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先生が言った「心のリバウンドですね」とは・・・。


長期ステロイド使用から、あふれ出る浸出液やたくさんの落屑を繰り返しズタボロになってもあきらめず、リバウンド症状を乗り越えてきたHさん。
肌は本当に回復し、保湿剤を塗りたいとか、ステロイド治療にもどりたいなど薬に依存はなく離脱成功。
最近は、ご本人もご家族にも少しづつ笑顔が戻ってきたにもかかわらず、今日は元気がない。
いつものように待合室でそばに寄らせて頂くと彼は、「昨日親父と言い合いになったんです・・・。自分が体をまだ動かせず、やる気がわいてこないことをそばで見ていて親もイライラするというか、親の不安な気持ちもよくわかってはいるんですが、どうしてこう倦怠感というか力が出ないというか・・・」と深いため息、悲しい表情のまま木俣先生の待つ診察室へ。
診察室の中でも胸の内やご自身に起こっている不安な症状をお伝え下さったHさん。
先生は「ヘルペスも治っているし、うん、いいですね。肌はだんだん良くなってきているから心配はないです。」そして続けて「心のリバウンドですね、心のリバウンドが起こっていると思ってください。できるだけ起床と睡眠のリズムをしっかり作るように努めて、とにかく朝陽をあびて少し散歩してみるなど気分転換をするように。離脱時に起こるリバウンドのひとつだから、心配しすぎないように。ではまた4週間後に」と。

ホメオスタシス(恒常性)
生体の 内部や外部の環境因子の変化に関わらず生理機能が一定に保たれる性質。生物にとって極めて重要なものであり、例として「気温や湿度などの体外環境の変化や、病原菌などの体内への侵入が生じた時、体内が安定な状態を維持できるようにはたらくシステムがある」こと

そのシステムとは、「自律神経系」「内分泌系」「免疫系」の3つです。

恒常性機能の異常・破綻

疾病や障害の発生

ステロイド離脱症状、リバウンド期には恒常性という働き(システム)が乱れ、体調を崩される方が多い。

※皮膚に起こるリバウンド症状  (ステロイド離脱症候群)
アトピー性皮膚炎に長期ステロイドや保湿剤などを使用していた場合、ステロイドや保湿剤なしでは皮膚を正常に維持できなくなっている依存状態を起こし、皮膚本来のバリア機能、修復システムの働きが低下していると考えられる場合が多くその症状とは、大きな炎症が起こりひどいかゆみとともに匂いのある浸出液がでてそして渇きだし落屑が大量に起こる。個人差が大きいようでステロイドや保湿剤を中止してから直後から数日、数週間後から始まることが多い。脱する期間も個人差はありますが数週間から数か月でつらい時期を脱する方がほとんどです。

ステロイド離脱時に起こるリバウンド症状は、肌だけにとどまらず精神的にも、自律神経にも大きな影響を出すことがあり、気分の落ち込み、不安や倦怠感、不眠、、朝起きられない、寒気食欲減退、のどの渇き等つらい時期を迎える方が多い。
長期ステロイド使用による副腎の萎縮、機能低下。つまり健康な人に備わっている副腎皮質が作る日内リズムが乱れてしまいます。副腎皮質ホルモンは、生きる上での活力のもとになるホルモンです。

診察を終えたHさん。皮膚と心と体に起こる変化を受け入れ、乗り越えてくださることをチーム木俣は願い、信じています。
私たちが、「大丈夫ですよ」とお伝えできるのは、たくさんの患者さんが離脱を乗り越え依存を克服し、快癒へとむかってくださるから。
お大事に・・・。