数学の学び方①数学という教科の対策

 

数学って、学校の勉強のうえで特にネックになってくる教科ですよね。

 

例えば、文理選択のときに文系に進んだ人に「なぜ文系に進んだのか?」と理由を尋ねると、「数学がニガテだったから」と答える人って結構います。

数学はテストの点数が大きく開きやすい教科なので、入試の時に数学で点を落とさないことはメチャメチャ重要です。

数学ができるかどうかが、自分の文理選択や進路、合否に強く関わっているのです。

 

であるならば、数学ができるようになっておくことは非常に大事です。

数学ができないからという理由で進路を狭めたくはないでしょうし、逆に数学が得意になっておけば他の受験生と大きな差を付けることだってできます。

 

「数学はセンス」とよく言われたりします。

でも僕はそれは違うと思っています。

 

たしかに、東大入試や京大入試の数学の中でもとびきり難しい問題についてはセンスが要求されるかもしれません。

しかし、その問題を得点する必要はない。なぜならその問題はほとんど全ての人が解くことができないからです。

合否に関わる問題を得点できるかどうかが、入試では最重要になっていきます。

 

「国語の学び方①現代文」のセッションで解説したのですが、現代文はセンスで解くものではなく、ロジックで解くものだと解説しています。

「センスで解くもの」と受験生から捉えられていた現代文は、実は全くセンスとは関係なくテストで点が取れる教科なのです。

 

数学も同じです。

少なくとも大学受験における数学にセンスは必要ありません。

必要なのはロジックで解く力です。

努力で数学の成績はいくらでも上げることができます。

あなたがもし数学が苦手だと思っているのであれば、「数学はセンスじゃなく努力」ということをまず頭に入れておいてほしいです。

 

 

数学に潜む、受験生を陥れるワナ

 

さてここからは、高校3年間という大きな枠組みで見た時の、数学の勉強の流れについて説明していきたいと思います。

 

ところで、数学の学習における「基礎」「標準」「発展」という概念について、あなたは考えたことはありますか?

授業や問題集、入試などではこの「基礎・標準・発展」という言葉がよく用いられます。

これらについて、どんなイメージを持っているでしょうか?

例えば「標準問題」という言葉を聞いた時に、どれくらいの難易度の問題を想像するでしょうか?

 

高校生の時の僕の場合、こんなふうに把握していました。

「基礎は教科書的なこと、つまり導入部分の初歩的なカンタンな問題を指すのだろう」

「標準は基礎の部分を少し応用して、カンタンには解けないような問題のことを言うのかな。まあ、少し考えれば難なく解けるような問題のはず」

「発展はさらに応用を加えて、ちゃんと考えないと解けないような問題のことを指しているのだろう」

こんな感じで、僕は「基礎・標準・発展」の程度を推しはかっていました。

 

この捉え方は決して間違いではありません。

ただ、もしあなたがこれと同じような考え方をしているのであれば、少しだけ危険です。

なぜならこの考え方をしていたことで、僕は高校時代に数学でかなり苦労をしたからです。

 

なぜ先ほどの「基礎・標準・発展」の捉え方が危険なのか?

一番のポイントは、「標準」に対する受験生側とと大学入試側の認識のズレがあることです。

次の問題は、2019年に千葉大で出された数学の出題です。

 

千葉大数学

 

パッと見ただけで、すぐに解法が思い浮かぶでしょうか?

おそらく、ほとんどの人はすぐには解き方が浮かばないのではないと思います。

教科書では扱わないような数列が登場し、さらにはその和をまでも考えさせる問題。

とても、学校の授業や教科書の内容だけでは太刀打ちできないような問題です。

 

しかしながら、この問題は出題の中では「標準」です。

決して発展問題などではなく、この問題を得点できるかどうかで合否が分かれてくるような「標準問題」なのです。

ここから分かるように、大学受験で要求される「標準」は、受験生が考えている「標準」よりもかなり高いレベルにあるということ。

この認識のズレを分かっていないと、高3の夏や秋になって痛い目を見るハメになってしまうということです。

 

数学1

 

 

理不尽な真実

 

大学入試の標準問題を解けるような力を付けておかないと、受験で勝つことはできません。

教科書レベルの問題、基礎的な問題しかやらないままだと、入試の標準問題を突破できないということです。

 

もちろん、基礎はとても重要です。

僕はこのプログラムを通して、基礎を徹底してやることの大切さをずっと説明してきました。

標準問題も、基礎の力なくして解くことは不可能です。

 

ただ、数学に関しては基礎を徹底するだけでは不十分。

基礎という土台の上に、標準問題を解けるスキルを盤石に身につけておかなければならないのです。

そのためには、標準問題の演習もまたある程度の時間を確保して取り組まなければいけません。

 

数学は「経験」も必要になってくる教科です。

「似たような問題を一回でも解いたことがあるかどうか」

問題を知っているか知らないかで差が開いてしまう教科でもあるのです。

であるならば、余計に基礎は早めに終わらせておいて標準問題演習をなるべく早く始めていきたいところです。

 

・入試には教科書のレベルを超えた「標準問題」がバンバン出題される

・標準問題の演習は早めに始めたほうがいい

 

ここまでの事実を踏まえると、ある一つの問題が発生します。

それは「高校数学のカリキュラムを早く終わらせることができた人ほど、入試の数学で有利になりやすい」ということです。

 

現役生と浪人生では、浪人生のほうが演習時間が長い分だけ有利になりやすい。

また、私立中高一貫校は地方の高校に比べてカリキュラムが早く進むので、これまた有利になりやすい。

すなわち「中高一貫校でない地方高校の現役生」は入試数学において圧倒的に不利であるということです。

 

高校1年生から高校数学を始める人たちは、そのカリキュラムを終える時期がどうしても遅くなってしまいます。

高3の夏ごろにやっと教科書の内容をひと通り終えます。そこから標準問題の対策をしていくには、やはり時間が少ないと僕は感じます。

私立中高一貫校の人たちが受験1年前には数学のカリキュラムが終了します。残り1年間をそのまま受験対策に使えるのです。

 

その分の差が既についている。ここから挽回していくのは容易ではありません。

地方の公立高校の現役生であるという時点で、すでに入試数学においてハンディキャップが付いてしまっているのです。

 

数学2

 

 

絶望しそうな人へ

 

ここまで見てきた人の中には、絶望する人がいるかもしれません。

受験で要求される「標準」と自分が考えていた「標準」には明らかな乖離がある。

その開きを埋めていくためにはたくさんの演習を一生懸命しないといけない。

なのに、地方公立高校の現役生はカリキュラムが終わるのに時間がかかり、演習に十分な時間が取れない状況になっている。

非常に険しい道のりになりますよね。

 

でも安心してください。

カンタンには入試数学を突破することはできないかもしれません。でも、不可能かと言われれば、それもまた違います。

実際、僕も地方の公立高校出身で、高校数学のカリキュラムは7月くらいに終わりました。でもそこから頑張って、現役で国立大学の医学部に合格しました。

私立中高一貫でなくても、必死に勉強して東大や京大、国立医学部などに現役で合格している人なんていくらでもいます。

 

だからハンディキャップがあるからといって、決して落ち込む必要なんかありません。

大事なことは、「今から何ができるか?」ということにフォーカスすることです。

 

 

数学で勝つための戦略

 

僕が提案する、高校3年間の中での数学の勉強法のポイントは2つです。

1、授業よりも早め早めに自分で勉強を進める

2、問題演習は効率を重視して取り組む

この2つを意識していけば、入試だって怖くはありません。

  

まず、授業の進行度合いを先取りして、自分で数学の勉強をどんどん進めていきましょう。

何度も言っていますが、公立高校の場合は授業の進み具合に合わせて勉強をしてしまうと、カリキュラムを終えるころには受験までの時間が短いということになりかねません。

なので自分で勉強を先取りしていって、早め早めに数Ⅲまで全部を網羅するように心がけるのが得策です。

 

「実際にどれくらい早く先取りしていけばいいの?」という話になりますが、最適なのは「学校で全カリキュラムが終わる、1か月ほど前には終わらせる」のが良いです。

6月で数Ⅲの積分まで全てが終わりそうなカリキュラムなら、5月には自分で先取りして終わらせておきたいですね。

 

もちろん、なるべく早いに越したことはありません。

ただ現実的に、あまりも早く終わらせようとしてしまうとどうしても無理が生じてしまうんですよね。

「数学のカリキュラムが終わるのが6月だけど、めっちゃ頑張って3月には終わらせよう」とか思ってしまうと、普段の授業との両立ができなくなってしまうし、なにより無理をしすぎて途中で失速する危険性があります。

なので個人的には、1か月前がちょうどいい期間ではないかと考えています。

 

 

そして2つめ。問題演習は効率的にやっていきましょう。

標準問題の演習にかけられる時間が短いなら、その短い時間なりに工夫をしていけば良いだけの話です。

 

問題演習はただやれば良いという話ではありません。

当然ながら自分の力としてしっかりと身につくやり方もあれば、時間をかけて演習に取り組んでいるのに全然身にならないやり方だってあります。

あなたは前者を実践すればいい。

効率的に問題演習ができれば、他の私立中高一貫校や浪人生の人たちを追い抜かすことなんて全く難しくありません。

 

どうやって数学の問題演習に取り組んでいけばいいか?

それを、次回のセッションで詳しく解説していきます。

これを見れば、圧倒的に効率の良い問題演習の方法について知ることができます。

密度の濃い効果的な演習を実践できるので、入試で負けない力がグングンついていきます。

 

数学3

 

 

試練があるからこそ、逆に誰よりも強くなれる

 

授業の先取りをして数学を勉強していき、問題演習は効率を重視して取り組む。

不利な状況の中であってもあなたが受験で合格するために、忘れてはならないのはこの2つです。

 

不利であるからといって、落ち込むことは全くありません。

むしろその試練があるからこそ、逆にその試練を越えようとする過程で大きな力を身につけることができます。

部活動を途中でやめて受験に専念した人よりも、部活動を最後までやり切ってから猛勉強した人のほうが、最終的に偏差値の高い大学に合格していったことなんてよくある話です。

時間が少ないことを言い訳にせず「これからどのように勉強すれば良いか?」を考えられる人こそが、受験で成功していける人なのです。

 

頑張っていきましょう。

 

 

 

次のセッション ⇩⇩⇩

数学の学び方②問題演習の方法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


  

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