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デジタルホスピタルの実現に向けて/医療法人社団KNI 北原国際病院 前編

世の中には便利なもので溢れているのに、病院のなかは時代遅れだといわれる現状があります。電子カルテを導入していても、いまだに紙ベースでやりとりすることも多く、現場と技術が追い付いていないように感じることがあります。しかし、少しずつその現状も変わりつつあるようです。

東京の八王子にある医療法人社団KNI北原国際病院では、デジタルホスピタルの実現に向けて日本電気株式会社(以下:NEC)と共創し、AI技術の開発に取り組み、病院業務の徹底的な効率化と医療の質の向上をはかっています。
実際に病院内ではどのようなことが行われているのか、開発に携わる看護師の森口真由美さんにお話を伺いました。


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森口真由美様/看護師
大学病院の脳神経外科病棟で2年、北原国際病院では23年目。これまで役職も経験し、手術室や救急外来、ICU、病棟勤務などを兼任。現在は主に手術室を担当。NECとの共同開発のプロジェクトにも関わっている。


デジタルホスピタルとは…

AI (人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術などのデジタルテクノロジーを医療現場に取り込み、業務負担が軽減され、医療の質の向上、働き方改革を目指す構想のことをさします。


原国際病院はどのような病院でしょうか

森口さん)北原国際病院は24時間365日、二次救急を受け入れている中核病院です。脳神経外科と循環器内科の病棟があり、緊急手術やカテーテル治療なども行っています。


看護師の配属先は2箇所以上を推奨しています。というのも、横断的にみられるようなスタッフを育てる取り組みをしているため、中堅以上の一部のスタッフはこうした配属先の固定がありません。救急外来でみた患者さんを、そのまま手術でみることもあります。
現在はコロナ禍で部署間の移動は控えているため、ある程度固定にしている状況です。

また、看護師では珍しいフレックス制も導入しています。
全体の5~10%くらいですが、手術室との相性がいいので、早く終われば帰っていいことになっていて、固定概念にとらわれないような、私たちがいいと思ったものをどんどんプレゼンをして実行するような土壌があります。

こうした複数の配属先やフレックス制に関しては、看護師から声があがったものです。上から言われたことをトップダウンで行うことは浸透しにくいため、スタッフから声が上がって行動に移るようなボトムアップの雰囲気を意図的に作るようにしています。


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医療法人社団KNI 北原国際病院

東京都八王子市大和田町1-7-23 



開発に携わるようになったきっかけを教えてください

森口さん)2014年頃からNECとの共同開発の話があり、看護師としてどのようなことに困っているか、ヒアリングやディスカッションの場から参加していました。
元々、1999年頃に院内で電子カルテ導入の動きがあり、趣味がゲームであることから、上司に推薦されて関わらせてもらっていたので、共同開発のプロジェクトもそのまま担当になりました。特別、資格を持っていたとか、デジタルに詳しいわけではありません。基本的には、デジタルの専門的な部分はNECを信頼してお任せしていました。


私の役割としては現場の感覚をきちんと企業相手に伝えることが大事であると思っていたので、現場感覚を研ぎ澄ますことを意識していました。本当に困っていることや、こんな風になったらいいなということを常に考えていました。
唯一勉強したことといえば、問題解決のプロセス、プロジェクトの進め方、データ化などです。相手と対等に話ができるようにはしていました。


後編へつづく



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