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データで見る・医師の働き方も“持続可能”に(2019年夏号より)

年間の時間外勤務が1,860時間を超える医師がいる病院は27%

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今年3月、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論がまとまり、2024年4月から、医師の時間外労働規制が適用されることになった。 現状、年間の時間外勤務が地域医療確保暫定特例水準(年間1,860時間)を超えると推定される医師がいる病院の割合は、全体で27%。大学病院や救命救急機能を有する病院では80%を超えている。

週勤務時間が特例水準を超える医師の割合は、産婦人科、20代で高い

診療科別にみると、産婦人科が20.5%と最多で、外科系、救急科と続く。

年代別では、20代が最多で、年代が上がるごとに、割合は下がっていくことがわかった。全医師の1割ほどにあたる約2万人が、年間1,860時間以上の労働を余儀なくされている現状を改善するためには、医療現場だけでなく社会全体で取り組みを進める必要がある。

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「医療危機」の4つの要因と対応策

医師の働き方改革を進めるうえでは、医師/医療提供者だけでなく、市民、行政、民間企業の取り組みも重要となってくる。

厚生労働省の「『いのちをまもり、医療をまもる』国民プロジェクト宣言!」では、「医療危機」における4つの立場の要因を分析しており、それぞれが解決に向けた取り組みを進めていく必要がある。

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また、社会の中で医療制度をどのように 位置づけていくかも重要だ。例えば、アメリカのオレゴン州では「オレゴン・ルール」という、「アクセスの良さ、高い質、低コスト」のうち、2つは満たせるが、3つすべてを満たすことは難しいという考え方が提唱されている。

これまで日本の医療現場では、これら3つを医師の長時間労働で成り立たせてきたが、持続可能な医療のためには、医師自身の働き方の持続可能性を考えなくてはならないといえる。

医師の働き方改革は必要、と考える医師は7割超

「医師の働き方改革」は、日本の医療現場に必要 だと思いますか、という問いに対して、7割以上が 「必要」と回答した。多くの医師が現状の働き方に 課題を感じているようだ。

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出典:株式会社エムステージ「医師の働き方改革」に関するアンケート(101名の医師へのインターネット調査、2018年7月2日発表)

医師の働き方改革に期待している医師は2割

「医師の働き方改革」によって、現在の勤務先の労働環境に良い影響があることを期待していますか、という問いには、「期待している」と回答した医師は2割にとどまり、「期待していない」は6割を超えた。今の働き方に課題感を持つ医師が多い一方、環境改善には大きな労力が必要なため、改革に期待できないという気持ちがみてとれる。

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出典:株式会社エムステージ「医師の働き方改革」に関するアンケート(101名の医師へのインターネット調査、2018年7月2日発表)

この記事の初出:『メディカルコミュニケーション 2019年夏号』(2019/7/15発行)より

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