漫画のメインテーマのひとつになっています。基本的には主人公タツヒコで彼の成長物語がメインなんですが、それと同時にマコさんの復讐劇が進んでいくので実質裏の主人公みたいなキャラです。

 マコさんはお金に困っていたタツヒコに出会って、彼をスカウトマンにスカウトして、スカウトのいろはを教えたり色々面倒を見て、タツヒコにとってはマコさんが原点なわけです。しかしこのマコさんという人がめちゃくちゃすごくて、裏で動きまくって抗争を作り出したり逆にうまく話まとめて敵の煽りを鎮火させたり、事件の裏には必ずマコさんの影があり、という感じで着実に色々起こして復讐を遂行していきます。有能すぎて怖いくらいです。

 タツヒコは途中でマコさんの思惑に気付き、全力で彼を止めようと動きます。一本木で情に熱い主人公なのでそこは納得って感じでしたし、物語の王道として主人公が闇に落ちた仲間(この場合は敬愛する恩人)を救うのは当たり前だと思っていました。でも違ったんです。

 マコさんは結局復讐を果たし、自分も復讐者の近親者に撃たれて死にます。

 これをみた時私は「え?なんで?」とリアルに思いました。

 だってタツヒコそれまでマコさんを助けるために香港までいってるんですよ?危険な目に散々あってるんですよ?しかもご丁寧に、マコさんが復讐をしようと行った先で、偶然仲間の女性がそれを見つけてタツヒコに電話までかけて知らせてるんですよ?助かるって期待するじゃないですか。

 でもマコさんは死にます。タツヒコはマコさんを助けることができなかったわけです。マコさんと共に復讐を遂行していた卯月という女性が最後「これがマコちゃんの望んだことなんだから」と言って私は更に悲しくなりましたね。慰めの言葉とは言え、救おうとしてた人に対してそりゃないよ、タツヒコの気持ちはどうなるの?と思ってしまいました。

 それでもタツヒコはマコさんを最後まで恨まないんですよね。あんなに振り回されてたのに。めっちゃいいやつ。

 ちょっと気持ちが溢れだしてしまいすみません。要は何が言いたいかというと、自分の中にある「こーいう流れなら結末はこうなるだろう」みたいな固定観念が破られてすごく衝撃的だったということです。

 タツヒコって情に熱いし、信念もあるしその人柄に惹かれて強い人とか頭いい人とかどんどん仲間になっていってなんか色々解決していきそう感あるんですよ。しかも本人も割りとタフだし(アホだけど)、物語が進むごとに貫禄が出てきて、ヤクザにも物怖じしないし。でも、それでも、どんなに強くなっても仲間が増えても、どーしよーもないものはどーしよーもない、救えないものはある、っていうのがこの物語から私が感じ取ったことです。

 なんだか言葉にすると悲しいですね。

 でも最後にタツヒコは、スカウトで出会ったアゲハという女の子を探しだしてその子と一緒になります。その子は色々あって刑務所入ってヤク中から更正した子です。タツヒコと出会ったときはすでにヤク中ででも彼が自分を普通の女の子扱いしてくれたから、更正しようという気持ちになったのです。彼女は警察に捕まる前タツヒコに「君には何もできない」と言いました。でも結果タツヒコは刑務所から出てきた彼女を探しだして一緒になろう、と言うのです。

 これは私はひとつの救い、というかタツヒコの本来の目的がちゃんと果たせたんだと私は解釈しました。タツヒコって、一番はじめスカウトになるときに、女の子を幸せにするスカウトになる、って宣言してるんですよね。確かに男は救えないこと多いですが、女の子はちゃんと笑顔にしたり助けたりしてるシーンは多いんです。

 アゲハは思い返してみれば、おそらく唯一タツヒコが関わった女の子の中で幸せになってない子でした。だからこそ、最後の最後でタツヒコと再会させて、二人で生きていくことがタツヒコにとって正しい筋の通し方だったのかなと思うし、それこそが彼の生きる道=ハッピーエンドなのかなと私は解釈しました。

 あ、これを踏まえての東京リベンジャーズの今後の展開をちょっとだけ考察してみます。新宿スワンの流れを当てはめて予想すると、多分マイキーはマコさんポジなので助からないことになっちゃいます。が、マイキーはタケミチに「助けて」って言ってるので多分助かる(なにそのがばがば理論)。でも、今まで亡くなった人たち(バジくんとかドラケンとか)はちょっと難しいのかなーと思います。でも、和久井先生はストーリーの面白さを第一に考える、とも言ってた気がするのでワンチャン全員生きてるENDもありそうですね。どうなることやら、私の考察力ではマジで展開読めません(じゃあなんで考察したんや)。

 何はともあれ新宿スワンはめちゃくちゃ面白いです。絵柄もリアルだし出てくる人物のキャラクター性もリアリティーを感じるので、本当に夜の世界に生きる人たちの生きざまを覗いているみたいでドキドキします。どぎつい描写もあるからちょっと辛いときもありますが…。ちなみに推しは吉川くんと森長と関さんです。てか森長と関さんは、好きにならない人いる?てくらい最高のキャラクター性です。吉川くんは単純にかっこいいです。

 ぜひぜひ気になった方は読んでみてください!

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