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医学部面接をガチで研究してみた~2024東京慈恵医科大学医学部編~



はじめに


ご覧いただきありがとうございます。この記事は現役医学生がかつての受験生時代を振り返り、こんな記事があったらよかったなと考えながら長い時間をかけて執筆したものです。医学生同士の人脈と多額の経費をもとに各大学の在校生に大規模アンケートを実施。集まった膨大な情報から多数の医学生の意見をもとに受験生に役立つものを厳選し高校や塾、予備校には実現できない唯一無二の面接対策の記事をなんとか形にしました。
医学部受験において面接は当然侮れない大事な要素となりますが、何よりも学科試験の勉強を第一優先で行う必要があるため情報収集に時間を割くことはなかなか難しいかと思います。そんな受験生の皆さんのために痒い所に手が届く自慢の記事となっていますのでぜひご購読いただき、少しでも受験のお力になれれば幸いです。


基本情報


時間:7分程度×5,6回(年度によって少し異なります)
形式:個人面接(受験生:1人 面接官:1人)でブースを回る形式

東京慈恵会医科大学の面接試験は2/26(月)発表の一次試験合格者のみに対する二次試験で2/29(木),3/1(金),3/2(土)いずれかの日程で行われます。面接試験はMMI(Multiple Mini Interview)形式と入学試験概要で公表されています。また当日は小論文の試験も行われます。

※MMI形式とは
各医学部によって実施形態は多少異なるが通常何かしらのシチュエーションが示され、それについてどう考え行動するかを短時間でプレゼンテーションするという形態が一般的。
 

またどこの大学を受験するにしても必要なことですが東京慈恵会医科大学の理念や方針、特徴などは事前に把握して多少のコメントができるよう準備したほうがよいでしょう。下記に東京慈恵会医科大学の大学概要についてまとめます。チェックしておきたいポイントは太字になっています。

予備知識



東京慈恵会医科大学は、大正10年(1921)に財団法人東京慈恵会医科大学を設置し、昭和26年(1951)に学校法人慈恵大学と改めた。正式には学校法人慈恵大学・東京慈恵会医科大学と呼ばれる。学校法人慈恵大学が関与する事業には、東京慈恵会医科大学医学部医学科、同看護学科、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科、慈恵第三看護専門学校、慈恵柏看護専門学校および4つの大学附属病院があり、それらが一体となって教育、研究、診療に寄与している。

建学の精神


「病気を診ずして病人を診よ」


建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」は、創設者高木兼寛が目指した「医学的力量のみならず、人間的力量をも兼備した医師の養成」を凝縮したものである。この精神は看護学教育にも「病気を看ずして病人を看よ」として取り入れられている。本学の研究と医療を通じた社会貢献もこの精神のもとで行われる。  

大学の目的・使命


建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」に基づき、医師・看護師の育成、医学・看護学研究の振興、医療の実践を通して人類の健康と福祉に貢献することが本学の使命である。

行動憲章


1.全人的な医療を実践できる医療人の育成を目指します。

2.安全性に十分配慮した医療を提供し、社会の信頼に応えます。

3.規則を守り、医の倫理に配慮して研究を推進し、医学と医療の発展に貢献します。

4.グローバルな視野に立ち、人類の健康と福祉に貢献します。

5.情報を積極的に開示して、社会とのコミュニケーションに努めます。

6.環境問題に十分配慮して、教育、診療、研究を推進します。

7.お互いの人格と個性を尊重し、それぞれの能力が十分に発揮できる環境の整備に努めます


医学科教育理念


「医学は学と術と道とより成る」

知識、技術、心の修練により人類の健康と福祉を求めてやまない良医、すなわち建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」を体現する医師を育てる。
この理念達成に向けた指針が「医学科達成指針」である。


医学科達成指針(ディプロマポリシー)



1.医学を学び、また研究する際の基本的な考え方を身につけ、自律的に実践する

・人間と社会に対する洞察力
・他者の存在を受け入れてその考えを理解する力
・人類文明がよって立つ自然科学への基本的理解力
自己主導型学修習慣自己研鑽能力

2.自己の人間性を高め、倫理的・科学的判断能力を磨く

豊かな人間性と人類愛
・多様な立場の人々と良好に意思疎通する力
・自分の考えを適切に表現して他者の理解を得ることができる力
・社会人・国際人としての教養とマナー
国際人の視点と異なる文化を持つ人々と交流する力
・道徳的思考力と倫理的判断力
・探究する心と科学的判断力

3.医学の基本的知識を修得する

・基礎医学および医学に関連する科学の基本的知識
・臨床医学および医療の基本的知識
・国内外の公衆衛生を含む社会医学に関する基本的知識  

4.医学の基本的技能を修得する

・医学知識を臨床実践に活用する力
・科学的根拠に基づく臨床推論に裏付けられた診療を実践する力
・基本的臨床能力としての診療手技
・基本的な臨床コミュニケーション技能

5.医師としての適切な態度と行動を身につける

・医師としての使命と責任の自覚
・患者中心の職業的倫理感
チーム医療に臨む主体性・協調性
・医師としての適切な態度と行動
・変化し続ける医療ニーズに対応するための生涯学修能力


教育目標



1.医学を学び,また研究する際の基本的な考え方を身につけ,自律的に実践する

2.自己の人間性を高め、倫理的・科学的判断能力を磨く

3.医学の基本的知識を習得する

4.医学の基本的技術を習得する

5.医師としての適切な態度と行動を身につける



アドミッション・ポリシー



・求める学生像

カリキュラムポリシーに則った教育課程を通して、ディプロマポリシーに示す資質と能力を卒業時までに獲得できる学生として、次のような力を日々の多様な学習と経験の中から、主体的に身に付けてきた人の入学を求めます。

1.自らを省察して、多様な人の情緒を察する想像力

2.文化や個性の違いを超えて対話し、協調し合う力

3.汎用的な数理・論理的思考力・表現力、問題解決能力

4.倫理性を希求して判断する力


・入学までの学習で身に付けておいてほしいこと

高等学校段階までの学習内容は、医学を学ぶ基盤となるだけでなく、人類の社会・文化・文明についての幅広い素養としてとても大切です。学力検査を実施する教科においては特に、抽象化して考え抜いたことを論理的に表現する力、自然科学の考え方を用いて新たな問題に主体的に取り組んで解決する力、英語を使って他者を理解し自らの考えを伝える力を磨いておいてください。

・入学者選抜の基本方針と方法

本学科の入学者選抜では、「求める学生像」および「入学までの学習で身に付けておいてほしいこと」を踏まえて、入学志願者に求める力を、高等学校教育の内容・水準に配慮しながら学力の3要素※の観点より多面的・総合的に評価します。

学力検査(一次試験):理科・数学において、数理・論理的思考力、問題解決能力に加えて主体的姿勢を評価し、英語において、異文化理解および英語でのコミュニケーション能力の一部を評価します。(学力の3要素の主に (1)、(2))

面接・小論文(二次試験):他者を理解し自らの考えを論理的に伝える力、自己を省察する力、さらに、知識を基に状況を理解してどのような行動が適切かを判断する力を評価します。(学力の3要素の主に(2)、(3))

調査書等評価(二次試験):「求める学生像」に照らして、調査書等のこれまでの学業履歴がわかる書類を評価します。(学力の3要素の主に(3))

※学力の3要素: (1)知識・技能、(2) 思考力・判断力・表現力等、(3) 主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度


特色


留学支援
本学では5~6年生の参加型臨床実習における選択実習(病院での臨床実習)において、海外の病院や研究機関で実習することが可能です。それらに対して、大学及び慈恵医師会、日本学生支援機構からの奨学金による支援を受けることも出来ます。また、セミナーなどを通じて、積極的に海外へ羽ばたくことを推奨しています。

英語での模擬診療実習
2014年から、希望する学生に対して、外国人の模擬患者さんに対して、英語で行う模擬診療実習(英語OSCE)を取り入れています。

コース・ユニット制
基礎系臓器別統合カリキュラムと臨床系臓器別統合カリキュラムの2巡構造によって、基礎医学の知識を臨床医学と社会医学に活用できるように構築されています。 1~2年次の医学統計学・情報リテラシー、3~4年次のEvidence-based clinical practiceと進み、臨床実習の場でEBM(根拠に基づく医療)を実践できるような能力を涵養しています。


 
 

合格した先輩方の体験談・アドバイス




現在東京慈恵医科大学に在籍している先輩方から当時の面接の様子や実際に受けた質問、面接に臨むにあたるアドバイスを集めました。


過去に実際に問われた質問~オーソドックス~


・東京慈恵医科大学の志望理由

・医学部を志望する理由

・医師を志望する理由

・経歴を説明する

・医学部を志望することになった経緯

・何科の医師になりたいか

・将来の医師像

・理想の医師像

・趣味はなにか

・長所と短所



まずはどこの大学でも聞かれうるオーソドックスな質問から紹介しました。
これらの質問は基本的に6,7回の面接の中の1つのターンで行われます。(年度によっては通常の個人面接はなかったと回答している先輩方や2ターンあったと回答している方もいます)他の大学に比べてこういったオーソドックスな質問に答える時間が短い分しっかりと準備して回答したいところです。
理想の医師像について「理想の医師像は唯一軽めの圧迫面接のようになっていて返答に困る場面も多々あった。」という声が寄せられていたため注意が必要です。

また、他校ではしばしば学校の理念や方針、ポリシーについての質問がされますが一般的な面接をする時間が短いためか東京慈恵医科大学ではこれらの質問をされたという報告はほとんどありません。前の項目でまとめた予備知識については軽く目を通しておけば十分でしょう。




過去に実際に問われた質問~具体的な話題~


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