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”新型コロナウイルスとの戦いと共存について” 書いてみた。

修士課程1年目の前期講義も終わりに近づいてきた。たくさんレポートを書いたが、NOTEに載せる余裕すらなかった。
いやー、、すごおく一つ一つが興味深いのだけど、ときどき懸命な自分に我に返って落ち込んだりしたけど、いや、そんな暇があれば、今は進むしかない。
「新型コロナウイルスとの戦いと共存について論ぜよ」とのテーマの出来立てほやほやのレポートを載せてみます。この情報は古くなると意味がないからね。

まとめてみると、自分の理解は少なくともかなりすすむことがわかる。書くってことはやっぱりすばらしいのである💛

情報の提示

新型コロナと戦い、上手に共存していくためには、正しい知識が必要で、そのためにはタイムリーで適切な情報を政府、行政、メディアが提供することは大きなポイントと考えている。

私が見に耳にする中では、「1日の感染者数、〇日連続で○人以上、累計感染者数、感染経路不明者数、死亡数、累計死亡者数、〇〇でクラスター発生」というのが、緊急事態宣言解除後も変わらずに毎日繰り返し流されている情報である。今日7月24日のNHKニュースで東京が全国的にみて感染者が多いとアナウンサーが話していたが、全国の10%以上を占める東京都の人口では、数だけ見ると多くなるのは必然で、人口当たりの感染率を併せて示してほしいところである。また何をもって感染者としているのかも示されず、感染者の中で無症状者や軽症者が現在は多いことも示されない。

7月14日、岡部信彦氏による「新型コロナウイルスの第2波、第3波にどう備えるか」のご講演の中で、緊急事態宣言時と感染者数は同じでも、現在は検査法、検査数、診断法、病棟の備え、重症化の判断は全く変わってきていること、ある程度の治療も可能になってきていることが述べられていた。また、年齢階級別の重症者割合及び年齢階級別の陽性者数に対する死亡者割合、また人工呼吸器及びECMOの使用状況が4月末から減少していることも提示された。

なぜ、このような大事な情報が毎日報道されないのだろうか。国民の気が緩むのを防ぐためなのか、執拗に不安を煽る今の情報発信に不信感をもってしまう。その時点で得られているデータから総合的に社会が理解をしていくことは大切で、新たな情報が得られた場合は、タイムリーに伝えて対応を臨機応変に変更して欲しい。専門家の中でも意見がわかれているのであれば、一方ではなく両方の意見を出すべきで、不安を強める方向の情報に偏っている現在の情報提供にはリスクを感じている。

PCR検査

PCR陽性者を新型ウイルスの感染者としてよいのだろうか。
高橋泰氏は、発表されている数字は、「PCR陽性者判明数」であり、正確には「感染者数」でも「発症者数」でもないことを指摘している。
また、PCR検査は生きているウイルスではなく、ウイルスの遺伝子を検査するために、身体の中にいつまでも存在しており、1-2か月たっても陽性となったり、一度陰性でも陽性になることもあり、間違った判断になる可能性があるとのことである。
発症して10日ほどで体内から消え感染リスクが消失するため、PCRに陽性でも、10日以上たったら問題ないと判断できるが、このことが十分に理解されずに、誤解から偏見も生まれている。感染の身体へのリスクよりも、社会的な被害の方が大きいかもしれず、新型コロナと上手に共存するためには、繰り返し理解を浸透させるための情報提供が必要だと考える。
インフルエンザの場合、何かしらの症状が出た場合に病院に行き検査し診断される。症状のない人(ホストクラブ等)に対して集中してPCR検査実施すれば、陽性の人は当然増える。感染者数としてカウントしている定義も本来であれば述べる必要がある。

感染経路

新型コロナウイルスの特徴として、潜伏期間から感染力が高くなり、知らない間に人に移してしまうことが挙げられる。
感染経路としては、飛沫感染で、空気感染の感染はないと考えられており、郊外では感染しにくく、屋内ではマスクが有効である。屋外で歩いている人をみると、殆ど全員がマスクを着用している。熱中症のリスクを考えると、屋外など必要性が低い場所でのマスク使用は避ける方がよいことなど、正しい感染予防を繰り返し伝える必要性をこの点でも感じる。

病態

新型コロナにより亡くなった人は1000人程度であり、例年のインフルエンザ死亡者数よりも現時点では少ない。新型コロナウイルスの流行当初の予測では死者が40万にも及ぶ危険性をあげる専門家もあったが幸いにもこの予測や、欧米の状況とは桁が異なっている。
「PCR陽性者」でも、特に若者ではその後に発症する可能性は低く、多くが無症状・軽微な症状で治る。
高橋泰氏は、新型コロナは抗体の発動が非常に遅いことが報告されたことについて、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てている。また欧米との死者数の違いは、日本では「高齢者の暴露率」が低かったこと、自然免疫力のわずかな差が大きな違いを生んだ可能性を挙げている。
その一方、山中伸弥氏、西浦博氏は、クラスター発生時の二次感染者数が日本は少ないものの、重症化の頻度は欧米と変わらないとして、適切な対策を実施しないと何十万単位の死者が出る可能性を絶対に忘れてはならないと述べている。
今後の解明が待たれる。

対策

PCRで陽性になると、症状の有無にかかわらず基本的には入院(感染症法の指定疾患のため)で隔離対象になっている。入院費も検査費も無料である。今は無症状者、軽症者が見つかり病棟もホテルも数が不足してきている。しかし母数が増えれば、重症者の増加につながるので、冷静に判断していく必要を岡部信彦氏が述べている。
PCR陽性者が既に感染力を失っている場合もあり、そのような人を隔離してしまってよいのか、判断が必要な時期に入っているように思われる。
日本を含むアジアでは、欧米と比較して圧倒的に死亡者数は少なく、高橋泰氏の仮説も説得力がある。「高齢者の暴露率」には十分注意を払う対策を講じつつ、今明らかになってきた特徴を踏まえて、社会活動を維持して新型コロナと共生することも可能かと思われる。

ワクチン開発

田中真介氏によると、新型コロナウイルスには、3種類があるとみられ、欧米とアジアとで、流行している新型コロナウイルスのタイプが異なっている可能性があるとのこと。そうだとすると、欧米で開発されたワクチンはアジアで有効にならない可能性がある。今後の臨床試験の結果が待たれる。
新型コロナウイルスは一重らせんのRNAでその構造が不安定で、遺伝子が変異しやすい。本庶佑氏は「インフルエンザのワクチンを打っても効かないことが多いのは、流行している間に、ウイルスの遺伝子が変異していくからです。遺伝子が変異してしまうと、ワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのです」と警鐘を鳴らしている。
ワクチン開発に莫大な資金が投入され促進されているものの、過大な期待ばかりでなく、試験データが出てきたときには、予想されるベネフィットと安全性のリスクを適切に国民に示してほしい。小児や若年者はワクチン接種は不要かもしれない。誰が投与を受けるべきか端的な情報が一人歩きしないようにお願いしたいところである。治療薬のアビガンは、企業治験の結果が待たれるが、一時期は過大な期待が寄せられ、それは一方向の首相の発言や報道がもたらしたことである。

政策

今回の政府の対策は後手に回り、海外と比べて対応の遅れが目立った。
春節に発生源の武漢からも人が押し寄せてしまい、致死的なウイルスだったら取返しのつかない状況になっていた。新型コロナ共存の先にある未知のウイルスを見据えて、もっと迅速に適切な強力な対策がとれるように、制度を変える必要があるのではないか。Go To トラベルキャンペーンをとっても、説明も不十分で、不信感ばかりが募る。

まとめ

新型コロナウイルスの特徴や感染リスク、感染者の病態について段々明らかになってきているものの、以前として実態が見えにくい。経済への更なる二次災害を防ぎ、熱中症など他の健康を害する要因を防止しながら、新型コロナと共存していくための新たなステージに移行するためには、政府、行政、メディアの情報提供の在り方について見直しが早急に必要だ。
今後感染者数が更に増えることも予想されるが、その感染者とは何を示すのか。「PCR陽性者判明数」を今後も「感染者」として隔離していくことが適切なのか。リスクの高い集団への感染をどう効果的に回避するか、休校や自粛陽性の必要性など、共存していくための解決すべきことは山積みではあるが、よりよい社会に変わっていくチャンスかもしれない。

**最後に**

新型コロナウイルスにより、人の移動が抑えられ、ラッシュアワーが消え、オンライン化が一気に進んでいる(オンライン診療・服薬指導、オンラインの演奏会、オンライン講演・授業、在宅勤務導入など)。
物にあふれ、時間に追われる競争社会から、地域に目が向けられ、つながりの大切さ、自然への感謝が高まり、人間らしく生きることに、少しだけ戻されたのかもしれない。
人間は、自己中心的に地球を荒らしてきてしまった。地球や地球上の人間以外の生物にとって、新型コロナウイルスは、むしろ救いの手になっているではないか。新型コロナウイルス発生前にはもう戻れないし戻るべきではないという考えになっていく。幸せとは何なのかも考えさせられる。
新型コロナウイルスとの共生は、地球の一員として生きることについての問いかけでもあるに違いない。

参照:
 日本医学ジャーナリスト協会 「新型コロナウイルスの第2波、第3波にどう備えるか」 
講師:岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所長)2020年7月14日
 第84回日本循環器学会学術集会 記念対談 京大・山中 伸弥氏×北大・西浦 博氏「新型コロナウイルスの流行における意思決定 〜未曾有の状況下でどう考え、どう判断すべきか~」2020年7月14日
 東洋経済オンライン 「新型コロナ・日本で重症化率・死亡率が低いわけ」高橋泰氏 2020年7月17日
 コロナ対応を知るシリーズ (京都大学)「新型コロナウイルス感染症への対応を考える~質問に答えて(その3)~」 田中真介氏 2020年6月3日
 文春オンライン ノーベル賞学者・本庶佑氏が警鐘「日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話」2020年7月12日

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