見出し画像

WPOとは? Web Presence Optimization - SEOのその先へ+これが本当のコンテンツマーケティング

本記事の初出は、2015年7月10日。こちらです。
(実際に施策をやっていたのは2012-2013年頃となります)

実は

2013年12月にFPウェブシュフこと中川勉さんに対して「書きます書きます詐欺」をして一年半後に書いたものです。すみません。

これを2015年に書いてから4-5年経ちましたが、実際にやっていたのは2012年から2013年なので、もう7年とか8年前になります。

当時、株式会社マーケティングエンジンという日本初のHubSpotエージェンシーを作って代表をやっていて、その「インバウンドマーケティング」施策としてやっていたこととなります。当時から同社のサイトが検索結果などで圧倒的一位をとっていたのは、このWPOを行なっていたからです。
なので以下の文章は7年前の実践経験に基づくものでもあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おそらくこういう話も皆さん知りたいと思うので、デジタルマーケティングの様々なコンセプト・手法についても追々ここに書いていきたいと思います。

さて、今回は通称「WPO」とも呼ばれる、Web Presence Optimization という考え方について、です。

このWPOとは、スケダチが代理店としてカナダから仕入れていた「gShift」というSEO/SocialMedia/Content Marketingの解析ツール企業が提唱している2011年頃から使っているコンセプトで、「SEO 3.0」とも言われています。

※蛇足ですが、gShiftはSEO/content marketingの解析ツールとしては世界最高レベルにあると思います。

※mintentという会社に買収され、同社は現在その子会社になってます。

このコンセプトが登場した背景には、例えば、

・AdWordsなどのPPC(ペイパークリック)の検索連動型広告よりも、人々はオーガニック(自然な)検索結果のほうを見ている。

・検索クエリ(≒検索結果ページ)あたりの総クリック数でいうと、30%がPPCで70%がオーガニックと言われている。

・被リンクを稼ぎまくる手法は(2011年時点ですでに)終わっている。

・SEO2.0までは、検索エンジンという「マシン」を対象としたSEOだったが、これからは検索を行う「人」にフォーカスしたSEOを行わないといけない。

といったことがあげられます。

これに加えて、ソーシャルメディアの普及とコンテンツマーケティングの隆盛により、新たな考え方が求められるようになった。

さて、SEOではなく、なぜ Web Presence Optimization なのか、というと、企業が自分たちの存在をオンラインで見せようとするとそれは検索結果においてだけなのか?というところにあります。

facebookやTwitter,linked上や、YouTube、SlideShare、業界関係のオンライン媒体、ニュースリリースプラット フォームなど、企業がメッセージを発信し、コンテンツを格納できる場所は多様かつ複雑になりつつある中で、単に検索結果の上位ランクだけを目指すSEOだ けでいいのか?

それが、この Web Presence Optimization のコンセプトなのです。

つまり、検索結果における ranking ではなく presence という考え方、ソーシャルメディアやコンテンツマーケティングによる presence の作り方、といったところが実践の対象になります。

言い方を変えれば、WPOとは何か?というと、その名の通り、インターネット上でのプレゼンス(存在)を最適化しよう、という考え方です。

従来のSEOは、その名の通り、検索エンジンに向けた最適化であり、その多くは”検索ランキング”にフォーカスをしたものでした。

しかし、WPOでは、

・検索エンジンでのプレゼンスを獲得する。 

・ソーシャルメディア上での”シグナル”を増やす。

ということが戦術となります。

実はどちらも結論としてはほぼ同じ施策によって可能なのですが、もっともわかりやすい例でまずは検索エンジンに関する話から進めたいと思います。

先に話をしたとおり、SEOとは検索エンジンにおけるランキング獲得のための戦術でした。そのため、SEO事業者はランキングによってそのフィーを変えたり、あるいは成果報酬とはクライアントサイトの当該キーワードにおけるランキングによって変動するものでした。

しかし、ユーザーの立場からしたときに、実はこのランキングという考え方は崩壊しつつあります。

例えば、ある「一般人」(≒業界関係者ではないという意味で)の言によれば、「なんか検索結果で一位のところって逆になんか怪しい」なんて声が聞こえてくることがあったり、そもそも1位だろうが2位だろうが、結局はサイトへのトラフィックを増やしてくれればいいわけです。

そう、「ランキング」よりも、「サイトへのトラフィック」を増やしてくれればいいんです。ここ、本質的な部分ですよね。「ランキング」ではないんです。

そして、もう一つ深堀りすると、「サイトへのトラフィック」を増やすためには、「プレゼンス」を上げることが最課題となります。

じゃあ「プレゼンス」とは何か? それは、自社の「コンテンツ」が人の目につくことです。

いいですか?「サイト」とは言ってません。「コンテンツ」です。

「プレゼンス」と「コンテンツ」について話を進めましょう。

さて、「プレゼンスを上げる」という考え方に基づいてSEOを考えると、これまでのSEOと違った発想に至ります。

これまでのSEO → 検索順位

WPO視点でのSEO → 検索結果における自社関連情報のシェア

です。では説明しましょう。

一般的にSEOとは当該サイトやページが、あるキーワードにおいて何位に入るかを指し、SEOを生業としている会社の”成功報酬”なども、「検索結果の1位だといくら、2位だといくら」というモデルになっていたりしますよね。この背景には、「検索結果の上位であればあるほど目立ち、かつトラフィックが増える」という考えがあるわけです。そしてこのことについて多くの人が「?」と考えることはない。「そりゃ上位であればいいよね」と。

しかしながら今どきは、何かの記事やコンテンツを読んで、興味をもったテーマについて調べたり、そのサービスを提供している会社のことを調べたりということもするわけですし、

検索結果からある企業やサービスのサイトに直接行く
だけでなく、

検索結果に出てきたサイト(コンテンツ)に行って、そこに書かれている内容について検索し、調べて企業やサービスのサイトに辿り着く

ソーシャルメディアで共有されたサイト(コンテンツ)に行って、そこに書かれている内容について検索し、調べて企業やサービスのサイトに辿り着く

ということが普通に行われています。

※上記のような理由により、一部で「ソーシャルメディアによって情報行動と情報の流れが変わり、検索をする人は減る」と言ってる人がいますが、僕はむしろ逆で、検索するきっかけが増えると考えています。

こうした、検索を巡る情報行動の変化こそが、SEO3.0の世界であり、Web Presence Optimization の世界なのです。

先に上げた、

・ * WPO視点でのSEO → 検索結果における自社関連情報のシェア

というのは、より具体的に言うと、

検索結果に、自社と自社に関連するコンテンツはどのくらい現れるか?
ということです。

従来のSEOでは自社のサイトが上位に上がるという考え方だけでしたが、SEO3.0/WPOでは、ブログを含む”自社ドメイン(=自社URL配下の)自社のサイト”のみならず、他のサイトに掲載されている、

・(自社の社員などの)インタビュー記事

・(自社の社員などの)連載記事

・自社に関するニュース記事

・ニュースリリース

・プレスリリース

・SlideShareにあげたスライド資料

・YouTubeにアップした動画

などなど、、、

”他のドメイン”配下での自社関連コンテンツ(=自分たちで作ったものか、誰かが作ってくれたものかは関係ない)が、当該キーワードの検索結果の1〜2p目にどのぐらい出てくるかを重視します。

例えば、ですが、僕が株式会社マーケティングエンジンをやっていたときに、「インバウンドマーケティング」というキーワードで、WPO観点でのSEOを実施するために行ったのは、

1/自社サイトに、「インバウンドマーケティングとは」の”定義コンテンツ”を作る
2/インタビューを複数社から受ける
3/リリースを出し、ニュース媒体に取り上げてもらう
4/業界メディアに関連コンテンツでの連載をとりあげる
5/SlideShareにコンテンツをアップする

などです。

特に2〜4のコンテンツを見た人は1や5に行く可能性が高く、結果として検索ランキングで1は上位を取ることができ、今でも不動の一位ですが、考え方としては、「検索結果における自社関連情報のシェア」という考え方なので、ドメイン/URLが違うところにそれぞれコンテンツが掲載されているということが重要になってきます。

というのもGoogleの検索結果は、最近では同一ドメイン/URLの下にあるコンテンツは、一つの検索結果にまとめられてしまうからです(僕はこれを”bunchされる(束ねられるの意味)”と呼んでます)。つまり、bunchされてしまうと、検索結果ページには一つしかでてこない、ということになる。これでは「シェア」はとれないので、できるだけ複数のサイトに色々なコンテンツが掲載されるように努力するわけです。

いいですか。これが”人々の情報行動にあわせた”SEO領域での「コンテンツマーケティング」の本当の戦術であって、「ブログコンテンツを何本も書く」というのは、それは「コンテンツマーケティング業者」のビジネスモデルがコンテンツ制作費によるものだからであって、かつ元々SEO事業者が多いので、従来の”検索エンジン対策”脳をなんら超えられないのです。

そうそう、もしWPO視点を持つことができれば、次の様なやり方も思いつきます。

SEO業界では authority とは、PageRankにおいて価値の高いページのことを指し、そこからリンクが貼られることは検索結果の上位にあがりやすいことを意味します。だから、SEO業者さんは、いろんな情報商材的なサイトを多発するんですよねえ(苦笑)。

しかしWPO視点では、authorityの高いサイトに自社コンテンツが掲載されたら、そのコンテンツが上位にあがりやすい、と考えます。

つまり、

・SEO視点でのauthorityの活用 → backlinkを獲得できるか? ・WPO視点でのauthorityの活用 → コンテンツの掲載場所にならないか?

の違いがあります。

例えば、僕は『インバウンドマーケティング』という本を出してますが、本を売ることだけを考えれば、『お客さんがあちらのほうからやってくる!ネット時代の必勝集客術!』とか『営業なんてもう古い!お客さんから問い合わせを増やすネット活用25の方法』なんていうタイトルの本にすればよかったわけですが、

・Amazonのauthorityを活かした上で、”インバウンドマーケティング”というキーワードで検索結果上位を狙う。 ・本を見つけた人は著者名や所属社名を調べる→マーケティングエンジンに訪れる

と考えたので、

・Amazon + インバウンドマーケティング

なら、”インバウンドマーケティング”というキーワードの検索結果の上位の一結果になるな、と踏んだわけです。

他にも『Web担当者forum』と『MarkeZine』は別々のドメインの下でのインタビューや記事になるから、2つの検索結果を獲得できるな、とか。

こうやって、狙いたいキーワードの検索結果の一つ一つを獲っていくような戦術ができるのがWPOなんです。

どうでしょう、目からウロコ、落ちました?笑

この観点での「コンテンツマーケティング」のコンサルや企画が必要なときはお声がけください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?