漢方の用法

さっそく更新が遅れました。

先日の気温の変化で
頭痛に悩まされているしてぃです。

雨の日や寒い日は身体がずっとだるくて
睡眠時間も伸びてしまいますね。
僕だけでしょうか。

患者さんからよく、

今まで飲んでいた漢方の薬が
食前から食後に変わっている。
先生の間違いではないか。

という相談を受ける事があります。
先生に言われた覚えがないのに、
いつも食前服用でもらっていた薬が
食後の指示に変わっていたら、

なぜ変わったのか、
効き目は大丈夫なのか、
身体に悪い影響はないか、
等気になりますよね。

今回は漢方の用法について話したいと思います。

まず、単剤で服用する場合、
用法によって薬効に大きな差が出る漢方は少ないです。
(併用薬や処方意図がある場合は用法にしっかり意味があります)

おおよそどのタイミングで飲んでも
ある程度の効果を発揮してくれるのが
漢方のメリットでもあります。

その為、逆に医師や薬剤師からしては
前回と違う用法だとしても
あまり違和感を感じにくいです。

ただ、飲み方にこだわる事も出来ます。

温服
食前(空腹時)
食後
頓服

に分けて説明しようと思います。


〇温服

まず、温服という飲み方。
お湯に溶かして飲みます。

元々漢方は葛根「湯」、小青竜「湯」、麦門冬「湯」、というように温かい飲み物として親しまれてきたものが多いです。

予め溶けていて服用時に体温により近くなる分、
吸収が早く、また香りや風味もまして効果を存分に発揮できると言われています。

漢方は匂いや口当たりから治療が始まっているとよく言われますが、それをまさに最大限に活かした服用法です。

基本的に~「湯」とつく漢方は特に、
温服により最大効果を発揮します。

また、風邪薬として親しまれる漢方や
冷え、頭痛、血行不良に使われる漢方は、
お湯で身体を温める事による
体温保持や血流改善も期待出来ます。


〇食前(空腹時)

次にタイミングについて。
漢方は空腹時が最も吸収が早く効果的と言われており、食前という用法も食事前30分であり、
空きっ腹である事を利用する飲み方です。

〇食後

食前の方が効果的と先述しましたが、
食後には食後のメリットがあります。
それは「飲み忘れにくい」ことです。

食前で飲み忘れた場合、 

「食べ始めちゃったしまあいいか。
また次食べる前にしよう」

と思った経験ありませんか。

食後の薬ならば、気付いた後
「まだ間に合うかな」
と服用する方も多いかと思います。

コンプライアンス(患者が規則通りに薬を飲む事)は
医療従事者にとってかなり大きな課題であり、
多少の効果よりも継続性、服用難易度を下げる事を優先する先生も多くいらっしゃいます。

漢方は食後でも十分に効果がある為、
服用のハードルを下げるために
食後を選択する医師も多いです。

〇頓服

最後に頓服としての用法。
発作時や予防として使われる飲み方です。

咳やこむら返りの薬などは
よく頓服で出されることがあります。

大抵診察時に細かい指示があります。
また、「発作時」と書いていても
発作が起きるまでわざわざ
待たなくても大丈夫です。

先程の例で言うと、
咳は悪化していないが喉がイガイガしてきた時、
連日夜中に足がつる時の寝る前

などです。

予め服用する事によって
発作による状態の悪化を軽減出来ます。

西洋薬と違い、漢方薬は体質ごと改善・軽減する薬がほとんどなので、最低限の用法を守れば我慢しすぎなくて大丈夫です。

ただし、医師によっては薬に頼りすぎてはいけない、その状態では必要ない、という考え方の先生もおられるので、主治医に相談してからにしましょう。


それぞれの飲み方の説明は以上です。


最後に、咳や喉の腫れによく使われる
桔梗湯の面白い飲み方を紹介します。

それは
「お湯に溶かしてうがいしてから飲み込む」
です。

このうがいは、喉の感染予防・消毒の為のうがいではないので、飲み込んでも大丈夫です。
感染予防の為のうがいをする場合は服用より前にしてください。

桔梗湯の主成分、桔梗という成分は抗炎症作用があります。

この効果は外用薬としても、
内服薬としてもあります。

つまり、うがいをする事でまず喉の粘膜の炎症をおさえる効果を発揮し、
飲み込んだ後は吸収され血中にのる事で
身体や喉の炎症をおさえてくれます。

一度の服用で二度効くという訳です。

こんなふうに、漢方の飲み方でも
様々な考え方があります。

これらの事が頭に入っているだけで、
「用法がいつもと違う」

「食前の漢方の飲み忘れ、食後でも大丈夫?」

「頓服の漢方はどれくらい酷くなったら
飲んでいいの?」

といった疑問からはある程度解放されるかと思います。


参考になることがあれば、主治医の先生と相談した上でよければ是非実践してみてください。

正しい最低限の知識があれば、医療従事者との意思疎通もとてもスムーズになります。

薬の知識は情報が多く、文章では書ききれないものばかりなので、僕の記事が自身で調べるきっかけになれば幸いです。

薬の情報で一番正確なのは添付文書なので、添付文書のお供に読んでいただければ嬉しいです。


それではノシ


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