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ヘルステック・デジタル技術関連ニュースまとめ 2024#5(1/29〜2/4)

この1週間に弊社Facebookページ等で紹介したヘルステック・研究・産業、ロボット・AI等デジタル技術関連ニュースをまとめて紹介します。
※記事のリンクが切れている場合は記事名で検索していただくとヒットする場合があります。

今週の個人的注目トピックは

  • ISSに手術支援ロボット
    宇宙や深海での遠隔医療はSFの世界の話のようでしたが、遂に現実に向けて動き出します。SpaceXのFalcon 9で運ばれたようですが、民間企業による宇宙開発競争が更に進展することに期待します。

  • 1台のdaVinciSPでドナー・レシピエント同時手術の腎移植
    患者の治療だけでなく、健康なドナーの健康と整容性を守るという部分にもロボットテクノロジーが活用されます。

    医療技術の評価においては予後の改善が最優先ですが、患者を治療する過程で生まれる他の利点、例えば今回のドナーの保護の他に術者の保護、医療ワークフローの改善なども適切に評価されること(ビジネスとして対価を得られること)が肝要と思います。




ヘルステック・医療新技術


・医療AI

医療文書作成支援AI "CartAI" (1.30)

救急支援AIで注目しているfcuro(昨年MedTech Angels Demo Dayで最優秀賞)が新サービス 医療文書作成支援AI "CartAI"を発表しました。

fcuroは救急外傷全身CT重症度評価AIだけでなく、COVID-19診断AIモデル・画像診断 AI 開発支援システムなどAIを軸とした複数のプロジェクトを進めているのが特徴ですね。

恵寿総合病院とUbie、生成AIを活用した「医師の働き方改革」の実証実験を実施

・医師の退院時サマリー作成業務を最大1/3にまで短縮。年間約540時間の作業時間削減の可能性
・看護師・事務スタッフの退院時業務、主治医意見書・診療情報提供書作成業務でも効率化に寄与

PMS対策アプリ「ケアミー」が生成AIを活用した相談チャット機能をリリース。1万件の相談データをもとに女性の健康課題をサポート。

生成AI × フェムテック。
PMS対策や不妊治療支援などの領域に、より信頼のおけるエビデンス・データを活用するフェムテックが増えていくことを期待しています。

すい臓がん早期発見へ、AIベースの予測システムが新成果

MITとベスイスラエルのチーム。
ボストンヘルステックエコシステムですね。

「患者が6~18カ月以内にPDACにかかっていると診断されるリスクを予測し、早期発見と治療の可能性を高めるモデルを構築」

MIT Technology Review

当社が開発した医療画像解析ソフトが、トーメーコーポレーション社様の解析アプリに採用されました | 株式会社クレスコ

「円錐角膜進行予測解析アプリ」の角膜画像解析機能を提供。
個人的に注目している眼科領域ヘルステック関連です。

医療記録を自動化するAI企業ナブラが「脱OpenAI」を決めた理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

「近い将来、私たちとデジタル世界とのインタラクションはすべて、ある種のAIシステムを介して行われるようになるでしょう。そのようなシステムを、米国西海岸の数社だけが独占的に構築することはできないのです」と、ルカンはフォーブスに語った。

Forbes Japan

大規模言語モデルのトレンド分析 by Yuichi Miyamae

医療分野でのLLM応用も他分野と同じく大きな期待を集めていますが、他分野よりは穏やかな成長が見られると。医療ならではのしっかりと腰を据えた取り組みの必要性を認識したと結ばれています。

コニカミノルタ画像科学奨励賞30周年記念発表会

僕も参加しました(病み上がりのため中座)。
講演動画・ポスターアブストラクトが掲載されています。
ヘルステック系では田中利恵先生(金沢大学)のご講演動画も。


・手術支援ロボット

もはや「未来の手術」じゃない…現在「急速拡大中」最新ロボット手術の中身

「術者の視線の動きに合わせて自動的に視野が移動する、術者に鉗子を操作したときの触感が伝わる、など」っていうのはA社とR社が開発しているアレなど…

ロボット外科医、宇宙へ–軌道上の宇宙飛行士に医療処置、地上から遠隔で操作

遂にISS⇔地球間での遠隔ロボット手術の実験が。

米Virtual Incisionが開発した手術用ロボット「MIRA」が、米国時間1月30日に国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられる。

 MIRAは重量0.9kgで前腕ほどの長さがあり、保持器とハサミを持つ2本の制御可能な腕を持つ。ロボットは将来、地上の医師とコミュニケーションを取りながら、遠隔で宇宙飛行士に医療処置を施すために開発された。今回ISSに送られるMIRAは、輪ゴムで技術実証する予定だ。

UchuBiz

最新の手術支援ロボ「まるで手の感覚」 福山市の中国中央病院で中学生が操作体験|中国新聞デジタル

Saroaでの小中学生外科体験会は個人的には初めて聞きました。しかも中国中央病院のSaoraは中四国導入1号機。
子どもたちが最新の医療テクノロジーにふれる機会がどんどん増えてきています。

米インテュイティブサージカル 最高値圏 - 日本経済新聞

好調な決算に加え、da Vinci 5への期待も込みでしょうか?

日本の医師、進んだ胸部外科技術を中国で学習

中国のデジタル技術への投資と技術革新のスピードは目を見張る者があります。ヘルステック分野でこの先世界トップクラスの地位を確保・維持するかどうかはわかりませんが、継続的な注目は必要と思います。
ヘルステック遣唐使が必要な時代かも?

Using One Single-Port Robot for Both Kidney Transplant Donor and Recipient

Cleveland Clinicにて1台のda Vinci SPでドナー・レシピエント双方の腎移植手術を完遂という世界初の症例が行われました。
SP2台導入はないけど、健康なドナーの侵襲も最小化する事は必然、という挑戦です。

“As we’ve continued to fine-tune our experience over the years, there has been this question of ‘Why can’t we focus these efforts on donors as well?’” says Dr. Eltemamy. “These are healthy individuals, and providing them with a cosmetic advantage is a big plus.”

Cleveland Clinic

2019年の世界初のSPでのPartial Nephrectomyは

Pure Single-Site Robot-Assisted Partial Nephrectomy Using the SP Surgical System: Initial Clinical Experience Urology 2019 Feb:124:282-285. doi: 10.1016/j.urology.2018.11.024.

https://www.goldjournal.net/article/S0090-4295(18)31252-4/fulltext

手術支援ロボット、医師が感じるメリットと課題 | 臨床ニュース | m3. com

Q2:ロボットのメリットに「術者の負担軽減」が無いのが気になります。
回答項目と自由回答の有無の設定によって結果は変わる気がします。


・遠隔医療

ドクターズ、NTT西日本系と遠隔診療 睡眠時無呼吸症向け - 日本経済新聞

拡大するスリープテックに注目しています。
在宅/遠隔・ウェアラブル・AIなど最近の注目技術モジュールを集約して予防医療・生活習慣病対策という需要の大きい医療分野に参入している黎明〜成長期のサービスでしょうか。

診療の多言語化で目指す、健やかな異文化共生社会 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

医療通訳と病院のマッチングを支援する医療SaaSスタートアップmediPhone。遠隔医療通訳サービス「mediPhone」、クラウド健康管理システム「mediment」を提供。

遠隔リハビリアプリで地域医療に貢献 株式会社UTヘルステックに投資を実行 | フューチャーベンチャーキャピタル株式会社

アンケート機能とビデオ通話とウェアラブルデバイスを組み合わせ、在宅リハビリと医師の患者管理負担の軽減を目指す遠隔リハビリアプリ「Panopticon」です。


・医療DX

MICIN・アムジェン・聖マリアンナ医科大学病院、がんの企業治験でMICINの「MiROHA(ミロハ)eConsent」を使用開始

分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial: DCT)の拡大を支援する、電子的なツールを用いた臨床試験のインフォームド・コンセントの取得プラットフォームです。
医療での遠隔技術応用は診療だけでなく治験等の機会も提供します。

日経オンラインセミナー:医療・健康データの利活用によるウェルビーイング社会の実現
2024年2月20日(火) 13:00〜14:00 オンライン

中川敦寛教授がご登壇されます。
ウェルビーイング社会の実現に向けた東北大学病院での企業との共創について。


・訓練・技能

Video gamers demonstrate superior bronchoscopy skills among beginners

論文紹介。ゲームの腕前と医療技能の相関についての調査です。
気管支鏡検査の経験が少ない群では、スプラ2が上手い人の方が手技がうまく、経験者では相関は見られないそうです。
デジタルネイティブは訓練を受ける前から医療機器の操作センスを持っているのかもしれません。


・新技術

人体に初の脳インプラント、マスク氏のニューラリンクが臨床試験

話題のイーロンのBMI。
侵襲的BMIの時代は来るでしょうか?


・スタートアップ

医療機器特化型アクセラレーションプログラム「MedTech Angels Season3」が開始!

新たに挑戦を始めるスタートアップ7社が決定しました。注目。

FairMedがMedTech Angels Season3に採択される - 医療機器分野のスタートアップに大きな機会 | 神戸大学アントレプレナーシップセンター

上のMedTech Angels Season3関連です。
以前神戸大学ニュースサイトでもインタビューで取り上げられてましたね。私も術中ナビゲーションを専門としていましたので注目しています。是非頑張ってほしいところです。

「医療系ベンチャー 起業プログラム(オンライン開催、締切2024年2月21日正午)」公募が始まりました 医療系ベンチャー・トータルサポートオフィス:MEDISO

https://mediso.mhlw.go.jp/topics_page/20240131-01/

昨年受講しました。面白かったです。
去年も研究開発戦略・事業戦略や知財、ピッチなど実践的な講義が多かったですが、今年はさらに回数絞った実践的カリキュラムのようです。


・行政・規制・ビジネス

賃上げ踏まえ基本報酬引き上げも、厳しい改定か:日経メディカル

糖尿病、脂質異常症、高血圧症を特定疾患療養管理料から外し、生活習慣病管理料と外来管理料の合算請求を禁止するなどの提案です。高齢者救急医療包括入院料の導入も。

フィリップス、米国で一部医療装置の販売停止-FDAとの係争決着

オランダのロイヤル・フィリップスは、米国で睡眠時無呼吸症候群に関連する装置と人工呼吸器の販売を停止する。米食品医薬品局(FDA)と欠陥製品販売の問題を終わらせることで合意に達していた。

Bloomberg

AMED、第3期に向け人員体制強化を  三島理事長が訴え、「本来の役割果たすため」

現在の年間支出規模は第1期から倍増。拡大中。

三島氏は第2期を通した課題として「(厚生労働、文部科学、経済産業の)3つの省庁の補助金による事業を『回す』ことがAMEDの役割になってしまっている」点を挙げた。

単純に支出規模に比例して2倍の人員体制が必要という訳ではないとしながらも、本来のファンディングエージェンシーの役割を果たすためには、現在約670人いる人員体制の強化が不可欠だとした。また、プロパー増加に取り組む考えも示した。

日刊薬業


ビジネス・イノベーション


アンドリュー・エン特別寄稿:イノベーターを志す人たちへ

楽観的にイノベーションに挑むべき。しかし害の防止はイノベーターにとっても優先事項であるべき。
行動し、イノベーションの力をよいことに使う道を。


大学・企業連携

北海道大学と組織的連携協定を締結しました | 東北大学

半導体に関する教育・研究での連携からスタート。
是非医療にも拡大を。

マイクロソフトのAI活用ラボ、3カ月で26社が利用申し込み 製造業、医療など多彩、共同開発進む 神戸 | 経済 | ひょうご経済+ | 神戸新聞NEXT

どんな製品・サービスが生まれてくるか期待します。

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