美術説#1
2020/12/20 賞レースと「敗者」たち
師走ですね。年末ですね。1年の終わりだから、賞レースシーズンですね。
芥川賞と直木賞の受賞候補者も先日、発表されました。
何を隠そう、わたしがこじらせている恋心の相手、それは「M1グランプリ」です。
好きになったとしたって、永遠の片思い。結ばれない運命。
できることといえば、チケット買ったり投票したりして、金銭的にも精神的にも尽くすことでしょうか。マゾヒズム心が刺激される。
どうにでもしてください。日本酒と演歌が五臓六腑に沁みわたります。
日本一の漫才師を決める大会でして、興味のない人は全く興味ないと思うし、それがどんな大会で、どんなドラマを生んでいるか、とかを書くことは、処女が理想の初エッチ♡について語ろうとするぐらいのこんがらがり(つまり不毛)が生まれること必至ですので、割愛します。わたしのM1ハーレクイン話は、お酒でも呑みながら、「そうだったんだね」と優しく話を聞いてくれる、お笑い好きの友人とすることにいたします。M1を知らない人には、アンミカさんばりにこの魅力をお伝えしますよ。居酒屋に、オープンからクローズまでいられる自信だけならあるわ。
東京を離れ、再びニューヨークに戻ったあたりから、そして年齢のせいもあるのか、ここ数年でとくにひどくなってしまったのですが、
「M1グランプリおよび箱根駅伝、アレルギー性鼻炎」を発症しました。
M1や箱根駅伝に懸ける人のことを想像しただけで、鼻の奥がつーんとしてきて、涙が出ちゃう。鼻水が止まらない。自分の意志ではどうにもならん。「知られざる裏舞台」「あのとき何が起きたか」などのバックステージを覗き観た日には、自分が浄蓮の滝かってくらい泣いてしまう。さゆり、最高。
本日はM1決勝なんです。決勝に臨むのは、9組と敗者復活戦を勝ち上がってきた1組とで、計10組です。まあ今年はいろんなことがありましたけど、コロナに感謝してますよ。ユーのおかげで、M1と箱根をリアルタイム(日本)で観られるのだから。おこがましいことに自分のことのように緊張しているのですが、この瞬間を目撃できるなんて、この時代を、今を、生きていられて幸せなことだと思うようにしてます。
だって、賞レースって、なんとも残酷な存在だから。
賞レースの結果は、キャッチーです。世間のみんなの大好物。
たかが賞レース、されど賞レース。
でも、アカデミー賞をとらなければ、名作を生んだことにならないですか?
ノーベル賞をとらなければ、あたま良くないですか?
ピュリッツァー賞をとらなければ、人を感動させたことにならないですか?
賞”レース”だからそこには「勝敗」が必ず付いてまわるのですが、『ASAYAN』のモーニング娘パターンもあるし、それって本当に負け、なのかな?
賞レースを否定してません。ただ、「勝ち負け」ってなんなんでしょうね。
「『負けたことがある』というのがいつか大きな財産になる」
堂本先生の言葉ですが、これは答えの1つを語っている。
でも、このときの山王は、負け知らずだった。最強と呼ばれ、負けを経験したことがなかった。初の挫折だけど、それは絶対無駄にはならないって意味です。
でも、ずっと負け続けていればいいのか? それはいつか結実するのか。
仕事柄かつアメリカに住んでいるので、NBAとMLBを観ます。(今年はLAにとって良き年でした!)NBAとMLBは、USAの世界最高峰”プロ”スポーツリーグです。「プロである限りは勝ってなんぼ、結果残してなんぼ。お金をいただいているお客さんを楽しませてなんぼ」の精神が定着しているため、選手やチームと運営側からお客さん側も、そのスポーツを通じて、「最高のエンターテインメント」を提供する&味わうことが徹底されている。だから、ナマが最高です。あの雰囲気と興奮、エグいですよ。同時にこれらはビジネスでもある。だから、多額が動くし、翻弄される人が出て、ここに関わる人たちの人生を変えます。でも、NBAとMLBで活躍できなかったからといって、その人の才能が0なわけではない。
その人たちが「敗者」とは限らないのだ。
無冠の天才もいるだろう。でも、やっぱり勝たなければ意味がないという人もいるだろう。ほんの一握りの勝者の裏に、ものすごい数の「敗者」がいる。今年のM1は5081組が参戦してますから、5080組は敗者ということ?
そんな悶々とした想いに応えてくれるのが、こちらです。
アナザーエンタメの最高峰ネットフリックスの「Losers(敗者たち)」。https://www.netflix.com/jp/title/80198306
動画配信プラットフォームから映像コンテンツ製作会社にのしあがりつつあるネットフリックスでは、オリジナル作品の中で、映画やドラマもいいけどドキュメンタリーが最強かつ真骨頂コンテンツなので、クオリティがすごいし、とにかくおもしろいです。日本版だけについている「失敗が教えてくれたこと」のサブタイトルの、「失敗」というのはプリサイスじゃなくて、「敗者になる」や「負けること」とは何か、を教えてくれます。勝者やサクセスストーリー、アメリカンドリーム大好きのアメリカが作るコンテンツとして、タイトル付けから描写からして、もう堪らん。
参加することに意義があると言えるほど若くないし、誰かをちょっとでも幸せにできただけ勝者と言えるほどの先達でもない。が、敗者各々に何万通りものそれぞれの人生があることだけは忘れずにいたい、2020年冬。
#美術 #お笑い #M1 #M1グランプリ #敗者 #ルーザーズ #ネットフリックス #netflix #Losers
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