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介護支援等連携指導の推進

入退院支援業務の運用を見直す際は、入退院支援加算算定のための運用だけではなく、介護支援等連携指導料や退院時共同指導料算定のための運用も一緒に見直します。

■介護支援等連携指導料の算定要件について

B005-1-2 介護支援等連携指導料 400点
注1 当該保険医療機関に入院中の患者に対して、当該患者の同意を得て、医師又は医師の指示を受けた看護師、社会福祉士等が介護支援専門員又は相談支援専門員と共同して、患者の心身の状態等を踏まえて導入が望ましい介護サービス又は障害福祉サービス等や退院後に利用可能な介護サービス又は障害福祉サービス等について説明及び指導を行った場合に、当該入院中2回に限り算定する。この場合において、同一日に、区分番号B005の注3に掲げる加算(介護支援専門員又は相談支援専門員と共同して指導を行った場合に限る。)は、別に算定できない。

介護支援等連携指導料は、上記算定要件に書かれている通り、入院中2回に限って算定できます。

初回の指導は、介護等サービスの利用の見込みがついた段階で、退院後の生活を見越して導入可能な介護等サービスや要介護認定の申請の手続き等の情報について、患者や医療関係者と情報共有するために。

2回目は、退院前に、退院後に想定されるケアプラン等の原案の作成に役立つ情報の収集や退院後の外来診療見込み等を念頭に置いた指導が想定されています。

また、算定要件として、作成されたケアプラン等の写しを入院医療機関側のカルテに添付することが求められます。

■介護支援等連携指導の運用について

実際に病院でヒアリングすると、「入院中一回算定するのが精一杯」という声が多く見受けられます。

理由を確認してみると
「介護サービスの利用見込みがつくのが遅い」
「ケアマネさんが来院してくれない(あるいはコロナで来院してもらうのが難しい」
「自院はそこまで地域密着型ではないから、積極的に行っていない」
といった理由があるようです。

逆に、担当ケアマネさんがいる場合は、ほとんど2回算定している、という病院もたまにあります。
こちらは
「入院時に患者から担当のケアマネさんがいることを確認したら、すぐ連絡する」
「ケアマネさんが来院しているのを見かけたら、少しでも時間を取ってもらって、話をするようにしている」
といった方法をとられているようです。

どちらにも、その病院なりの考え方や地域の特性などありそうですが、担当のケアマネさんと病院がきちんと情報共有できており、連携がとれていることは、患者さんが自宅に戻られるにあたって、とても重要なことです。

この介護支援等連携指導に関しては、なかなかケアマネさんから病院に働きかけるのは難しいので、やはり病院からケアマネさんに働きかけて、要件通り2回算定できるような運用を構築すべきと思います。

そのために重要なのは、初回の指導です。

担当のケアマネさんに関する情報は、入院前や入院後すぐにヒアリングし、情報を把握した段階でケアマネさんに連絡して日時の調整を行うべきと思います。

このとき、すぐに動けない病院さんの言い分として「介護サービスの利用見込みがつくのが遅い」というものがありましたが、担当ケアマネさんがおられるのであれば、入院前に利用している介護サービスがある可能性が高いので、まず入院前時点のケアプランを元に情報共有をすべきではないでしょうか。入院前に介護サービスを利用しておられる患者さんで、入院後に介護サービスがまったく不要になるような事はほとんどないと思います。まず、病院側が入院前の患者の状況や問題点の把握を行うため、入院後できるだけ早急にケアマネさんと認識を合わせておくべきではないでしょうか。

また、ケアマネさんが忙しくて(あるいはコロナのために)来院してもらうことができないという問題については、去年の4月からビデオ通話が可能な機器を用いた指導でも問題ないことになりました。
診療報酬改定当初はビデオ通話をしたことがない人も多かったと思いますが、コロナ禍の昨今では多くの人がzoom等に親しんでいるのではないかと思われます。もし、院内でテレビ会議システムを利用したことがない場合は、システム管理者の方に相談して、環境を構築しましょう。

「担当ケアマネさんがいる場合は、すぐに連絡する」
「来院してもらえない場合はテレビ会議システムを活用して、指導を行う」
この2点を運用ルールとして明確にしておくことで、介護支援等連携指導の実施回数を飛躍的に向上できるのではないかと思います。


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