見出し画像

顧客視点に立った営業体制の話〜営業組織の三類型とThe PODs - #1sheetMktg 番外編2

 普段は表向きはマーケティングの話をすることばかりですが、実際にはマーケティングを改革していくと、営業体制の改革もしなければいけない場面に出くわします。あるいは、過去に外資IT企業でのセールスマーケティング   組織のチームリーダーとして働いた学びをもとに、ベンチャーやアドテク/マーケテック企業に、マーケティングと営業組織体制についてのアドバイスをする機会もあり、結構な頻度で営業とその組織の改革がプロジェクト化することが頻繁にあります。現在も数社、営業組織改革を含めたプロジェクトが進行していますが、私が関わるプロジェクトにおいて、その参加メンバーに対して最初に話すのが、「営業組織には3つのカタチがある」ということです。

 そして、SaaSやアドテク/マーケテックなどのベンチャーからレガシーな企業まで、営業に課題を感じているあらゆる企業にアドバイスをしているのは、特に今の時代においては、

”営業体制を顧客セグメント毎の購買プロセスに合わせること”

です。

たまに、”営業というのは Product Market Fit を行うための役割を担う”という話を聞きますが、そもそもプロダクトがマーケットにフィットしていなければお客さんにとっての価値提案は不可能ですし、そしてまた、営業組織もマーケットフィットしていなければならないと考えます。いわば、営業組織を(広義の意味での)マーケティングの対象、特に4Pの Product や Place として考えると、それ自体をマーケットに合わせる->顧客セグメントに合わせるというのは筋の通った話だと理解いただけるのではないでしょうか?

 さて、以下で公開した資料は、『デジタル時代のマーケティング講座』#B2BDGMKTG で上記を説明しているものの一部であり、どうしてこの体制に移行しなければいけないのか?も話を同講座ではしております。本スライドだけでそうした説明抜きにはなりますが、まずはこちらにて資料だけを公開しておきますので、営業組織の在り方やマーケティングの位置づけなどに悩んでいる方はぜひご覧ください。

 顧客体験を良くして売上をアップさせるための営業組織の在り方です。

 実際に私が顧問している企業でもこの資料の中で説明をしている「The PODs」の体制に移行をした・している企業が出てきており、そうした企業は少なからず顧客視点型のマーケティングと営業にマインドも変化をしてきています。「The PODs」と「The Model」の違いがあるとすると、「The PODs」のほうが、”より”お客さんの購買プロセスにフィットさせているということと、顧客セグメント毎に分かれているからこそ、マーケティング/営業人材の経験と知恵の向上が見込まれ、業務の効率化が、そして売上増が見込める、というところ。

 では、資料はこちらになります。週末にでも”全画面”にしてゆっくりご覧ください。

※以下の資料はこちらからダウンロードも可能です。

以下、上記スライドについてのいくつかの注釈。

1) 当初は、The PODs にもっとフィットするのは SaaSや広告ビジネスなどに思うが、現在日本の上場企業の営業組織にてこの体制に移行するプロジェクトがスタートしており、「顧客セグメント別に営業組織を改革する」というフレームは、企業規模にかかわらず活用ができそうである

2)The PODsに描かれているそれぞれの役割について、全てを埋めるだけの人材を確保できる企業はそれほど多くないはずだ。なので、The PODsというのは必要な機能や役割の概念図としてまず理解していただき、その上で、たとえば2つの役割をマージしたヘッドカウントをとるなど、企業規模・人材の数・ビジネスのプロセスなどに応じて、自社にフィットしたカタチで使うのがよい。ただし、”顧客セグメント別に顧客の購買行動にあわせた組織にする”というコンセプトは外さない。

3)ちなみにこの”POD”というコンセプト・言葉に出会ったのは、私がGoogleの営業組織でセールスマーケティングチームを率いていた頃で、当時のGoogleはすでに The PODs な体制を持っていた。最近になって、欧米のセールスコミュニティでも PODという言葉が聞かれるようになったので、もしかするとexGooglersがこの営業組織概念を再燃させているのかもしれない。

まとめ

The Model と The PODs の違いは、

”マーケットにフィットした、顧客セグメント毎の購買行動にあった営業組織を作る”

というところにあるように思う。

The Model は一見営業プロセスを顧客の購買行動に合わせているように見えるが、実際のところはパイプライン管理に重きがあり、そういった意味では営業効率をアップさせるためだけのモデルのように思う。一方で The PODs は、例えば複数のセグメントがある場合それぞれにあわせたチーム内の構成を作ることもできるコンセプトであり、その元になるのが顧客の購買プロセスにある。そういった意味では、セグメントと購買プロセスの両方についての顧客分析がなされていないと、適切な営業組織ができないのが The PODs である。だが、そうした The PODsが持つ性質を考えると、このモデルが(単なるリード獲得マシーンではない)マーケティング活動と結びつきやすいことが理解してもらえるだろう。


※ MarkeZineを購読されている方は、あわせてこちらもお読みになると、具体例でのイメージが付きやすいかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?