女性診療放射線技師 の リアルライフ ~筑波メディカルセンター│染谷聡香~
一 問 一 答
はじめに
私は診療放射線技師(以下、技師)になって12年目になり、卒後から勤務している施設は、三次救急、総合健診センター、剖検センターなどが備わっています。私は主にMRI検査や死亡時画像診断(以下、Ai)、健診センター業務に従事しています。
当施設は卒後間もなくから積極的に学会発表が出来る施設です。
そのなかで、子育てをしながら働く女性技師として、日常業務や研究活動、プライベートをお示しします。
仕事編
Q.診療放射線技師を目指したきっかけ
A.私は初めから技師を目指していたわけではなく、このような仕事があることすら知りませんでした。小さい頃から父親が入退院を繰り返していたことで病院に行く機会が多く、将来は医療従事者になりたいと漠然と考えいる程度でした。
時が経ち、進路を考える時期になると、中学・高校時代の6年間ハンドボールをやった経験から運動療法に興味がわき、理学療法士を目指していました。理学療法士になるべく養成学校を受験している間に技師の存在を知り、興味を持ったことが技師になるきっかけです。
Q.やりがいを感じるとき
A.自分が検査をしたことが早期発見に繋がった時はとてもやりがいを感じます。そしてその患者さんが元気になっていく様子を見るととても嬉しく思います。
Aiでは、画像診断で死因が分からないことも多いですが、死因究明に繋がらず死因が仮にはっきりしなくても、遺族にとって気持ちを整理するために役立てた時は良かったと思います。
Q.資格について
A.マンモグラフィ撮影専門技師と超音波検査士(消化器領域)の資格を取得しています。
マンモグラフィ撮影専門技師は就職後1年目で取得しました。当院の健診業務では検査を行った技師が一次読影を行い、その後に放射線科医師と読影をしています。そのため、撮影に対する知識はもちろんですが病変に対する知識も必要となるため、女性技師は必ず資格を取得しています。
総合健診センターでは技師も、腹部・乳腺の超音波検査を行っています。私が超音波検査を始めた頃は、病院で行う精査の検査も行なっていました(現在は人材不足のため従事していません)。
特に超音波検査を行う上で、手技はもちろんのこと、病変に対する知識や画像所見も理解していなければ検査が出来ないと思い受験しました。
Q.研究について
A.初めての研究は、若手技師が学会発表や研究に対して慣れるために行っている勉強会で、MRIの磁化率アーチファクトについて発表しました。
その後は主にAiについての研究を行っています。現在までに4編の論文作成に携わらせて頂きました。
2016年には、韓国で行われた国際学会(International Society of Radiographers:ISRRT)に初めて参加し、日本とは違う沢山の刺激をもらいました。その時は、「Aiにおける診療放射線技師の読影補助の有用性」を発表し、ポスター発表内のBest awardを頂きました。初めての国際学会参加で、最優秀賞というとても素敵な副賞まで頂き、貴重な経験ができました。発表まで一緒に研究を手伝ってくれたAiグループの仲間には感謝しています。
2018年には当院のAiグループが主体となって学術総会(第16回Ai学会学術総会)の運営にも携わらせて頂きました。会場の手配からプログラム作成、当日の会場案内など、とても大変でしたが、通常経験することができない貴重な経験をAiがもたらしてくれていると感じます。
Q.自分の夢
A. 私は第二子の流産を経験しています。この経験が仕事でもプライベートでも私の人生の転機となりました。
仕事ではAiという研究をしていることもあり、小児Aiの経験もあります。我が子を実際に亡くし、死因究明を行うことがどれだけ大切なのか、また死因がわかることがどれだけ遺族の気持ちの整理に役に立つのかを知りました。
第一子を出産後、研究を続けるのは難しいかなと諦めていましたが、この経験がきっかけで、Aiの大切さを再認識し、今後も続けていきたいと強く思いましたし、もっとこの検査が普及すれば良いとも思いました。妊娠・出産を経験し、女性が研究を続ける難しさも実感していますが、私がこの悲しみを糧に頑張ることで、この子がそばに居て、一緒に生き続けている気持ちでいます。
今では10年近く続けているAiの研究を続け、その普及や発展に努めていくことが私の夢となりました。
プライベート編
Q.美容事情
A.美容事情…ということですが、特にこれといってしていることはありません! 子供が出来てからは特に手抜きになっています。
唯一、まつ毛エクステを月に1回、メンテナンスしているくらいですかね。笑
Q.仕事との両立について
A.もうすぐ1歳半になる娘がいますが、初めての子育てで自分が親になるまではこんなにも子育てが大変だとは正直思っていませんでした。出産の痛みよりもその後の子育ての方が何十倍も大変だと身に染みています…。子供が3ヶ月を過ぎるまで、布団では寝てくれなかったので、一晩中抱っこで寝ていました。世の中の先輩ママたちをどれだけ尊敬したことか!!!
復帰後は、近くに両親と妹夫婦(一卵性双生児の妹は小2と2歳の双子のママです)が住んでいるため、沢山力を借りています。
職場も家から車で約50分かかるため、保育園の送迎も母がしてくれています。
仕事と育児の両立は1人では到底できませんが、家族の支えでなんとかやれており、家族に感謝しかありません。
Q.結婚生活について
A.旦那さんは同じ病院で技師として務める後輩です。結婚してからも同じ職場で働いていますが、同科には私たち以外にも夫婦で働く技師たちが2組いるので、あまり夫婦で働くことに違和感はありません。
Q.生きがいについて
A.やっぱり娘が一番の生きがいで、癒しです。1歳を過ぎて、歩いたり走ったり出来るようにもなり、最近は言葉も少しずつ理解できる様になってきました。イライラすることも多いですが、ちょっとした仕草が可愛くて愛おしいです。
さいごに
今回、このような執筆の機会を頂けたのも、沢山の方々と、これまでに出会い繋がり、そのなかで沢山の良い刺激を与えてもらえているお陰だと思っています。
これからも、一期一会を大切に、自分自身もスキルアップ出来ればと思います。
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