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【読書】今村翔吾(著)『茜唄』〜結末が分かっているのに、なぜ歴史小説は面白いのか。

今村翔吾(著)『茜唄』を読み進めており、いよいよ終盤に差し掛かってきたところです。
この小説のモチーフとなっているのは『平家物語』なので、結末は分かっています。平家が奇跡の逆転勝ちをするなんてことは、絶対に有り得ないのです。そんなことがあれば、歴史小説なんてぶち壊れてしまいます。しかし、結末が分かっているからこそ、歴史小説は面白いのかもしれません。

結末は変わらずとも、そこに行き着くまでのフィクションが面白いのです。
フィクションといえども、本当にそうだったのではないかと思わせるところが、作家さんの腕の見せ所です。

そもそも『平家物語』自体がどこまでが史実で、どこからがフィクションなのか良く分かりません。とくに女性の名前は、本当はよく分かっていないことが多いようです。人の名前は、文字という記録に残っていなければ、後から便宜上名付けるしかありません。それがいつの間にか、史実のようになってしまいます。

教育としての歴史は、フィクションの部分が省かれます。だから面白くないのですが、史実を確りと学ぶ上では重要です。
歴史小説を読みながら、「これってホンマの話?」と時々は疑って、調べてみるのも楽しみの一つであります。

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