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地域実習で見えた、あるべき他職種連携と医学部教育

早くも2020年、残り2ヶ月となってしまいましたね。
コロナ禍で色々制限されつつもここまであっという間に過ぎてしまったような感じです。

さて、去年から始まった病院実習もおよそ1年が経ち、先月は地域実習として朝日町のあさひ総合病院で研修させていただいていました。

地域実習をした1週間は多くがコメディカルの方々の業務を実際に経験するというものでした。

病院薬剤師、訪問看護師、地域医療連携室の方、医事課の方、放射線技師の方…

挙げればキリがありませんが将来自分が医師となってから連携をとって一緒になって働いていくコメディカルの方々です。


それにも関わらず、ここまで医師の仕事以外知らずに医学部を5年近く過ごしていることに恥ずかしささえ感じました。

医学部はよく、「職業訓練学校」とも言われますが、本当にそれを痛感してしまった1週間でした。

医学部では医師になるうえで必要になる知識や技術を身につけるために6年間を過ごしますが、医師になればひとりの社会人であることに変わりはないし、社会人として、社会のルールや経済、政治など他にも社会に出る前に学ばなくてはいけないことがたくさんあります。

一応1年次には教養科目の中でそのようなことも含めて学ぶべきなのでしょうが、20歳になる前の自分にはその重要性も気付かず、又、医療系学部の学生とキャンパスも異なっていた分、他学部の学生が行うような就活(=社会に出るために必要なことを身につける期間)も経験せずにある意味非常識に成長し、医師の世界にしか触れずに医師になろうとしていることに不安を感じることが最近多々あります。

2029年には医師が供給過多になるとも言われ、我々が医師になる時代には医学部の教育だけを受けて医師になるのではなく、医師という職業に自分で付加価値を見出さなくてはいけないと思います。

このような中で、将来協働していくコメディカルの仕事は何よりも先に知るべき優先事項だと感じます。
もちろん、医療は高度化し、複雑になったことで医師の仕事は専門性が高まっているためにそのような教育を受けるタイミングもなかなか確保できないのかもしれませんし、ただでさえ医師の労働時間はOECD諸国で比較しても圧倒的に長いと言われるのでますますコメディカルの方との交わりも小さくなってしまうかもしれないので様々な声はあると思います。
(むしろ自分は医師の働き方改革推進派であるのでそこの問題についても考える必要はありますね。)

それでも、医師がコメディカルの方々の仕事を知ると協働しやすくなるという利点もあるし、現在重要視されている他職種との連携についても好循環となると思います。

一例を挙げると、患者さんの診療情報を管理しているカルテですが、先生方が記入されているサマリは学生という立場上、あまりその重要性を理解していませんでした。

サマリは患者さんの情報をコメディカルで共有して診療につなげ、後々問題にならないようにまとめているというのはもちろんですが、病院経営上も重要な働きをしているものでした。

診療報酬も医師の記入をもとに事務の方が算出しており、記入がきちんとなされていないと病院とそれに関わる人の負担も大きくなってしまう。

DPCについても授業で扱われていたとは思いますが、実際にそこに直面してはじめて自分事として捉えられました。カルテも今まで以上にきちんと書かなくては、と気が引き締まりました。

又、あさひ総合病院では薬剤師さんやソーシャルワーカーさんなどもカンファレンスに参加されており、そこでの話を聞いて、医師以上に患者さんのことを把握されているコメディカルの方がたくさんいるということに気付かされました。

現場では医師が主導になっている場合が多く、中には他のコメディカルの方の話に耳を傾けていないシーンにもこれまで出くわしてきましたが、今回の実習を経験し、患者さんの最良の治療のためにも医師が他職種の声を聞く必要性を感じます。

今回実習でお世話になった先生にも
大事なことは「コメディカルの方たちに尊敬の気持ちを持つこと」だと教えていただき、本当にその通りであると身にしみて感じることができました。

現場の人にとってみれば普通なのかもしれませんが、これから医師になるひとりの学生として今この時期にこのようなことを学べたのは大きなことであり、この気持ちを忘れずに過ごしていかなければならないと強く思えた1週間になりました。

これからの時代、コメディカルの方との協働はもちろんのこと、様々な分野を横断した協働が行われるようになっていくはずです。

相手を受け入れ、協働していくためにもまずは何事も「知る」という意識を忘れずに過ごしていかなければいけないですね。
それでは。

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