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生まれて12年間JPOPが一曲も歌えなかった大学生の話

 こんにちは、medien-lienのこーすけです。9月も終わり、やっと秋めいてきたかと思えば、気温は郷愁を感じる間もなく急降下し、僕に風邪をひかせてきやがりました。この時代には珍しく花粉症持ちではない僕ですが、秋となるとティッシュを手放せません。ああ、夏が恋しい。
 ただ、悪いことばかりではありません。食欲、紅葉、そして芸術…。秋は色々な物が豊かになる季節でもあります。これを機に、何か嗜めるクラシックの一曲でも見つけて、鼻づまりが解消するまで家に籠ろうと思います。
 ケロケロ見聞録、10月放送のテーマは「音楽」。いろんな人に寄り添ってきた音楽ですが、時代と共にその形は移ろいつつあります。あなたもぜひ何か好きな曲をかけながら、こちらの記事をお楽しみください。

この記事は、九州大学の現役学生が制作するラジオ番組「ケロケロ見聞録」(ラブエフエム国際放送、毎月第一日曜22:00~)がもっとおもしろくなる情報を提供するものです。この記事に興味をもった皆さん、ぜひ各種サービスでケロケロ見聞録をお楽しみください!


1. 10月放送振り返り

 10月放送に登場したのは、ゴトー、しおり、まりの3人。三者三様の音楽に対する想いが溢れた、とても濃い1時間。今回はその中でも、最後のトークパート、『私は音楽を○○する』を取り上げます。

今回の出演陣。しおり(左)、ゴトー(中央)、まり(右)

まり:番組冒頭でアンケートを紹介したと思うんですけども、その結果は、やっぱり音楽を聞く、歌う、買うといった回答が多く見られました。知人に紹介するとか、ライブなどで見る、演奏するっていう回答も比較的多かったです。
しおり:私は、音楽を摂取してます。栄養摂取とかカロリー摂取とかの『摂取する』と捉えてて、音楽やっぱ寂しい時とか悲しい時、勉強で不安な時聞いてたみたいな。そういう不安な時とかに、励ましてくれたり(中略)サプリメントじゃないけど、励ましてくれる、元気をもらえる、共感してくれるのが音楽です。
ゴトー:僕は、レコードとかCDを集めるのが好きで、集めるっていうのは要は収集するってことで(中略)音楽って目に見えないし、簡単に忘れやすいものかなと自分では思ってて。子供に「音楽を渡したい」っていう思いがあって、この音楽いいんだよって勧める時に名前だけ伝えても多分触らないけどCD渡されたら聞くしそこから何かわかってくれるのかなと思う。


記事ではここまで。番組内ではそれぞれのバイブル的音楽をお届けしている他、リスナーの皆さんからいただいた「好きな音」をご紹介!いい音、聞いていきませんか…?
👇ケロケロ見聞録10月放送ダイジェストはこちらから👇


2. 大衆音楽と「音楽鎖国」な我が実家

 みなさんは幼少期、どれくらい音楽を聴いていましたか?思い出に残っている音楽は、どのようなものでしょうか?
 私の幼少期は、「音楽暗黒期」とも言うべきものでした。私は2003年生まれで、幼少期といえばちょうどiPodが登場し、レコチョク・iTunesといった音楽ダウンロードサービスが黎明期を迎えていた時代。多くの人が、聞く音楽ジャンルを広げていく中、私が聞いていたアーティストは、Mr.childrenとB'zの二択でした。

B'z公式Xアカウントより。元気な50代達。

 ハッキリ言えば、90年代を席巻した両バンドは私にとって「世代じゃない」もの。しかし、幼い私に車のオーディオをいじってCDを変える権限はあっても、新しいCDを買う権利も、お金もありませんでした。こうして私は桜井和寿の声を刷り込まれ、松本孝弘のギターに脳を支配されていったのです…
 この影響が色濃く出始めるのは、小学生になってから。教室でみんなが歌っている曲が、全く分からないのです。加えて、私は興味のない曲調を聞き流す癖がついており、「歌詞が聞き取れない」という致命的な能力の欠如に気が付きます。当時の友人よりはるかに覚えるのに苦労していましたし、彼らが何を歌っていたのか調べることも難しいのです。
 こうして小学6年生まで12年間、私はJPOPを丸々一曲歌えない人間として、カラオケにおける人権を奪われたまま過ごしていきました。いくら何でも、いざゆけ若鷹軍団とトトロでしのげる長さではありません。この暗黒期は歴史的大ヒットを巻き起こしたRADWIMPSの前前前世によって終わりを告げるのですが、一つ今も影響が残る箇所があります。それは、「BGMが好き」ということです。インストゥルメンタルとも呼ぶ、歌詞のない音楽。クラシックのような高尚なものではなく、ゲーム音楽やドラマのBGM、はたまた吹奏楽の定番曲。「音楽鎖国」こと我が実家は、ある意味で不思議な趣向を私にもたらしてくれたようなのです。

3. 歌詞が先か、メロディーが先か

 そこでふと気になりました。音楽とは、歌が先だったのか、それともストリングスだけのメロディーが先だったのか。私はある意味、白紙の状態から大衆音楽に触れ、最終的にストリングスを好むようになりました。その順序はもしかすると、人間の歴史を追体験しているのではないか、と思ったのです。
 いくつかの資料を読んでみると、音楽の歴史には

1.言葉を起源として、呪術などの言葉を詠唱することから発展した説
2.自然にあるテンポなどを模倣して、自らビートを生み出した説

などが存在すると言います。ただ、正確な起源は分からず、古代ギリシアの哲学者たちが音楽理論を記述しているものなどから、推論を行うことしかできないのが実情です。
 その一方で、わかっていることもあります。例えば、ビートを刻むことが出来る霊長類は人間だけだ、ということ。そもそも、歌うことが出来る生物も、求愛行動に用いる一部のものを除き、ほとんどいないということ。こうしたことからも、人間最初の楽器は打楽器、とも言われています。

鹿威し。ある意味では、打楽器なのかもしれません。

 少なくとも、誰かがタイムマシンを発明しない限り、音楽の起源をたどることは難しいことです。ただ、私の嗜好を過去と比較することは可能です。呪術や自然を模倣しようとしていることから見るに、過去の人類は情報を伝えたがっていたことがうかがえます。一方、90年代の情報過多に疲れた私はストリングスに傾倒していきました。私は、結局のところ音楽史の積み重ねが生んだ自然な副産物なのかもしれません。
 万物が楽しめるわけではない、音楽。人間はその力をいかんなく発揮して、奇跡のようなハーモニーをいくつも作り出しています。それはおそらく、何かの模倣からではなく、気の遠くなるほどの試行が生んだものでしょう。私たちの偶然な幸福と、古めかしくも頭を頭を捻らせて名曲を生み出した先人に感謝して、明日も再生ボタンを押そうと思います。久しぶりに、Mr.childrenでも聞こうかな。

4. SNS展開

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